[BlueSky: 854] 木質系発電の事業化


[From] Nagamitsu Teruyoshi [Date] Fri, 10 Sep 1999 10:10:46 +0900

木質系発電について、ながみつ@森林総合研究所から情報提供します。

木質系発電の技術上の問題はなく、すでに事業化されているところもあります。
それは、製材所の自家発電です。
処理にコストがかかっていた自工場からでる木質系廃棄物、および
自工場の安定した電力(製材機)と熱(木材乾燥)需要の条件がそろえば、
ある程度の規模の製材所ならじゅうぶんに採算がとれます。

なぜ、製材所自家発電から地域熱電供給へと木質系発電がひろがらないかというと、
地域熱電供給では採算がとれないからです。

まず、利益の面からいうと
1)電力会社への売電価格がやすい
経費の面からいくと
2)林業からの木質系燃料の価格がたかい
3)地域への配熱インフラの建設費がたかい
ということにつきます。

ここらへんは、里山研究会第4回ワークショップ講演要旨
http://www02.so-net.ne.jp/~ito-hi/satoyama/bn/014.html
をごらんください。

なにかとひきあいにだされるスウェーデンでは、
1)バイオマス発電の売電価格の優遇
2)ヤナギなど早生樹種の超短伐期機械化林業
3)すでに整備されていた地域の配熱インフラ
などの条件がそろっていました。

条件がそろわないのに日本がスウェーデンのまねをしても
地域熱電供給は失敗します。

日本で可能性があるのは、
1)林業の立地にちかい事業所(工業団地など)での自家発電と熱利用
減反した農地での早生樹種の機械化施業で木質系燃料の供給を安定化
2)木質系廃棄物(古古紙、繊維、建材)のでる都市での熱電供給
もやせるゴミの自家処分とビルの配熱インフラの高度利用で経費削減
などです。

王子製紙や森林総合研究所で
早生樹種(ヤナギ、カンバ)の育種や超短伐期林業について研究していますが、
事業化にはまだまだとおい、といったかんじです。



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