[BlueSky: 744] Re:740 海砂問題について


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Fri, 3 Sep 1999 23:56:47 +0900

佐川さん、田辺さん、みなさん、こんにちは。小宮です。

少し前までは、海砂が資源だなんて、全然しらなかったんですけどね。

◯佐川さん
>最近、私の地元(福島)で、砂の採取を巡るトラブルが起きていて砂を
>採取した業者が処分されるということがありました。その業者は景勝地
>のため砂の採取が規制されている土地を使用目的を偽って購入して
>砂の採取をしたというものでした。

◯田辺さん
>現在のように一部の地域に人口が集中すると,そこに住宅が必要となり
>その建設が行われ,その他インフラも整備されます.
>よって,都市部の人口過密は地方部の過疎化及びその地域の高齢化以
>外にも環境にもたらす影響も深刻であることが伺えます.

以前 [BlueSky: 599]で紹介した、四国新聞の特集「瀬戸内海論」
に、瀬戸内海における砂浜の侵食問題の記事がシリーズで連載
されていました。それによると、過去30年間で瀬戸内海から
採られた砂は6億立方メートルだそうです。過剰の砂の採取で、
海底の一部では、粘土層が露出し、砂浜を寝床とするイカナゴ
や、その他の生物は絶滅の危機にあるそうです。

戦後復興から高度経済 成長期にかけての「建設ブーム」で砂の
需要が増え、無許可の違法採取が横行し、一時は何百隻の砂採
取船が香川の海にあふれたそうです。厳しい規制が引かれた
現在でも違法採取が常態化し、平成9年では広島、愛媛、岡山
で、60業者中58業者が違法採取で摘発され、海砂の枯渇化が
進んでいるそうです(まさに共有地の悲劇!?)。

摘発されたある採取船の船長は「海砂はだれのものでもないし、
少しぐらい多く採っても分からない」と言ったそうです。


ここから少し余談ですが…

ところで、ゲンゴロウさんは「共有地の悲劇」のスレッドで、以下
のことを言われていますよね。

>「共有地」の悲劇は、「共有地」という観念を広めれば、あるいは、
>広める努力をしているうちに、自然に消える「お話」だと思います。

>抽象的な表現で言うと、自然環境へのアプローチは、自然を操れ
>る、分配できるという人間中心の考えを、完全に排除し、謙虚な
>気持ちになり、一度、自然を自然の中に戻し、そこからスタート
>しなければ、対処療法の繰り返しが加速するだけだと言いたい

これには僕は非常に感銘を受けました。まさにそのとおりだ、と
思ったのですが、しかし、現実はやはりそう理想的にはいかない
ような気がします。自分も含め、人間というものは、もっと弱い
ものではないか、と。自分以外のものが平然と資源を搾取して
いる時、自分の肩に従業員や妻子の生活がかかっている時、果た
してそれでも他の人類のため、他の生物のために自分一人、自制
することが可能であるのか?全く知らないもののために、自分の
生活を犠牲にしてでも、自制することができるのか?これは、
本当に大きな問いかけであると思います。

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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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