[BlueSky:06532] Re: 衆議院選 挙


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Fri, 16 Sep 2005 12:08:56 +0900

こんにちは、葛貫です。

一ノ瀬さんwrote:
>  加えて、日本の場合、政治的リテラシーがかなり低い人々の割合が小さくな
> く、しかも政権のキャスティングボードを握る形になっています。
>  今回の総選挙では、この、政治的リテラシーの低い人々が自民党支持に回った
> ため、自民党の極端な大勝になってしまいました。

9月12日の朝日新聞の夕刊に、「衆院選の結果を見て 上 − 前面
に出た首相の『私』 − 『熟慮の政治』 抑制を懸念」という谷藤
悦史・早稲田大学教授・政治学のコラムのなかに、下記のような一
節がありました。

***************

商品のように売り込む

政党、候補者、政策を、商品のように売り込むための戦略を整理体
系化し、理論化したものを「政治マーケティング」と言う。その理
論は語る。人々の支持を調達するために、メディアを巧みに利用せ
よと。さまざまな問題を限られた時間で報道するメディアのために、
複雑な政治を可能な限り単純化して提示せよと。それには、自らの
立場を際立たせるために、対抗勢力を明示して対比化せよと。さら
に、対比した勢力をひとくくりにして「望ましくないもの」、自ら
は「望ましいもの」と二元化し、それを象徴する人々を配置せよと。
ワンフレーズ・ポリティックス、郵政民営化に賛成か反対かの対 
比化、賛成は「改革派」で「望ましいもの」、反対は「守旧派」で
「望ましくないもの」の二元化、「刺客」の配置。「政治マーケテ
ィング」の戦略を忠実に反映したような選挙であった。この単純化
された構図にメディアが注目し、政治劇が増幅された。
この政治劇に、野党は翻弄されて選挙戦を終えてしまった。4〜5週
間にわたって選挙戦が展開される欧州諸国と違って、総選挙はわず
か12日間。この選挙期間では、ひとたび「世論」の流れが作り出さ
れると、それを変えることは難しい。メディアも、小泉政治に対抗
する政治議題を設定できなかった。テレビを中心としたメディアの
論理を理解し、巧みに利用した小泉政治の勝利である。

*****************

JAWAYさん
>  政治的リテラシーのレベルが揃った民衆と言うものを、
>  仮定する事自体が現実から乖離した大きな間違いです。

>  当然の様にレベルは広く分布しているはずですから、
>  そう言う集団に向けてのアピール戦略を組めなきゃならないんです。

そうなのでしょうね。

メディアも「刺客」とか面白おかしく演出して、各党のマニフェス
トの比較に焦点を当てた番組が目立たなかった。

>  実学の議論は民衆の堪忍袋の期限の内に終らせる必要があります。

実際、自分が何に対して、どう堪忍しているのか、具体的にわかっ
ているのでしょうか。


デズモンド・モリスの『「裸のサル」の幸福論』(新潮新書)に、
こんな一節がありました

*****************
幸福の本質とはしばしば誤解されていて、「満足」や「心の安定」
などと混同されることがあります。その違いはこう説明すればわか
りやすいでしょう。すなわち、「満足」は人生がうまくいっている
時の「気分」であるのに対し、幸福は人生が突然好転した時に我々
が体験する「感情」であると。・・・・悲しいことですが、この感
情は長くは続きません。激しい幸福感というのは束の間の、すぐに
消えていく感覚です。「気分の良い状態」ならばしばらく続くでし
ょう。・・・
変化と挑戦に満ちた、創造的生活を営み、努力を向けることの出来
る明確な目標を持っている人々は幸福です。それは、人類が進化し
てきた過程に沿った生き方だからです。計画、奮闘、達成、リスク
テイクが、人生に組み込まれています。
・・・
(農業革命、産業革命の話)
・・・
コンピュータ技術の進展によって、心を麻痺させるような単純労働
の多くは、これまでの「賃金奴隷」ではなく「機械奴隷」に委ねら
れていくでしょう。
 それが退屈な単純労働を最小限にまで減らし、なおかつ収入減を
もたらさないかどうか見極めることは、現代社会の課題です。先端
技術が発達して、効率性が向上すれば、それは可能になるかもしれ
ません。しかし、状況の扱いを間違えれば、効率的で正確なロボッ
トによって多数の職が失われるという悪夢に終わりかねません。

 政治の世界が今よりも想像的(原文のまま「創造的」の間違い?)
な人々を引き入れられるようになれば、新しい黄金時代が来るかも
しれません。政治家たちは、人間とはどんな種の動物で、何が彼ら
らを幸福にするのかを考えるべきです。

我々の中にある狩りの欲求というのはあまりに強いので、21世紀に
おいてもなお、血まみれの原初的な形で爆発することがあります。
だから人間には、もっと人道にかなったレベルでの象徴的代償が必
要です。

***************

「食うに事欠く」状況になるのではという怖れはふくらんできてい
るけれど、今のところ、アフリカ、中東等と比べると、日本は恵ま
れている。小泉さんは「ぶっこわす」ばかり。「ぶっこうわす」と
いう言葉がウケル閉塞感の突破口を、どう演出して、作り出すのか。
そういえば、斡旋収賄罪で議員を失職した人が、今回、当選してい
るのですね。今後、政界、財界、NGO等は、どう泳ぎだすのか。
質の良い興行師は現れるでしょうか。

>  でも、彼らは、”郵政民営化法案”の実態を、たとえ概要だけでも把握していた
> のでしょうか?

そうそう、郵政が民営化されると、ODA(政府開発援助)の在り方等
についても見直しがなされるのでしょうか。



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