[BlueSky: 661] Re:647 :共有地の悲劇


[From] HIROKI Masato [Date] Mon, 30 Aug 1999 11:28:11 +0000

葛貫様、みなさま

広木@ICUです。

> 「風の谷のナウシカ」というと、ナウシカが、後に「テト」と言う名前を
> 付ける「キツネリス」に出逢った場面が印象に残っています。
> 野生のキツネリスが、ナウシカに噛みついた時、ナウシカは振り払っ
> たりせず、「こわくない、こわくない、ホラ、こわくない。」と言い聞かせ、
> テトの緊張を解いてました。
>
> 「最大の防御は攻撃」で、先制攻撃の裏側には、ひどく怯えた相手が
> いるのかもしれません。
> 現在の行き過ぎにも感じられる環境整備や清潔志向の裏側には、
> 現実の自然の姿を見て折り合いをつけようとする余裕もないほど怯え
> たヒトがいるのかもしれないと思いました。
> 寛容になれず、過剰防衛してしまうのは、怯えているからなのかもしれません。
> 他の生物は「今、ここ」にある危機に対処するのに、未来を予測する
> 能力を持ってしまったヒトは、起こるかもしれない(起きないかもしれない)
> 危機を想定し、防衛しようとする。
> どこまでが適切な防御なのか見極めることは難しいです。

「先制攻撃」、「過剰防衛」というのは、イメージとして、分からないです。
我々が環境に対して、何を攻撃するのでしょう?

「自然環境」というのは、人間にとって単なる「資源」でしかありません(どのよう
な「資源」であるか、それは人それぞれまちまちでしょうが)。その資源をどれだけ
利用するか、それは個人に与えられた自由であり、また、「課題」であると思います。

いわば環境は、総ての人間が共有する「財産」なのです。そこで、その財産に、どれ
だけ投資し、どれだけ収穫を得るか、その収支のバランスが、人間個人間の「かけひ
き」になります。

ちょっと例え話をしましょう。皆さん、税金は高い方がいいですか?安い方がいいで
すか。それと、公共料金はどうですか?

1:税金は安く、公共料金も安い方がいい
2:税金は高く、公共料金は高い方がいい
3:税金は安く、公共料金は高い方がいい
4:税金も公共料金も高い方がいい

多くの人が、1を選ぶことと思います。4を選んだ人、私はあなたの良識は評価しま
すが、信用しません(じょーだんじょーだん)。

ここで問題となるのは、公共料金に関わるものを維持するのは税金だということです。
各個人が自分の思うままに行動したら、財政破綻がやってきますよね。

これが、「共有地の悲劇」と言われるものです。この状況下で「自制」をする人は、
自制しない人にただただ貢ぐことになり、「適応的でない」と言う烙印を押されるこ
とになります。ですから、長い時間をかけると、「自制」と言う戦略は生き残ること
は出来ません。

多分こういう話をすると、いわゆる「ヒューマニスト」の方々は、拒否反応を示すの
ではないかとおもいます。皆さんはどのようにお考えですか。

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広木眞達(HIROKI, Masato)
国際基督教大学生物学教室加藤研究室
〒181-8585 三鷹市大沢3-10-2
TEL 0422-33-3269 (加藤研究室)
email address:hiroki@icu.ac.jp.
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