[BlueSky:06524] Re: 衆議院選 挙への見方


[From] Yoshihiro Ashihara [Date] Wed, 14 Sep 2005 22:04:18 +0900

芦原と申します。

ちょっと、中澤さんがおっしゃられている点も、今回の選
挙結果くらいには、極端な気がしています。

Minato Nakazawa wrote:
> 毎日新聞の集計によると,得票率では自民47.8%に対して
> 民主36.4%です。これが219議席対52議席になってしまうのは,
> 小選挙区制という制度の欠陥を表しています。
> http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20050912k0000e010020000c.html
> 毎日新聞の記事は「特徴」としていますが,これは,
> 特徴なんて生易しいものではなく,欠陥です。

これは、『代表性』を極端に重視されている中澤さんの
ご意見に従えば、欠陥に見えるということだと思います。

> 今回偶然そうなっているのではなく,小選挙区制では第1党が
> 大勝するのは周知の事実です。Wikipediaでは三乗法則という
> のが紹介されていますし,簡単なシミュレーションをして
> みればすぐわかります。
> 参考:http://phi.med.gunma-u.ac.jp/memo/20050911.html

これは、その通りで、そもそも、小選挙区制は、意見の明
確な対立とその上での方向選択を優先しているシステムで
はないかと思います。千差万別の国民の意見の確率的分布
を出来るだけ正確に反映することを、目的としてはいませ
んから、中澤さんの眼には『欠陥』と映ってしまうのかも
しれません。

千差万別の意見がそのまま併存する議会というのは、なる
ほど、国民の状態を良く『代表』しているかもしれません
が、およそ必要な事項を必要なタイミングで決定して実行
していくには、不向きなのではないかと、私には思えます。

> 国会議員は,憲法第43条に「全国民を代表」すると書かれているわけ
> ですが,この制度では代表性が保障されません。
> 憲法81条の違憲立法審査権がまともに機能していないことは
> よく知られていますし,敗訴すると費用負担しなければなりませんし,
> それでなくても裁判には手間も暇もかかりますから,自分自身も
> 含めて,誰も原告にはなりたがらないわけですが,小選挙区制
> と政党にしか投票できない比例代表制を並立させ,一人一票しか
> もたない,現行の公職選挙法は,代表性がないという点で,
> 明らかに違憲でしょう。

43条は、『両議院は、全国民を代表する選挙された議員で
これを構成する。』という、言ってみれば、国会を構成する
メンバーの性格を規定している条項だと思いますが、『全国
民を代表する』とあるのは、この文言をみる限り、『選挙さ
れた結果として、全国民を代表することになる』という意味
なのではないでしょうか?

また、手元の憲法の教科書をみると、『全国民を代表すると
は、自分を選出した選挙区民だけに拘束される訳ではない事
を示している』とも書かれています。国民の意見の確率分布
を反映するという意味だとする解釈も、もちろんあるのかも
しれませんが。

> 小選挙区制だと政権交代が起こりやすい,二大政党制に
> なりやすい,という意見を目にしますが,必ずしもそうとは
> 限りません。なぜなら,その判断は,人間が十分な情報を
> もち,合理的判断をするものだという仮定に基づいた推論
> だからです。同じような情報が洪水のように降ってくる中で,
> 十分な種類と質の情報入力を得ることはきわめて困難です。
> 独裁させて駄目だったら変えればいいという
> 意見も目にしますが,それでは遅いかもしれません。独裁
> は,ある程度進んでしまうと,自らの力では止められない
> ことを,歴史が示しています。
> だからこそ,もっとfail-safeな選挙制度にしなくては
> 駄目だと思います。本当は,被選挙権があって,トップ
> アスリートだとか天才的な数学研究者など議員をさせて
> おいては人類にとっての損失だという人を除いた全員から
> ランダムサンプリングすれば,代表性はばっちりですが,
> それは選挙とは呼ばないでしょうね。
> せめて,複数名連記制の中選挙区ならば,代表性はかなり
> 改善されるはずですが。

『何かを選択して実行させる事自体を、議会に対して制限すべ
きだ』と中澤さんが考えておられるのなら、中澤さんのご意見
は首尾一貫していると思いますが、この前提自体が不変の真理
とは思えません。

私自身は、現在の国会には、もっと明確な方向選択を迅速に行っ
てほしいと思っています。今回の選挙結果は、案外、同じように
考えている人が少なくないということなのか、と受け止めていま
す。

例えば、憲法改正のような話については、議会とは別に、国民
投票のような制度も併設されています。そこまでの重大性を持
たない案件についても、国民投票と同様の『代表性』の確保を
求めるのは、1つの考え方としてはもちろんありうると思いま
すが、下手をされると、インフレだの重税だのが待っているら
しい日本の現状では、私は『さっさと決めて動いてくれ』と言
いたくて投票しました。

私の意見も極端かもしれません。そうであればご容赦下さい。


芦原 嘉宏



▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。