[BlueSky: 853] Re:837 倫理と法的規制 - クローン人間は認められるのか?


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Fri, 10 Sep 1999 07:24:52 +0900

佐川さん、後藤さん、みなさん、こんにちは。小宮です。

後藤さんが紹介された有識者へのアンケート結果を見ました。
クローンのことをよく知らないのでは…なんて書きましたが、
全然そんなことはなかったですね(ただ僕が知らなかっただけ)。
しかし、生命倫理に反する、という理由で反対している人、
強い規制を望む人が多いのは少し意外でした。クローン技術
の家畜への応用がとりたてた反対意見もなく認可されてしまっ
ている現在、生命倫理、ということにこれほど皆が関心が
あったのか…という感じです。

さて、僕自身の意見ですが、僕はクローン技術の人間への
応用は自然界の生命の仕組みを乱す、ということで反対で
す。そういう意味では、クローンの臓器移植への応用はも
ちろん、遺伝子操作による種々の医療行為も、広くは人間
のみでなく、他の生命への遺伝子操作も反対なのです。
しかし、これはひと昔前ならともかく。遺伝子組み替えが
当たり前となっている現在では古い意見でしょう。この考
えだけで規制もできないと思います。

◯佐川さん、
>私は、他者の死が前提となる脳死臓器移植が許されるのなら
>クローンによる臓器の培養と移植は、少なくとも他者の死が前提
>とされないという点で許されると思います。

そうですね。確かに、臓器移植への応用なら、後藤さんの
いわれる人権の問題にも抵触しないですし、脳死が不必要
になる、ということでその意味も大きいと思います。僕自
身は生命倫理に反するという理由で反対ですが、移植用の
臓器がなくて苦しんでいる人がいて、その人達がクローン
の技術で救われる、という時に、倫理に反するという考え
がどれだけ効力を持つかは分りません。しかし、確かに
田中さんが言われていたように、人間のために臓器のみが
培養されているような光景、一人一人の人間のために、た
くさんの他の生物を犠牲にして臓器を培養しているような
光景を想像するのは無気味です。もしクローンが認可され
たら、先進国の一人一人が自分の予備の臓器を持つような
時代が来るのでしょうか(僕は来るような気がします)。

>人の耳がたっていたのはカエルじゃなくてネズミじゃないですか

御指摘ありがとうございます。ネズミだったんですね。


◯後藤さん
> 一卵性双生児等価論は、したり顔でこの還元論的見地を普及すること
> によって「恐怖感」なり「嫌悪感」を払拭しようとする試みでしょう。
> 臭いものには蓋、です。

後藤さん、御指摘ありがとうございました。還元論という
言葉も始めて知りました。

御紹介のHPを今読んでいる所ですが、人権に反する、とい
う理由でクローン人間は認められない、という後藤さんの
御意見は全くそのとおりだと思いました。非常に説得力もあ
り、法規制をすることも可能だと思います。


それでもやはり、僕は結果的にはクローンは認められる気が
します。問題は、倫理観というものは、それぞれの時代の技
術に応じて変わっていく、ということです。100年前だった
ら体外受精も脳死臓器移植も倫理に反する、といってほとん
どの人が反対するでしょう。しかし、技術があり、それで救
われる人がいる時、倫理というのはあまり効力を持たないよ
うです。そして、どんな技術でも使われだしたら慣れてしま
うのは早いと思います。クローンも、先進国で禁止されても
他国で行う医者が出てきて、実際のクローンで生まれた人達
が普通に生活しているのを見たら(誕生までは確かにクローン
人間は核ドナー指令者の自由意志に基づいて計画的に作成さ
れるかもしれませんが、生まれた後は結局普通の人として何
の問題もなく生活すると思います。自分がクローンと分かっ
たら確かにショックでしょうけど。)多くの人達が認めるよう
になっていくのではないでしょうか。

ちなみにアメリカでは、大統領がクローン人間を規制する発
言をしましたが、それでも既に一部の研究者により子供の
クローンを作るクリニックを開設する計画がなされているそ
うです。

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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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