[BlueSky: 885] Re:846 還元論


[From] HIROKI@icu.ac.jp, Masato [Date] Sun, 12 Sep 1999 18:38:17 +0000

後藤さま、みなさま

広木@ICUです。

論点が二つあるようなので(還元論&資源の価値)、分離します。
まず、還元論。言葉は、何でもいいのですが。

あまり本質的なお話ではないので、なんですが。とにかく、後藤さ
んと私は、この点に関しては、本質的になんら対立するものではな
いです。

> > これは還元論の著述としては片手落ちでは?部分をつなぎ合わせて、全体を再構
築す
> > るのが還元論ではないかと私は理解しているのですが?
> まぁ、定義の問題といえば言えなくもないですね。
> ただ、全体を再構築したか、再構築する姿勢を見せた還元論を、僕は見
> 聞したことがありません。

> ですので、広木さんには、還元論によって「全体を再構築した」事例を
> ご教示願いたいと思います。

私も還元論者ではないので、例は、ちょっと。すみません。

もしかしたら還元論って
「現象を、それを構築する要素のひとつ『だけ』で説明する」
ものなのですかねぇ?
私が勘違いしてレスしたということでしょうか。

> > > 環境問題も、自然を「経済的資源」に還元する態度に由来している、
> > > と言えるかと思います。
まあ、これに延髄反射してしまったので。

とにかく、後藤さんのあげたお話は、「還元論だからダメだ」
では、何がダメだか良く分からないのは、確かだと思うので、
まあ話を続けます。

#「還元論」というよりは、『奸言論』って言いたいな#

> > それは還元論ではなく、都合のいいことだけに言及して都合の悪いことを言わな
いだ
> > けですので、ただの『詐欺』でしょう。
> まぁ、還元論には違いないと思いますが、ただの「詐欺」であることも
> 違いないでしょうね。

というわけで、この詐欺行為をこれから『奸言論』って呼ばせて
いただきます(^^)。ちなみにこの定義の有効範囲は、このメールの
中だけって事で。

> 小宮さん【829】:
> > 実際にはクローン人間を作ることでこのような問題は起きませ
> > ん。クローン人間はその人の全くのコピーではなく、遺伝的に
> > 同じ、というだけで自然界に存在する一卵生双生児と変わりは
> > ないのです。もちろん人格も異なるし、指紋も違います。そう
> 「一卵性双生児と異なることはない」という世論誘導も盛んに行われ
> ていることなので、注意してください。これについては下記の二つの
> ホームページで批判的見解を述べておきました。

「一卵生双生児ではない」ということから、「クローン人間」の是
非は、自立的に求まりません。単にこれは、現象を記述しただけで
すから、その是非に関しては、その系の外に立脚点を持たなければ
いけないわけです。それを行なわないと、ただの循環論法に陥いり
ます。すなわち、奸言論。

> > ちなみに、『後藤さんの言う還元的立場(私の言う詐欺)』からクローン人間を
否定
> > することも可能です。例を御披露しましょう(例ですよ、ただの例。おもいつき)。
> > 『クローン人間生産は、ある特定個人のゲノムを増加させるので、これは人間集
団の
> > 遺伝子頻度を人為的にdriftさせるものである。したがって、優性学と同様な理
由で、
> > 容認することはできない。』
> ここ、ちょっと理解しづらいです。

はい、例としてはまずかったです。やっぱ思いつきはいけませんね。
この例では、クローン人間の是非を、「優性学と同様の理由で」と、
系の外に求めています。ですから、奸言論ではありません。
では、熟成させたものを:
『クローン人間生産は、ある特定個人のゲノムを増加させるので、
これは人間集団の遺伝子頻度を人為的にdriftさせるものである。
したがって、容認することはできない。』
これだと、「遺伝子頻度変化」ということを却下の根拠としていま
すから、循環論法と言う、奸言論の基準を満たすものになります。

なんだか言葉遊びになってますが、まあ、皆さん気をつけて、とい
うことで。

ちなみにクローン人間に関して私はまだ「こうしたら良い」という
ような結論は導けていないのですが。「自分のクローンなんて欲し
くない」という所でとまっています。

昔みた夢なんですけど、研究室にいる時、ふっと振り返ったら、そ
こにもう一人の自分がいて、そんでそいつが、なんかバカなことやっ
ているんですよ、よく私がやるような(笑)。「も〜こいつは!!」って
思って、あきれてしまって。クローンにそんなこと現実に見せつけ
られた日にゃ、わたしゃぁ、生きてけませんね(笑)。

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広木眞達(HIROKI, Masato)
国際基督教大学生物学教室加藤研究室
〒181-8585 三鷹市大沢3-10-2
TEL 0422-33-3269 (加藤研究室)
email address:hiroki@icu.ac.jp.
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