[BlueSky: 801] Re:644 アメリカ先住民


[From] "AIKAWA" [Date] Wed, 8 Sep 1999 00:15:51 +0900

こんにちは、相川です。

At 16:43 27/08/1999 +0900, Yumiko Hayashi wrote:
>私が今まで聞いたのは、北米のインディアンはユーラシア大陸を出てベーリング海
>峡を渡り北米にたどり着いたということですが、そうなると、アマゾンのインディオ
>はどうなるんでしょう。北米から更に南下を続けて南米大陸にたどり着いたのでしょ
>うか。それも徒歩で。
>彼らの身体的特徴(顔)は、明らかに北米の彼らとは違うよ
>うに見えます(北米のインディアンが細面、切れ長一重の顔立ちなのに対して、アマ
>ゾンのインディオは丸顔、丸い目、丸い鼻。)

北米オンタリオ湖南岸でイロコイ連邦(合州国やカナダとは別の自治領)を
成している北米先住民がいるそうです。その先祖がユーラシア大陸を出て、
ベーリング陸橋を渡り、オンタリオ湖南岸に定住するまでを、
現在の語り部が書いた本を紹介します。
 「一万年の旅路」(ポーラ・アンダーウッド 翔泳社 税別¥2500 1998年)
 "The Walking People" (Paula Underwood 1993)
中南米先住民についての話はほとんどありません。

著者は、1932年ロサンゼルスで語り部の家系に生まれましたが、
大学卒業後、首都ワシントンで30年以上、核軍縮や
女性の地位向上などで、議会やNGO活動に関わってきたそうです。

著者が伝えられたとおりのことを書いているのか、
その伝えられてきた内容がすべて真実なのか、
という保証はありません。

本の一部を紹介します。
移動の時期や場所は著者の推測です。言い伝えには、地形の描写や、
冬が何回過ぎたというような描写しか、ないわけですから。

旅路ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うっそうとした樹林地帯で暮らしていたが、乾燥してきたため、
北上し、地中海かカスピ海の東岸に移り住む。
約2万年前、そこを離れ、イラン北方、ヒマラヤ北側などを通り、
約1万5000年前、アジア大陸東岸(朝鮮半島辺り?)に辿り着く。
ある時、大地震と大津波に見舞われたため、そこを離れ、
約1万年前、ベーリング陸橋を渡り、ロッキー山脈東側に沿い南下。
一旦、太平洋岸(米国とカナダの国境の辺り?)へ出、また内陸へ入り、
プレーリー(大草原)を渡り、約5000年前、オハイオ河畔に定住。
約4000年前、北米北東部沿岸に定住。
約3000年前、オンタリオ湖南岸に定住。

出会った部族ーーーーーーーーーーーーーーーー
(ベーリング陸橋を目指すことを決めた際、既に、彼ら(イロコイ族の祖先)
より前に陸橋を渡っていった者がいたことを知っていたらしい。)

ユーラシア大陸でも北米大陸でも、色々な部族と出会っている。
 彼らより背の高い部族はいなかったらしい。顔つきなども様々。
 次項の部族以外は、アジアから来たのかどうか不明。

北米北西沿岸にいた部族
 アジア大陸から船で北米に来、次にハヴァイ(ハワイ?)に行き、
 アジアへ戻るらしい。
 前にも仲間(?)が渡ってきたらしい。
 今また、同族らしい別の部族が船で到着。

オハイオ河畔の辺りにいた部族
# 林さん、中米との関わりはここだけです。
 胸に円形の金属板をぶら下げている。
 先祖は地中海の、アトランティス大陸のモデルとなった島に暮らしていた。
 そこが沈没するというので、5隻の船で色々な方向へ離脱した。
 この部族の祖先はユカタン半島に到着。原住民をこき使い、
 石で高い建物(ピラミッド?)を建てさせようとしたが、
 原住民が途中でいやがり、全員姿をくらませたので、
 船で北米ミシシッピー川の辺りへ移った。
 ここ(オハイオ辺り)では、土で巨大な蛇の像を作ろうとしている。
 (20世紀の現在、それらしき蛇型の土塁のようなものが残っている。
 それがその昔の蛇かどうかは不明。)
 マヤの都市に似た名前が話に出てくる。

オンタリオ湖畔の辺りにいた部族
 地中海の島から逃げ出した別の船の子孫らしい。
 やはり、湖畔で石で何かを作っていた。
 イロコイ族がオハイオの部族のことを教えると、
 姿を消した。(オハイオへ?)

イロコイ族ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ベーリング陸橋を渡った際は50人程度。
文字は持っていなかった。
船の技術は持っていなかった。オンタリオ湖畔で他の部族から学んだ。
非常に頭がいい。学ぶということに常に注意を払っている。
男女平等。ほぼ完全な民主主義。部族全員で話し合い、知恵を出し合い、
学び合い、情報を共有し合い、決めていく。子供の発言も尊重。
現在まで部族が存続し、さらに連邦という形まで認められているのは、
部族社会の高い資質が白人社会に認められてきたことの証と思います。

この本の魅力ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある北米先住民の、出身地や、1万年をかけた移動に関する様々な事実を
知ることができるということは、非常に興味深く、有意義なことだと思います。

でも、その長い旅路を辿った、その大昔の人々の様子を目の前に見、
言葉を聞くことができるということは、それに劣らない感動を
読む人に与えてくれると思います。例えば、
 1万年前にある8歳の女の子が考え、喋ったことが聞けます。

 広大な砂漠は渡れないからと大人たちが幼子たちを睡眠薬で
 殺したことに抗議して、薬を飲む16歳の少年。

 栽培という技術に部族で初めて気がつき、どうやったらその技術を
 混乱無く部族に受け入れてもらえるか、悩む女性。
 (栽培とか、衣類としての毛皮の利用とか、新しいことを
 受け入れるのは容易ではなかったようです。現代人も50歩100歩?)

 何を学ぶか、どう学ぶかについての考察。部族社会を健全に
 保っていくための考察。

 部族と部族の接触の仕方、関係。
 
この本は、内容が真実ならば、すごい本だと思います。


それでは


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