[BlueSky:06682] Re: 海流発電 他


[From] "FUJITA" [Date] Tue, 26 Jun 2007 12:59:42 +0900

初めて投稿したします。藤田と申します。

日本海側の地方に住み、過疎の山間地域が数キロ先の目の前にあります。すこしだ
け現場を知っていますので、意見を書かせて頂きます。


・太陽光・風力発電について



どれだけ発電できるのか?
地方でもこれらの発電を「試そう」という動きがあり、既に問題も生じています。

風力発電は、近くに「町おこし」のために設置された風力発電機がありますが、日
本海側の冬季特有の落雷により、4回故障し現在は稼動していません。過去3回での
落雷でも年間2〜3ヶ月間は修理のため休止していました。このことから、風力発電
は落雷による故障を起こしやすく、風力発電に頼った生活スタイルの設計は難しい
のではと思います。

太陽光発電は、そもそも冬季日照不足でこの地域ではほとんど発電できません。太
陽光発電が不利である冬季は、日本海側の落雷多発時期でもあり、併用しても相補
的な利用は期待できないと推測されます。

自分の近所でもこの有様なので、これらの「理想的な発電」が実用として稼動でき
る地域はかなり限定的なのでは、と思います。




誰が作って届けるのか? 誰が修理するのか?
発電設備の製造コスト、および、生産しているエリアから山間地域に搬入するまで
のコスト・メンテナンスのコストも気になりました。実際に町から村までの道路整
備は結構進んでいます。しかし、「村」から各「家」までの道路整備は数十年前と
あまり変わっていません。しかも山間地域には標高差があります。そのため現地ま
での輸送コストは平地の町から町とは格段に違います。谷をまたいで向こう側、と
か、利用者の住まいまでの道は軽自動車しか入らない、なんて所もあります。全国
の山間地のばらけた集落の各家でそれを利用するとしたら、そのコストに見合った
ベネフィットが本当にあるのか気になります。



山間地域で現在利用されているエネルギー
電力とガスが中心です。都市ガスも引かれていない中山間部の過疎地ではプロパン
ガスが利用されています。40kg程度のガスボンベですが、冬季の搬入は、豪雪の
ため道路から家まで人力で行われています。この際、搬入場所までの除雪等も必要
です。(その煩わしさがあるのに結局プロパンガスが主流であるという点が重要で
す。プロパンに取って代われるものが現在ないのです。)



・林業について

間伐が遅れているのは現場では百も承知だと思います。林業従事者が高齢になり、
施業できないのでそのままになっています。重労働な上技術も必要な間伐作業を誰
も行えず、後継者は既に別の仕事に従事しています。経済的間伐をやらざるを得な
くなったのはなぜでしょうか? 林業に従事していれば、「いいものだけ抜き伐りし
たら後が続かない。」程度のことは分かっているはずです。林業を主たる職業にし
ているからこそ生じている、のっぴきならない問題ではないかと思いますがいかが
でしょうか。

蛇足ですが、歴史的な流れとしては、もともと「木材を輸入に頼っている」のでは
なく、戦後の復興期、不足した建築材料の確保のため「木材を輸入しろ。」という
世論があって大規模な木材の輸入が行われることになったはずです。木材価格は下
落し、それまで生計が成り立っていた国内の林業は厳しい競争下に置かれ、現在の
有様になった、と記憶しています。




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