[BlueSky:06624] Re: 入会のご 挨拶です


[From] "SUKA Takeshi" [Date] Thu, 13 Jul 2006 00:23:10 +0900

酒井さん、中澤さん
             須賀です。

酒井さん、はじめまして。

酒井さん:
> 土木というと,環境を破壊する産業でありますしこのM
> Lにはそぐわないかもしれませんが,環境共生型の土木
> 事業も必要であろうと思い,勉強中であります.

いえ、土木ほど、自然環境の改変と保全のはざまでさまざまな
課題をかかえ、なやんでおられる分野もほかにそうはないのでは
ないでしょうか。これはわたしどもの分野(生態学、保全生物学など)
の力量不足でもあるのですが、土木の事業では、場所ごとにちがった
生物がおり(しかもどんな生物がいるか事前にはわからないことが
多い)、出てくる課題のかたちもいろいろです。加えて、目標とすべき
考え方やしたがうべき制度のかたちがどんどん変化していますね。だから、
こういう問題にはこうしたらいい、というマニュアルのない領域が
大きいですね。

ひとことで環境といっても、(1)保健・衛生の分野と、(2)汚染・公害
などの分野、(3)自然環境保全の分野とでは、日本では社会的にとりくんで
きた蓄積の長さや制度の整い方にかなり差があるように思います。
図式化していえば、(1)は終戦後、(2)は70年代の公害対策、(3)は
地球サミット以後に基本的なしくみづくりがなされた、といった感じで
しょうか。(3)の分野ではかなり最近になってつくられたり改正されたり
した重要かつ基本的な法律がいくつもあります(もちろんほかの分野でも
どんどん新しい課題やとりくみはあるわけですが、対応する土台が民間でも
行政でももっとできあがっていると思うのです)。そして、争点になりやすい
領域には、まだ取り組み方がきめられていないことも多いですね。社会的な
合意形成や制度づくりがまだまだ進行中、といったところでしょうか。
もちろん、生活者の立場からいえば、これらの領域はたがいにつながりも
あり、切り分けてばかりもいられないわけですが。地方自治体などには、
自然環境行政の専門的なスタッフがほとんどいないのが普通だと思いますので、
かえって行政の担当者のほうが、現場の事業者の方などよりその点では「市民感覚」
(?)に近く、このあたりのマニュアル化のレベルのちがいに気づいていなくて
ご苦労されることがあるかもしれませんね。

中澤さん:
> 人為を加え始めたら最後まで面倒を見なくてはいけない
> と思うのですが,予算の付き方が,設備ができるまでと
> できあがった設備の維持管理が別なことが多くて,
> なかなか最後まで面倒をみるということができないで
> いるような気がします。

これはわたしも感じます。わたしも、感覚的・抽象的にしかいえないのですが、
これには何か構造的な原因があるような気がします。行政組織内部での
仕事の評価のシステムとか、人事異動のシステムなども関係していそう
な気がします。ちょっと、わたしもズバリこうだ、というふうにはわからない
ところがあり、もどかしいのですが、ちょっと苦労しているところでも
ありますので、また考えてみたいと思います。

   須賀 丈







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