[BlueSky:06683] Re: 海流発電 他(林業と地域について)


[From] 酒井千富 [Date] Fri, 29 Jun 2007 11:45:20 +0900

青空のみなさん
藤田さん

群馬の酒井です.
藤田さん,はじめまして

再生可能エネルギーは,低密度広範囲に存在するため石油と同じ
ような方法ではうまく使えないのではないでしょうか.変換効率
も化石燃料は40%程度,太陽光では10数%(電気に変換した
場合)程度だったと記憶しています.
ですから,エネルギーの形態をなるべく変えずに利用することを
考えるべきだと思います.

藤田さんが仰るとおり再生可能エネルギーの分散利用を考えると,
かならず地域格差が生じます.地域特性に応じたエネルギー種類
の選択が必要となり,一つのエネルギーに固執する必要はないと
思われます.また,その量についても計算(理論上)のやり方は
様々で,太陽エネルギーは日本の陸地に降り注ぐ分で使用エネル
ギー量の100倍になるとか,日本中で小水力発電を行えば使用
量を十分に補えるとか,地域を限定して試算すると森林の生長量
でその地域のエネルギーを賄えるとか・・・
積雪のある地域においては,雪の冷熱を利用する研究も進んでい
ると聞いています.

> 誰が作って届けるのか? 誰が修理するのか?
> 発電設備の製造コスト、および、生産しているエリアから山間地域に搬入するまで
> のコスト・メンテナンスのコストも気になりました。実際に町から村までの道路整
> 備は結構進んでいます。しかし、「村」から各「家」までの道路整備は数十年前と
> あまり変わっていません。しかも山間地域には標高差があります。そのため現地ま
> での輸送コストは平地の町から町とは格段に違います。谷をまたいで向こう側、と
> か、利用者の住まいまでの道は軽自動車しか入らない、なんて所もあります。全国
> の山間地のばらけた集落の各家でそれを利用するとしたら、そのコストに見合った
> ベネフィットが本当にあるのか気になります。

私は再生可能エネルギーの利用についての考え方について書いた
つもりでした.具体的な運用法について論じていないので無責任
なものなってしまったのは申し訳なく思います.先に書いたよう
に地域の特性に応じたシステムを構築していくためには,地域毎
の研究・技術が必要になるでしょう.また,考え方(理念や方針
みたいなもの)を構築する際に具体的なシステムや既存のシステ
ムを持ち出すと先に進まなくなってしまうことがあります.巨大
な風車を構築して発電しようというのは,まさに既存システムを
踏襲した発想ではないでしょうか.もちろん,具体的な行動から
新たな発想が生まれることも多々あるでしょう.巨大風車もその
行動から生まれた様々な問題を解決していく手段が生まれればそ
れでも良いですけど.

ひとつ,地域力について
岩手県の本寺地区というところが世界遺産に登録されます.中世
の荘園形態が残されており景観保全という形での登録は日本初だ
そうです.実はこの地区,過去になんども圃場整備(田んぼの区
画整理)の話があったそうですが地主がまとまらず頓挫していま
した.景観保全に地元がまとまったのは,ある研究者の情熱(3
0年にわたる研究)によるものです.世界遺産登録が地元にとっ
て有益なのかは定かではありません.なんせ高齢化が問題である
にもかかわらず,開発は一切出来なくなります.
私も初めは,本寺は非常に特殊なケースであると思ってました.
でも,本寺に行って地元の人たちと話してみるとそうでもないこ
とに気づきました.そこに住む人たちは,特殊ではないのです.
地域がまとまるには,なにか切っ掛けが必要なのだなぁと感じま
した.なかなか,難しいでしょうね.

> ・林業について
>
> 間伐が遅れているのは現場では百も承知だと思います。林業従事者が高齢になり、
> 施業できないのでそのままになっています。重労働な上技術も必要な間伐作業を誰
> も行えず、後継者は既に別の仕事に従事しています。経済的間伐をやらざるを得な
> くなったのはなぜでしょうか? 林業に従事していれば、「いいものだけ抜き伐り

> たら後が続かない。」程度のことは分かっているはずです。林業を主たる職業にし
> ているからこそ生じている、のっぴきならない問題ではないかと思いますがいかが
> でしょうか。

林業従事者の高齢化は群馬でも問題になっています.
これは,群馬のある森林組合での状況なのですが緑の雇用促進事
業でIターンやUターンの若者を雇用したのですけど,助成機関
(1年)が終わると殆どが離職してしまったそうです.収入が少
なすぎるのですね.林業だけで自活するのは難しいです.
現在,その森林組合施行はほとんどが切り捨て間伐です.間伐に
は助成金が出るのですが,材を搬出するとなると山主の負担が生
じるため,だれも搬出まで望まないそうです.
私も間伐ボランティアに参加していますが,切り捨てするならも
っと効率の良い施業法があるのですよね,おとなり埼玉では認め
られている巻枯らしです.鋸谷式間伐法は主伐にターゲットを定
めた施業法です(かなり大胆な発想ですが).枝打ちも選木した
木にしか行いません.間伐による収入を捨てて余分な作業を省い
ていけば,林業従事者の収入も増えるというのが鋸谷氏の考えで
すね.そのためには,100年という長いスパンでの施行計画が
必要でしょう.

> 蛇足ですが、歴史的な流れとしては、もともと「木材を輸入に頼っている」のでは
> なく、戦後の復興期、不足した建築材料の確保のため「木材を輸入しろ。」という
> 世論があって大規模な木材の輸入が行われることになったはずです。木材価格は下
> 落し、それまで生計が成り立っていた国内の林業は厳しい競争下に置かれ、現在の
> 有様になった、と記憶しています。

仰るとおりですが,結果として木材の輸入大国であります.
間伐遅れの人工林で選木作業をしていると曲がり木であったり,
病気が入っていたりの木がたくさんあります.材としての品質に
影響が出るのではないかと危惧しておりますが,藤田さんのとこ
ろではそんなことはありませんか?
今,外材の価格が上がっているようで国産材も価格面で競争でき
る材もあるようです.次に森林認証制度などが普及してくれば,
環境保全や持続可能な施業が重要になってくると思われますがい
かがでしょうか?

なんか,いろんな事を書いてまとまらなくなりました.
すみません.




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