[BlueSky: 993] 環境アセス  Re:989 環境社会学会


[From] suka@nacri.pref.nagano.jp (SUKA, Takeshi) [Date] Sun, 10 Oct 1999 19:43:38 +0900

みなさん
     須賀です。

昨日、溝内さんのご質問にこたえて、環境社会学会で、環境アセスへの
住民参加に関するセミナーがあったようだという情報提供をしました。
この話題は、多くの方にはあまりピンとこないものなのでしょうかね。

環境アセスというのは、開発事業による環境への悪影響をふせぐために
事前にいろいろな調査をして事業計画を評価し、計画を見直したり改善
したりするための一連の手続きのことです。実際にはなかなかうまく
機能していなくて批判も多いものです。今年6月に新しく環境影響評価
法という新しい法律が施行され、アセスの途中の段階で国民が意見を
いう機会がひろげられたそうです。

環境庁のHPにくわしい情報があります。
http://www.eic.or.jp/eanet/

このなかの「環境アセスメント制度のあらまし」というパンフレットに
概要が掲載されています。
http://www.eic.or.jp/eanet/assessment/riyou.html#kensaku

このパンフには「アセスメントの対象となる環境要素の範囲」として、
以下の項目があげられています。
********
環境の自然的構成要素の良好な状態の保持
 大気環境
   大気質
   騒音
   振動
   悪臭
   その他
 水環境
   水質
   底質
   地下水
   その他
 土壌環境・その他の環境
   地形・地質
   地盤
   土壌
   その他

生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全
 植物
 動物
 生態系

人と自然の豊かな触れ合い
 景観
 触れ合い活動の場

環境への負荷
 廃棄物等
 温室効果ガス等
*******

これだけたくさんの内容があるのですから、おそらく意見をいえと
いわれても簡単にいえるものではないと思います。そのためには、
各分野の専門家が分野ごとの問題点をかみくだいて住民や市民に
つたえ、それらを総合して意見をまとめられるような議論の場が
個々の環境アセスについて必要になってくるのではないかと思い
ます。

愛知万博はこの新しいアセス法の対象になっています。

環境アセスの本来の目的は、専門的な調査研究そのものにあるの
ではなく、それらを総合して事業計画の妥当性を社会的に評価し、
ひらかれたかたちで社会的な意志決定に生かしていくことにある
のだろうと思います。そのためには、各分野の専門家と住民や
市民とのあいだのコミュニケーションの場をひろげていかなくて
はなりません。

わたしが参加した先月末の昆虫学会でも、環境アセスについての
シンポジウムがありました。昆虫学があつかうのは、環境アセス
全体からみるとごくごく一部ですが、それでも学会レベルでこの
ような関心がかたちになってあらわれてきているのは注目すべき
ことだと思いました。ほかの学会ではどのような動きがあるのか
興味があります。今後は、個々の学会だけで話を終わらせるので
はなく、もっと横断的な議論の場をひろげていく必要があると思
います。青空MLがそのような場を提供できればいいなあと思い
ます。

ほかの学会での動き、あるいはそれ以外の視点でももちろんかま
いませんが、こういう問題に関心をおもちの方のご意見や情報提
供をお待ちしています。

Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp



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