[BlueSky: 846] 自然と経済的資源 Re:844 ,841 還元論にご注意を!<還元論?


[From] Ken Goto [Date] Thu, 09 Sep 1999 19:19:41 +0900

広木さん、青空MLのみなさん
                    後藤@帯畜大です。

広木さん【844】:
> > 生命は時間的「断面」としての瞬間ではなく、時間的連続(生活環
> > (生命サイクル)リズムの位相進行)としての瞬間として存在します。
> > 平たく言えば、プロセス、ですね。
> >
> > こうした全体から部分を切り取り、その部分をもってして全体とみな
> > す見地が「還元論」です。
> >
> > ・・・全体から部分を切り取るまでは、西洋科学の正しい認識過程で
> > す。
>
> これは還元論の著述としては片手落ちでは?部分をつなぎ合わせて、全体を再構築す
> るのが還元論ではないかと私は理解しているのですが?
まぁ、定義の問題といえば言えなくもないですね。
ただ、全体を再構築したか、再構築する姿勢を見せた還元論を、僕は見
聞したことがありません。

ですので、広木さんには、還元論によって「全体を再構築した」事例を
ご教示願いたいと思います。

前回の僕の表現に「片手落ち」なところもあります。
還元論では、部分同士の「線形的」結合を全体とみなす、という点です。
部分同士の結合のあり方が線形的であることが前提されているために、
「再構築」過程が事実上行われていない、というのが、還元論に対する
僕の見方です。

> > 一卵性双生児等価論は、したり顔でこの還元論的見地を普及すること
> > によって「恐怖感」なり「嫌悪感」を払拭しようとする試みでしょう。
> > 臭いものには蓋、です。
>
> それは還元論ではなく、都合のいいことだけに言及して都合の悪いことを言わないだ
> けですので、ただの『詐欺』でしょう。
まぁ、還元論には違いないと思いますが、ただの「詐欺」であることも
違いないでしょうね。

> ちなみに、『後藤さんの言う還元的立場(私の言う詐欺)』からクローン人間を否定
> することも可能です。例を御披露しましょう(例ですよ、ただの例。おもいつき)。
> 『クローン人間生産は、ある特定個人のゲノムを増加させるので、これは人間集団の
> 遺伝子頻度を人為的にdriftさせるものである。したがって、優性学と同様な理由で、
> 容認することはできない。』
ここ、ちょっと理解しづらいです。

まず、前半の命題が還元的立場(詐欺)なのですか?
広木さんの例では、問題設定自体が「遺伝子プール」におかれています
ので、還元でもなんでもないと思うのですが。

> > 環境問題も、自然を「経済的資源」に還元する態度に由来している、
> > と言えるかと思います。
>
> 問題は還元したあとどうするか?ではないでしょうか?
ここは、広木さんと僕とで真っ向から対立する点ですね。

僕は、「経済的資源」に還元しては「ならない」という価値観を主張し
ていますが(これは、前回【841】の対立軸(1)〜(4)のうちの
(2)ですね)、広木さんは「経済的資源に」還元することを前提にし
た価値観を主張しています。

経済的資源に還元した後では、前回【841】の対立軸(1)〜(4)
のうち(3)だけが、広木さんにとっての射程になるのですが、誤解し
ていたら御訂正ください(「還元」という言葉の用法にずれがあるよう
なので)。


後藤 健
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