その「臭い」は、いつも漂っていて、私は、いつもその臭いを嗅いでいたにもか
かわらず、私はその臭いを、その時、初めて感じた感じを持った。
妙なことを言うけれど、私がその臭いに気が付いたとき私はその臭いがあった
ことに気が付いた。つまり、私は、それまで、その臭いに気が付いてはいなかった。
もっと、このことについて考えてみると、どうも、私が「その臭いに気がつかなか
った」というよりは、臭いを嗅いでいる「私に私が」気が付いていなかったので、
その臭いを嗅いでいることを実感できなかったような気がする。考えて気がつけ
ば、私がその臭いに気が付いた時に私は私に気が付いたような気もする。それ
までにも、徐々に、そのようなことはあった。つまり、さまざまな感覚を鮮明に感じ
ると同時に、私は徐々に自分に気がつくようなことが・・・。生まれながらにして、
私は私を知ってはいなかったのだ。。。
その「鮮明な臭い」の時も、よく考えてみると、私は「強烈な臭い」に驚いた自分
に気が付いた。感じている私を、別な私が、時間的に少し遅れて振り返り、私自身
を見た時、その時、同時に、その臭いにも気が付いた。外界を知るのも自分を知る
のも同じ事のような気がする。
どうも、外界に気が付かない者は、外界に深く興味はなく、さらには自分にも深
い気が付きがないような気がする。この「認識」状態は、人によって差があるという
より、時によって差があるかもしれない。人は始終、自分に気が付いているとは言
えないようだ。
−−−−
振り返る、その行為で後ろを知り、結果、時間の正体である「現象変化」に気が付
き、その現象世界の中に自分が存在していることを感じ取り、自分を見始め、その
時に、私の周りの世界が、私を含めて私に姿を見せる。
「世界を感じている私」を「私」が見ることにより、その時の私に世界が見え始
める・・・。おかしな事なのだが、私はずっと私の存在を感じていたのに私は私を知ら
なかった。ずっと私に気が付いていたのに私は私を知らなかった。
私が私に気が付くのは。なかなかむずかしい。私が私を再確認する時、それは、
「私が私に気が付いていたということ」に私が気が付くことなのではないだろうか。
かなり紛らわしいので、こうやって言葉にして並べて考えないと分からなくなる。
「私が私を感じていたこと」と、「私が私を感じていたことを感じたこと」の区別は似
ているだけに、とても難しい。
−−−−−−−−−
似ているだけに区別が出来ないことがあるように、当たり前のことが、当たり
前だけに、当たり前に分かっていない場合が、多々あるような気がする。
人間というのは、外界を感じているわけなのだが、それは動物でも同じだろう。
動物だって外界を感じている。まさか、何も感じない生き物はいないだろう。
痛みとか刺激だけでなく、心地よさとか、すがすがしさといった感じを感じる私
と同じように、動物だって、そういう「いい感じ」を感じるだろう。そして、もしかし
たら、それなら、動物だって自分の体が感じる感じを味わっているのだから、そ
れは、正に自分を味わっていることでだから、自分の感じを味わうのだって
人間の特権とは言い難い。が、しかし、その際、「感じている自分を感じる自分
がいることを感じる」という、感じの連鎖のようなことは、かなり人間的なことの
ような気がする。
激しい痛みに教われたとき、もう、痛みを感じている自分を知るゆとりなどな
いので、幸いにして、激痛の中で死んで行く者に、死の恐怖はないような気が
する。つまり、痛みがない死に見舞われたとき、死を考え、大変な恐怖が押し
寄せるのだろう。感じている自分を、ゆとりをもって感じるとき、生の奇蹟のよう
なものを感じるのだろうから、感じている自分をまじまじと見つめることのない
動物に、死の恐怖はないだろう。しかし、よくよく考えることによって、人間は
感じの連鎖の存在を知り、結果、よくよく考え、死を知り、対極にある、自分の
生を知り、更に、自分とは対岸にいる他者や他の生物の生をも知るのだろう。
「感じる自分を強い認識を持って感じる」ことがない時、人は、おそらく動物と
大差ない状態にあるのだろう。
私は、漠然と感じるだけで過ごしている日々のほうが多いような気がする。
「腹が減ったなぁ」とか、「暑いなぁ〜」とか「風が気持ちいいな」とか、「空
が高いなぁ」とか感じていて、微かに、感じている自分をも感じているけれど、
おそらく、この感じも、きっと多くの動物に程度の差こそあれ、あるだろう。
ゲンゴロウ
よくよく考えないと気が付かないことがある
ような気がします。考え続けることで感じること。
興味も同じで、興味が興味を生むような・・・。
だから、興味がないことは、もう徹底して興味が
生まれない。。
いつもながら、こんな投稿ですみません。。。
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