[BlueSky: 906] Re:899 還元論、生命倫理


[From] GENNGOROU@aol.com [Date] Mon, 13 Sep 1999 13:46:20 EDT


今晩は,ゲンゴロウです。

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むずかしい言葉が出てくると,すぐに分からなくなる
私ですが,分からないながらも意見を。。

> [841]後藤さん
>> 一卵性双生児等価論は、したり顔でこの還元論的見地を
>>(クローン問題に)普及することによって「恐怖感」なり
>>「嫌悪感」を払拭しようとする試みでしょう。
>>臭いものには蓋、です。

後藤さんのこの文章を私が読んだ後,私は直ぐにイミダスを
開き,索引で「還元論」という項目を調べました。
1997年版では生物学にその説明がありました。
1999年版では,経済学にそれに近い記述がありました。
それを読み,再度,後藤さんの文章を読み,私は後藤さんの
考えが,とても私に近いと(勝手に)解釈してしまいました。
どう私が理解したかを述べたいと思います。
(後藤さんの主旨とは全然違うかもしれません)

科学では,ある物事を理解するときに一つの見方で物事を
部分に解体するようです。それは,とても重要なことだと
思います。解体する過程で,解体の基準を変えてしまった
なら解体された部分はメチャクチャになるようです。

後藤さんは「還元論の見地」という言葉を使わず,「還元
論的見地」と「的」を付けているところが,私は気に入っ
ています。私にはこの「的」が付いていることで,後藤さ
んの書いてくれた文章を,

 「一卵性双生児等価論というものは、したり顔で,まるで
  還元論のような見方を(クローン問題に)普及することに
  よって「恐怖感」なり「嫌悪感」を払拭しようとする試み
  でしょう。」

と解釈し,私は
「ああ,一卵性双生児等価論は,立派な科学的方法である
還元論に見えるけれども, 還元論ではない」と後藤さんが
おっしゃっているように感じました。

なので,どなたかがこれは還元論ではないとおっしゃている
のを聞き,「あれ?後藤さんもそう言ってるのに」と感じま
した。

後藤さんが「還元論的」を使ったこの
>> 一卵性双生児等価論は、したり顔でこの還元論的見地を
>>(クローン問題に)普及することによって「恐怖感」なり
>>「嫌悪感」を払拭しようとする試みでしょう。
には,二つの意味があるように私は思いました。

一つは,
 還元論に似せて,いかにも正しいことを言っているように
 見せている。(つまり巧みなごまかし)
もう一つは,
 還元論は,ある現象を部分に分解してある現象の原因を探る
 方法であるが,それはそういう現象に対してであり,
 全体の現象が多くの要素によって成り立っているときには,
 還元論的な手法では説明をしてはいけない。

と,私はとりました。
後藤さん,違っていたら申しわけありません。

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さて,クローン問題ですが,後藤さんがおっしゃるように??
還元論的な理解では限界があると思います。

還元論は,部分が他の部分によって変化しやすい部分である
場合,,,たとえば,インターネットの蜘蛛の巣を思い浮か
べていただいて,サーバーが他のサーバーによって影響を受
け変化してしまう場合,その全体を部分に還元して,部分を
見ることで全体の振る舞いの法則を見つけるのは無理で,仮
に「見つけた」と叫ぶ人がいたなら,それは大きな間違いで
しょう。
このクローンの是非にあたっても,心理的環境,法的な問題,
人権の問題,医学的な問題などなど,ちょうどこの青空ML
に参加する人達があらゆる問題を提起されるのと同じくらい
の問題が内包していると思います。ので,その意味でも,還
元論的な問題解決は不可能だと思います。


さて,環境問題とはほど遠い,「全体と部分」についてですが,
少しばかり,聴いていただきたいことがあります。

私は喜多さんとお話をしているときに,交響曲の話をしました。

私がバカの一つ覚えで,ベートーベンの第7を聴くのには,
理由があります。聴くたびに微妙に感じが違うのです。
オーケストラでの楽器の配置を思い浮かべていただくと分かり
やすいのですが,様々な楽器が並び,それぞれ全く違った旋律
を奏でています。
私は,聴くごとに,ある特定な旋律を聴きます。すると,全体の
音楽がまったく違って聴こえるのです。
主にバイオリンの幾つかを追いかけるのですが,旋律が他の旋
律に隠れたり浮いたり,追いかけたり,追い越されたり,テン
ポを変えたり,変調して登場したり,,それはそれは複雑です。
その変化によって,他の旋律も影響を受けイメージが違ってくる
のです。

なにを言いたいかというと,部分が部分に影響を与える場合,
部分は無数に存在を始め,部分と部分がくっつくことによって,
またいくつもの部分が存在し始める。。のです。
このような部分を含んだ全体に対して,全体を部分に還元して
さらにまた,全体を知ろうとすることは,私にはとても不可能
で,だからこそ,第7から卒業できません。。

私は第7を聴くたびに自分の思考が全体をぜんぜん捉えられない
ことで,自分の思考の未熟さを思い知ります。でも,私は部分同
士が変化する不思議な気分を味わいながら,いつも興奮してしま
います。そして,ちょっと秘密をいうと,自分がそれを感じられ
ることで,すごいすごいと悦にも入っています。

そして,私には,自然もそのようなものに思えてしまいます。

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GENNGOROU

最近,夜中に起きてメールを書いているせいで,
体調がおかしくなってきました。
ペースをグーーンと落とすことにします。
お返事が,できなくなると思います。









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