[BlueSky: 992] Re:989 環境社会学会


[From] 溝内 辰夫 [Date] Sun, 10 Oct 1999 19:18:42 +0900


須賀さん、みなさん、ミゾです。
おかげさまで環境社会学会に参加することができました。
お礼方々報告させていただきます。
テーマは「環境政策への住民参加」で、主に環境影響評価における住民参加の可能性
でした。
とりあえず環境庁の環境影響評価課長の報告を取り上げます。
(その他、所沢のダイオキシンで一躍有名になった青山貞一さんや北大の先生が報告されていまし
たが。それは割愛します)。この環境庁の課長の報告のみ取り上げるのは、私と考えが同じだから
です。私は会社では相手にされていないので、非常に感動してしまいました。なお、私はあまり文
章とか書く機会がない人間なので、どんどん質問してください。自分の考えの整理もしたいという
一石二鳥狙いですが。
彼曰く、
・環境影響評価とは、激甚な公害、あるいは健康被害をもたらすもの(リスク評価の
類、あるいは規制値以下であるかどうか等)を評価するのはなく、多様な価値観、あ
るいは今まで捨象してきたもの、すなわち身近な自然、地球温暖化、生物多様性、快
適性等)を評価するものである。従って、クライテリアなど存在しない。
・また激甚な公害や健康被害は別の法律で規定されており、環境影響評価以前の問題
である。それは○か×しかなく(環境影響評価以前の問題である)、合意形成もくそ
もない。
・従って、環境影響評価は絶対的に守るべきもの(規制法の範囲)を取り囲む地域固
有の事柄について、事業者が地域住民のみならず世界からよりよくする意見を聞く制
度であり、基準なんてもともとありえない。繰り返すが、基準があれば、それは規制
すれば良いのであり、アセスの意味がない。
・住民等は情報所有者として、事業者が気づかない情報を与えるのである。
・アセスとは、複数の代替案の中からより良いものを選択する手続きである(絶対評
価ではなく、相対評価)。

従来アセス→新アセス
公害・自然破壊防止→持続可能な社会
一定基準による→よりよい事業へ
「お上」「権威」に頼るアセス→あらゆる主体の価値観の違いを認め、統合するルール
科学的技術的正確性重視のアセス→社会合意形成のリビングプロセス

(まとめ)
・アセスは環境に関する情報交流ツール
・意思決定手続きではなく、意思決定に環境情報をインプットするもの
・住民(環境保全の見地から意見を有する者)の立場は情報所有者(住民は情報参
加)

*なるほど。企業で住民合意を担当していた私にはうなずくことばかりです。
でも、私のような私企業が自分の土地に廃棄物処理施設などを建設するときはともか
く、公共事業(神戸空港とか)は、住民も意思決定過程に参加させるべきだと思いま
すね。それとこのMLでは行政や事業者が情報を住民に公開するという前提ですが、逆
も考えないといけませんね。この文脈では住民は情報所有者であり、情報参加すると
いうことであれば、その環境を作らないと。

ではでは。



----- Original Message -----
From: SUKA, Takeshi <suka@nacri.pref.nagano.jp>
To: <bluesky@sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Sent: Saturday, October 09, 1999 5:47 PM
Subject:989 Re:987 =?ISO-2022-JP?B?GyRCNEQ2LTxSMnEzWDJxGyhC?=


> 溝内さん みなさん
>
> 須賀です。
>
> 溝内さん:
> > 早速ですが、、今日9日に都内で環境社会学会が開催されるとの情報
> > 得ました。参加しようとネットでさがしたのですが、見当たりません。
> >
> >申し訳ありませんが、どなたか環境社会学会について情報をお持ちでしたら、お知
> >らせください。
>
> わたしの勤務先の掲示板に掲示をみつけました。
> 内容を抜粋します。時間的にはもう終わってしまいましたね。
> 今日は休日のため、たった今溝内さんのメールをみたところです。
> もっと早くお知らせできたらよかったなあ。
> ***********************************************
> 「環境社会学会第20回セミナーについて
>     ・・・・・
>
> [セミナーの概要]
> テーマ:「環境政策への住民参加:今、環境社会学に求められるもの」
> 日 時:1999年10月9日(土)13時〜17時
> 場 所:明治学院大学白金校舎 大学2号館 2301号教室・・・
> 事務局:嘉田由紀子(滋賀県立琵琶湖博物館)/萩原なつ子(東横学園
>  女子短期大学)/藤川賢(明治学院大学)/脇田健一(岩手県立大学)
> 参加費:1000円
> [今回のセミナーのねらい]
> 1997年6月に制定された「環境影響評価法」では、事業者、住民、行政
> が情報形成の段階から積極的にかかわることができるような「創造的な
> アセスメント」が求められています。この「環境影響評価法」のみならず、
> ここ数年間で、環境政策の流れは変更しつつあります。そこで、環境社会
> 学会第20回大会のセミナー(10月9日土曜日・明治学院大学)では、学会
> 員以外に、環境庁、民間シンクタンクでこの問題に深くかかわってこられ
> た2人の方からもご報告いただき、「環境政策への住民参加:今、環境
> 社会学に求められるもの」というタイトルのもと、このような環境政策の
> 変更をどのように評価するのか、また、そのさい、環境社会学には何が
> 求められているのかを、特に、「住民参加」を手がかりにしながら討論
> していきたいと考えています。
> ・・・・・(後略)
> **********************************************
>
> 掲示してあったのはこのセミナーについてだけでした。このセミナー
> 以外にも、通常の学会発表などがどこかでおこなわれるのでしょうか。
> わたしにはわかりません。参加費1000円、と書いてあるところをみる
> と、このセミナーだけは学会員以外でも1000円払えばきけるという
> ことかな。なかなか面白そうな内容ですね。
>
> これを読まれた方のなかにセミナーに参加された方がいらっしゃいまし
> たら、また報告などしていただけるとうれしいです。それでは。
>
> Takeshi SUKA
> Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
> E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp
>
>
>


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