[BlueSky: 728] Re:717 共有地の悲劇について経済学の見地から


[From] Kazubito Takagi [Date] Thu, 02 Sep 1999 23:46:31 +0900

かずびとです。どうもです。広木さん,早速のレスありがとうございました。さて,


HIROKI Masato さんは書きました:
>一年当たり、100万と50万、これを比較しなければいけないのですよね?

私の例では,「悲劇」が起こらない場合得られる利益が総額5500万円,「悲劇」が起こった場
合得られる利益が総額1000万円になります。10人で等分するとそれぞれ550万円と100万円にな
りますが,後者のケースでは10人が均等に利益を得るということは考えにくいかなとも思いま
す。

>利息がどこに入るか、それが問題なのです・・・

たとえば,年あたりの利率を10%だとして,来年の今日500万円の収入があるとしましょう。そ
の収入は現在の価値でいえば (500万/1.1)円=約455万円 になります。なぜなら,今現在こ
れだけのお金を持っていてそれを銀行に預けさえすれば来年の今日には500万円の収入になるか
らです。同様に,再来年の500万円の収入は現在の価値でいえば (500万/(1.1)^2)となり
ます。こうした収入を等比数列の和の公式を用いてすべて足すと5500万円という数字が出てくる
と思うのですがいかがでしょう。つまり,利率10%という条件の下では毎年500万円づつの収入
があるということは今現在5500万円の収入を得るということと同じになるのです。なお,問題を
単純化するためにここではインフレ率は0と仮定しています。

>> 「共有地の悲劇」は興味深い問題だし,また非常に厄介な問題ですが,それ
>> を人間の性(さが)と結びつけるような議論はすこし違うのではないでしょう
>> か。
>
>なぜ違うのですか?引き起こすのは人間ではないのですか?

経済学では,「すべての人間は己の利益を最大化するように行動する」という人間像を前提条
件として考えています。「共有地の悲劇」もこうした人間像の下で起こる問題なわけです。確か
にこうした人間像に関して議論の余地はありますが,しかし,「共有地の悲劇」の問題とは別個
に考えるべきテーマなのではないかと私は考えるわけです。

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KazuBito Takagi j8takagi@stw.or.jp


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