みそのう@山梨大です
人間が視覚動物である以上,
目に見える形のモデル(標本を含む)の提示による
理解の効率が高いのは確かですね.
しかし,モデル化した時点で
実物とは異なってしまっている ということが
忘れられがちなように思います.
そこで失われる情報はどのようなものなのかを
知ることができればいいのですが.
#認知心理学,あるいは認識論の世界でしょうか
さて,本題.
At 23:21 99.9.2 +0900, Katsumi wrote:
>> 人体標本ではプラスティネーションといって,特殊な樹脂を
>> 注入して触れるようにしたものが最近開発されています。
>> これまで液浸以外では不可能だった内臓の標本ができたので
>> 画期的だったそうです。
>> 昆虫はキチン質(でいいんでしたっけ?)があるので,
>> プラスティネーションは難しいかもしれませんが,ああいう
>> 感じで,触っても大丈夫な加工ができるなら,それに越した
>> ことはないですね。
>
>プラステネーション,キチン質(どちらも何となく判るのですが),是非,自分で調
>べようと思います。アート指向の人間には「特殊な樹脂」は非常に魅力ある言葉です。
たまたま,私の隣が池田清彦さん(構造主義生物学の虫屋さん)で
養老さんー池田さんとのつながりから
このプラスティネーションについて数年前からすこしやってみています.
これは,弾力性のあるシリコン樹脂を生体中の水分と置換することによって
生体をそのまま標本化する方法です.
開発したのはハイデルベルク大学医学部で,現在でも医学関係がメインなようですね.
#国際学会がある
http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/go/plastination.html
で,山梨大ではヒト以外の生き物を対象にしているのですが,
池田さんのところの結果とあわせると
1 キチン質の堅い昆虫(甲虫の成虫など)はだいたいうまくいく
2 やわらかい昆虫(幼虫など)は個別に試行錯誤する必要がある <うまく行かな
い場合もある
3 植物は,だいたいの場合脱水がうまくいかない
というようなところです.
うまくいった場合は,まさに実物そのもの(触感がちょっと違う程度)になりますので
いろいろあちこちでやってみてくれるといいのですが.
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