[BlueSky: 991] Re:986 ブラックバス


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Sun, 10 Oct 1999 12:17:48 +0900

こんにちは、葛貫です。
水産関係の文献の抄録を作成する仕事をしております。

中澤さん【986】:
>内水面漁業における放流の問題,内水面は誰のものかという問題,放流が生物
>多様性に与える影響をどう考えるかという問題,バス釣りあるいは釣りという
>趣味をどう考えるかという問題,などが浮かびます。

アユの放流には、琵琶湖産の種苗が多く使われているようです。
最近は、地元産のものが放流に適するか、どの位の回収率が得られるか等
を調べ、選抜して放流する試みもなされているようです。
内水面ではありませんが、クロアワビ、メガイアワビ等、在来のアワビ資源が
減少している海域に、本来は分布していないエゾアワビを放流しているところも
あります。エゾアワビがクロアワビやメガイアワビと競合しないか、これらの雑種
ができることがないか等、懸念して調査しているようです。
このような現実を見ると、水田で養殖したメダカを、全国に通販して問題にされた
人は、少々気の毒な感じがします。
自然を保護するためには、地元産の種苗を活用する技術を開発し、環境収容力を
考慮して放流したり、いわゆる「自然」から切り離された生産体制をつくり出すことを
検討しなければならないのかもしれません。

在来種の卵や稚仔魚を食べてしまうブラックバスは、内水面漁業者にとって大きな
問題になっています。漁業者が資源管理のために禁漁区や禁漁期間を設定して、
漁獲を制限したり、投資して放流事業を実施しても、ブラックバスに卵や稚仔魚を
食べられてしまっては、資源の増大を図ることができません。
気が向いた時に、遊びに来て釣りをする人にとっては、どうでもいいような問題で
あっても、漁業を生業にしている人にとっては、死活問題です。

多様性の維持、自然保護の重要性について、人間の都合抜きのきれいな理念で
説得できれば、客観性を保つことができたようで心地好いのかもしれません。
でも、それができそうな気がするのは、自分の生活に直接かかわらない問題に
関してだからではないかと、時々、思います。
そこで生活の糧を得ている者がいる場合、経済性の問題が前面にでてくることは、
仕方がないというか、自然なことなのだと思われます。

「自然」は誰のものなのか、どう使うかを決定し、維持管理の責任を負うのは誰なのか、
難しい問題だと思います。

>一方,「バス釣りに行って自然に接する」という本質的にはおかしなことを
>実感としてもっている人が既に存在するのならば,今からバス排除をするのは,
>もしかしたら社会的自然破壊になってしまうかもしれません。

釣りの対象がバスでなければならない理由はあるのでしょうか。
別に、マスでもアユでも良いような気がするのですが。
これも、グローバル・スダンダードなのでしょうか?

Y.Kuzunuki <kuzuny@geocities.co.jp>





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