[BlueSky: 659] Re:658 未来予測、過剰防衛、環境について、、


[From] ymizuno@yo.rim.or.jp (水野義之 Y.Mizuno) [Date] Mon, 30 Aug 1999 02:01:57 +0900

葛貫さん、はじめまして、水野義之@京都女子大、です。

At 17:33 1999.08.29 +0900, Y.Kuzunuki wrote:
>>私は、人間の最大の特徴は「危険事前回避能力」だと思っています。
>>そのため、人間には「妄想」が生まれていると。。

>私も、そう思います。
>「妄想」に陥らず、適切な判断を下すために、水野さんが【285】で
>>感覚的な心配(恐れ)だけだったら原始人でも出来る、定量的に問題を
>>把握することの大切さ、そういう量的な感覚を、是非とも養っていただきたいと
>>思います。小学生からこれをやるのは、なかなか難しそうですが、空間把握や
>>地理的把握の能力の発達をみながら、量的な問題に目を向けることの意味を
>>具体的に考えさせる、ということをやっていただきたいと思います。
>と仰しゃっていたことはとても大切だと思います。

なんだか、自分の意見の正しさを聞いて、聞いて、という感じになるのは
つまらないので、やりたくないですが、私は、妄想、という感じではなくて、
イメージとか、想像力、というものの問題だと思います。

私としては、定量的だけど感覚的なイメージ、これをなんとか、伝えたいと
思っております。


>でも、一方で、数字自体が権威を持って、独り歩きを始めることを怖れます。
>「基準値」のようなものができると、それが決定された背景、仮定のようなものが
>忘れ去られ「そこまでは大丈夫、そこまではいいんだよ」のようになってしまったり
>するのは問題があるように感じます。

その通り。だから、もし、私が教えるならば、数字、というものを
どうやって疑うか、というところから、始めるでしょう。誤差の意味
ですね。統計誤差と系統誤差のこととか。

そして、一般に(かどうか、よくわかりませんが)、科学者(と世間でいわれる
ひとたち)は、こういう定量的な把握は、当り前になっているのですが、
それが(世間では)いかに、いいかげんにしか理解されていないか、という
ことに、日夜(ニュースを聞く度に)怒っています。

だから、我々がもし教えるとすると、そういう、数字の読み方まで含めて、
定量的だけど感覚的なイメージ、これを、なんとか伝えたい。


>数値化されたものを過信してはいけないし、未知のファクターについてオープンな
>姿勢を保つことが、大切だと思われます。

その通りですね。

科学的、というのは、疑う方法を知っている、ということだと思っております。

なぜ、そういう態度をとることが必要か、というと、人間(のやってきた科学)
という営みは、これまで、いかに多くの間違いをやってきたか、(逆に、正しい
理解に到達するのは、いかに難しかったか)、ということが、科学を勉強する
ことによって、本当によく、わかるからです。

科学、というのは、そういう意味での「正しい論理」を抜き出して、研究を
することです。だから、人間の認識の限界が、本当によく見えるのだと思います。

そういうことを、私は伝えたい、ということを、定量性(の考え方)を教える、
というところで、本当はいいたかったわけです。

でも、(世間の)偏差値信仰だけからみても、こういう(数値化されたものを
どう、捉えるか、という)「教育」というのは、なかなか困難な作業になりそう
ですね。



---
------------------------------------------------------
Y.MIZUNO 水野 義之 (大阪府 茨木市)
http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~ymizuno/
==> Kyoto Women's Univ. http://www.kyoto-wu.ac.jp/
Tel/fax: 075-531-7104 mizuno@kyoto-wu.ac.jp


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。