[BlueSky: 690] Re:687 :共有地の悲劇そのいち


[From] HIROKI Masato [Date] Tue, 31 Aug 1999 19:44:58 +0000

葛貫さま、みなさま

広木@ICUです。葛貫さんはちょっと大きな誤解をしていると思います。

> 今、原子力発電も、遺伝子組み替えも、他の種々の技術もメリットとデメリット・
リスクが
> 明示され、利用する側に選択権が与えられているとは感じられません。
> 気付かないうちに、取り返しのつかない状況に追いやられても、デメリット・リス
クの
> 明示を要求し、選択権を行使しなかった利用者が馬鹿だったということになってし
まう
> のでしょう。で、広木さんの仰しゃる短期的なリスクしか見ないものが、一時的に
良い
> 思いをする。もし、子孫を残さないとしたら、それで十分なのかもしれない。

「共有地の悲劇」では、問題は正反対です。「子孫を残さない人」が、「自分の保有
する」短期的利益を喰い尽くすのではありません。長期的利益を残そうとする人は、
短期的利益を追求する人に原資を(短期的利益として)喰い尽くされてしまう、その
ため得るものが無くなり、子孫を残せ無くなるのです。資源は各人に均等に割り振ら
れているのではありません。各人が必要なだけ「ぶんどる」のです。

過去にはそれを防ぐものが、社会習慣であったりタブーであったりしたわけです。た
だ、それらが通用するのは特定の地域の集団構成員のみです。集団間の移動がかよう
に便利になった現在、一体我々は何をすべきか。それが問題です。目的は一緒でも指
向するプロセスが違えば、到達点は異なるかもしれません。人は皆、用心深くなけれ
ばいけないのでは?

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広木眞達(HIROKI, Masato)
国際基督教大学生物学教室加藤研究室
〒181-8585 三鷹市大沢3-10-2
TEL 0422-33-3269 (加藤研究室)
email address:hiroki@icu.ac.jp.
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