[BlueSky:06454] 虫虫・・・砂の器


[From] "genngorou" [Date] Sat, 18 Jun 2005 23:39:50 +0900


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虫は虫なりに一つの考え
        ・・・砂の器
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 私は「らい病」という病気の存在を若いときから、それとなく知っ
ていた。しかし、「らい予防法」が廃止された1996年以降も、歴史
の中で何が起きていたのかを私は知らなかった。この「知らなかっ
た」という事実は、私が「大たわけ」であることを証明している。

−−−

松本清張「砂の器」、「てっちゃん」こと桜井哲夫さん、その友だち
金正美(きむ ちょんみ)さん、そして、イエス・キリスト。。。

−−−

 私が金正美さんをテレビ映像で観たのは数年前だっただろうか?
私の目に彼女は、もう人間ではなく天女に近い存在に見えていた。
彼女が「てっちゃん」と呼ぶ桜井哲夫さんも、私には一人の人間と思
うことは、到底できなかった。
私が人間ならば、彼らは神に近い存在で、もしも彼らが人間ならば、
私は、いったいなんなのだろう。。。

−−

 主権在民の国で、国とは、まさに私たちのこと。。
ハンセン病へ対しての国や行政が行ってきたことは私たちが行って
きたこと。ハンセン病にかかった人々の人生に対する重い責任は、
私たちにある。

「赤信号、みんなで渡れば恐くない」
集団の行為は責任の所在を曖昧にし、一人一人の責任を消してしま
う。
しかし、集団の責任というものは、薄められず集団の一人一人にある。
ハンセン病患者への仕打ちの罪は、私にこそ存在すると、「らい」と呼
ばれた人々に起きた出来事を知るたびに思い知らされる。

−−

 行政の、「先人の行為を改めることが不可能なシステム」の犠牲者
は、おそらく「らい患者」たちだけではないだろう。この出来事から、人
間の集団意識の恐ろしさとバカバカしさを人は学ばなければならない。

 「らいの悲劇」を知らない者も、知らなかったという理由でその責を免
れるものではない。国民ならば、まず、一人一人が彼らの前では頭を
垂れるべきではないだろうか。単純に援助、救済などと考えたならば、
再びの罪になりかねない。

−−−

砂の器。
「善意の善人」の「正しいやさしさ」によって引き裂かれた父子の悲し
すぎる運命。。子をかばう父、子の悲痛な叫びと恨み。。。身を滅ぼ
しても行われた殺人。。はかり知れない殺人の動機。

なまはんかなやさしさはゆるされない。


                          ゲンゴロウ。。。

−−−参考−−−

桜井哲夫さん http://garando.jp/books/03/
金正美さん   http://www.time21c.org/10Years/index.htm
砂の器
http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/sunanoutuwa.htm

−−−余談−−−

社会は人が作っているが人ではない。
社会派である松本清張や石川達三の目は人に向いている。
圧倒的な暴力に裏付けされた国家権力の横暴。





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