[BlueSky: 836] Re:824 「人間中心思考の排除」の考え


[From] HIROKI Masato [Date] Thu, 9 Sep 1999 12:33:51 +0000

ゲンゴロウさま、みなさま

広木@いじめっ子です。

私信にしましょうかといったのですが、お返事ないので。

ゲンゴロウさんが、自然をたたえるのは、素晴らしいことです。ですが、その考えだ
けで、他人を説得することが出来ますか?

> 科学技術が発達してきたせいで、人間は科学技術への過信が過度すぎる
> ように感じます。(私もその一人であることは否定できない)

「科学」と「技術」は、根本的に出自が異なるものです。混同しないで下さい。科学
の技術的応用、というのはあり得ます。

科学というのは、あくまでも思考のプロセスです。それに対し、技術というものは、
「目的となる結果を得る手段」です。それには裏打ちは全く必要ありません(あれば
効率良いのは確かですが)。

> 「私の話は、絶対に理解されないだろうなあ」という、あきらめを
> 勝手に感じています。

「理解」以前に「場違い」では?いや、このMLがそういう話をする場ではない、とい
うのではなく、『共有地の悲劇』など、具体的なプロセスの話にからめるのが、とい
う意味で。また勘違いされたら嫌なので、くどいようですが断わっておきますけど。

理念、理想はどんどん語っていただいて構わないのですが。それはそれで大変面白く
読ませていただいております。ただ、その実現には何をしたらいいか、は、理念をか
たっただけではできないはずです。

> 皆さんは、どう感じるでしょうか→この自然とか宇宙の中のほとんどは、
> もうすでに人類によって解き明かされてしまったのでしょうか。

解き明かされていたら、世界中の科学者は全員職を失います。技術者だけいれば十分
ですから。

断わっておきますけど、科学と技術の上下関係を論じているわけではありませんから
ね。どちらかが上とか、対比させるものではありませんよ。

> 私は無限の量と数、それらが生む無限の現象にたいして、人類の探求は
> ほんの序の口のように感じます。
> つまり、自然:人間の知識=無限:1ではないかと。。
> (1としたのは、説明のためで、なにを入れても相手は無限未知です)

こういう話は、人間の知的活動を放棄するものに感じられます。

> 心とか精神というものが、実は想像以上の能力を持っているのではな
> いかと思うようになりました。

どの程度の物を「想像」されていたのか分かりませんが、すごいものであるのは確か
でしょう。

> 漠然とした話し方で申し訳ありませんが、、続けます。
> 人間は、心に導かれるようにあらゆることを解明してきたのではないかと
> 思います。数学も物理も量子力学なども、そうだと思います。
> その根本に、私は人間の存在の不確定があると考えています。
> この不確定な人間存在を追い求めるように、また、忘れるようにして
> 人の意識や知識は進化してきたように思えてなりません。

?よくわかりません

> たとえば、弓道とか射撃の方にお話を伺うと、心眼というものがあり、
> 的を凝視せずに無の境地で、静かな心に身を任せたときに、吸い込
> まれるように当たるとか、、
> 将棋の世界でいうと、最後は心に聞いてみるとか、、、
> 剣術でいうと、剣と一体になり、相手とも一体の世界に入るとか、、
> で、いずれの方も、それを心の技として明確には説明できないようです。

??神秘主義に走ろうとしているのですか?

> このことはおもしろいことではないでしょうか。
> 人間は説明できないことを使っているし、使ったほうがいいことに
> なります。そのようなことから、常に探求し原因、原理、法則を
> 探していると、それはそれで良いのですが、いつのまにか、
> 理解できるものしか使えなくなる可能性があると思います。
> 人間の持つ能力を限定してしまうのはもったいないと思います。

私は何も人間の持つ可能性を否定しているのではありません。ただ、それと、人間社
会の個体間相互作用は全くの別物です。

あくまで、私が論じているのは、人間社会の契約を成立、遂行する上での障害となる
人間の行動的基盤を指摘し、それを基にどのようにしたら効果的に契約を押し進めて
いくことができるか、を問題にしていると、なんべんも繰り返し書いています。

「自然は素晴らしいんだよ」といっただけで総ての人を納得させることが出来ますか?

それなのに、なぜかゲンゴロウさんは、「自然は素晴らしいから、守らなくてはいけ
ない」的な話に固執し、現実を見据えようとしない。それは逃避ですよ。

「自然は素晴らしい」、そんなことは当たり前です。ただ私はそれを議論しているの
ではないのです。理解していただけないなら仕方がないですが。

誤解を招かないようにまた書きますけど、私はゲンゴロウさんの生き方を非難してい
るのではないですよ。議論の仕方を指摘しているのです。私が何度も、『前提』と『
価値観』、あるいは『プロセス』と『理想』を分けているのはなぜか考えて下さい。
ゲンゴロウさんが志の高い、素晴らしい方だというのはメール見れば分かります。で
も、その理念と、人間相互作用のプロセスというのは、分けて考えてほしいのですが。
話が進まないじゃないですか。

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広木眞達(HIROKI, Masato)
国際基督教大学生物学教室加藤研究室
〒181-8585 三鷹市大沢3-10-2
TEL 0422-33-3269 (加藤研究室)
email address:hiroki@icu.ac.jp.
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