[BlueSky: 68] ロック魂とエコロジー


[From] suka@nacri.pref.nagano.jp (SUKA, Takeshi) [Date] Mon, 12 Jul 1999 18:34:38 +0900

上岡さん、柳澤さん、みなさん

   須賀です。

最初にちょっとだけごあいさつして4日間留守にしていたらもう投稿数が60
をこえて、内容もガンガンふかまっていて・・・・・。みなさん、とばします
ね(笑)。

上岡さん:
> 上にも書いたように音楽という分野に身を置いていたこともあって
> その分野に興味のある若い人たちに向けてエコロジーの情報を
> 伝えて行ければと思っています。ごく最近の仕事としてはロッキングオンの
> 「H」という雑誌でエコロジー特集を組んでもらいました。

ロックとエコロジー。面白い話題だなあ。ロックに興味をもつような最近の
若いヒト(わたしは34歳なのでジョン・レノンの定義ではもう終わってる?)
は、エコロジーにも興味をもっているんですか?

60年代、70年代に米国でカウンター・カルチャーがもりあがったとき、環境
保護運動、ベトナム反戦運動、公民権運動などが、ロックやヒッピーなんかと
雰囲気的にむすびついていたというイメージがあります。わたしは当時子ども
だったので、そういうことはあとで本で勉強したのですが。それで、そういう
「若者の反乱」みたいなことは、同時期にフランスや日本やブラジルなどでも
起こった、と聞き及んでいます。

そういう動きによって生じた社会的な意識の変化は、そのあとの時代の考え方
にどういう影響をもたらしたんでしょう。米国などではそういう動きに身を投
じたひとたちが社会の支配的な価値観に対してオルタナティブ(対抗勢力)を
つくっていき、その一部が現在の環境運動の勢力にもつながっている、という
イメージを漠然ともっています(正しいかどうかわかりませんが)。日本では
どうなったんだろう?

日本では今でも、環境問題について論じはじめると、シニカルな視線をむけら
れることが多いように思います。それがわるいとは思いませんが、このシニカ
ルさはとても特徴的だと思うので、好奇心をおぼえます。環境問題は、社会の
ありかたとか、個人のライフスタイルとか、公共性のありかたとかに、むすび
ついています。こういう領域についてまじめに論ずること自体から距離をおき
たい、という気分があるのだろうか。そうだとしたらそれはどこからでてくる
んだろう? 一昔前の左翼とか右翼とかのおせっかいな大言壮語に距離をおき
たいという気分とひとつながりのものなのかな。

(正しいかどうかまったくあやしいですが)「ロック魂」もこのシニカルさと
関係があるんじゃないかとわたしは考えたりしています。「地球にやさしい?
ふざけんじゃねえ!!」と皮ジャンをはおってエレキギターをたたき割ったら
クールでかっこいいです。自分ではそこまでやらなくても、そんな冷たいシニ
カルな姿勢にも「ロック魂」みたいなものを感じてイイ、とシビレるひとは、
わたし以外にも結構いるんじゃないだろうか。

もっともわたしは、ロックよりもラテンとかアフリカ音楽の方が好きですが。

この「ロック魂」は、日本ではどんなふうにして環境問題とむすびついてい
くんでしょうか?

わたしは「自然保護研究所」というところで昆虫の生態を研究しています。
専門は生態学(英語でいうEcology)ですが、いわゆるエコロジーとは
だいぶんちがいます。自然科学の一分野です。

わたしにとって「自然保護」は仕事の対象。ですから、自分はいわゆる環境
保護派とはちょっとちがうかも、と思っています。生活習慣もわりとルーズ
ですし。でも、こういうスタンスで環境を考えるヒトも必要だと思っていま
す。たとえばパレスチナとイスラエルの紛争のような現場に身をおいて問題
解決を考えるときには、自分は宗教を信じていなくても、宗教的対立自体を
リアルな現実として受けとめ、解決の糸口をさぐらなくてはならないのだろ
うと思います。環境問題も主義主張への好き嫌いだけを論じるのではなくて、
社会として対処しなければいけない待ったなしの現実、としてうけとめなけ
れなならない時期がきていると思います。地域社会、日本の社会、そして
国際社会というそれぞれのレベルで。

なんてことをいうとずいぶんえらそうですが。でもこういう主義主張として
ではなく環境を考える、という姿勢はなかなかわかりづらいらしく、よく誤
解されてつめたい視線をあびます。ところがわたしはこういう「逆境」がと
ても好きで、「ロック魂」ならぬ「サルサ魂」だか「サンバ魂」だか「アフ
ロ魂」だかがフツフツとたぎってくるのです。

みなさんのブーイングをお待ちしています。







Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp



▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。