[BlueSky:06427] Re: ハローワーク


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Mon, 21 Mar 2005 15:37:06 +0900

和尚です。今年になって初めての休日を楽しんでいます。
一連の議論をやっと読み通させていただいて思うことを私なりに述べます。

養老さんには会ったことはありませんが、彼の著述の一部を読んだ感想から、
彼が書評に込めたかった思いは非常に共感を持って受け入れることが出来ます。
「『本当の自分』など、わかりはしない。」は、その通りだと思います。
いや寧ろ「自分でさえ、『本当の自分』などわかりはしない。いわんや他人おや」
と言い表すべきかもしれませんね。ですから、就職に当たって「本当の自分」を
理解してもらうことも、させることも不可能なのでしょう。それが、出来ないので
あれば、就職もしない、と言うのであれば、フリーターかニートに成るしかない
のでしょうね。好き嫌いは別にして、そう言う問題設定ならその様な結論になる
だろうことは理解できます。

私には問題の本質は、彼らをしてこのような間違った問題設定をさせてしまうに
至った経緯だと考えます。何処かで彼らは、他人は「本当の自分」を理解して
くれるものだ。理解してもらえて当然なんだと言う勘違いをさせられたのでは
ないでしょうか?

言い換えれば、「自分でも」わからないはずの「本当の自分」を誰かが教えて
くれるに違いない。いや「教えてくれるべきだ」、「教えてくれない方が悪い
のだ」、「だから教えてくれるまでは遊んでれば良いのだ」などと言う誤った
思い込みを普通にしている気がします。ですから、自ら汗をかいて十分時間と
労力を掛けて相手を理解させようと言うかっこ悪いことはせず、「プッツン」
するのではありませんか?

その背後では、何時も短時間に安易な「正解」を彼らに求め、自ら進んで提示
し続けてきた「無責任な大人」の姿が垣間見えます。結局彼らは彼らの身体と
時間を浪費する形で「過去のつけ」を払わされて行くのでしょう。「さ迷える
フリーター」のドキュメントは痛々しいけれど、何時か人は老いて死んでいく
のだと言う、当たり前のことを全く考慮しなかった(あるいは、そのために
結果として何もしなかった)哀れな人々の現実を映していたに過ぎません。
あの番組によって生産現場の労働構造が変わるとはとても思えません。ニヒル
を気取ってみても所詮は曳かれ者の小唄、愚か者の典型ですね。

寧ろ、養老先生は「夜になったら人間は寝なきゃいけないのである。」と言わ
れるが、片っ方で昼間から寝てばかりいる人間が増えているから、寝る時間も
ないような状況に追い込まる労働者が増えているわけで、現実は何もフリーター
の問題に矮小化されてはいけないと思う。全く使命感を持たずにただ、時間の
切り売りとして労働しているフリーターの何倍もの日本人が社会資本としての
富と時間を貪っている事のほうがよっぽど深刻ではないでしょうか?そう言う
人は各世代にいますから、私などは定年を15歳くらい早めるべきだと言う意見
です。45歳になったら独立することを義務とする。出来なかったら、パートと
して能力主義で働くと言う・・・多分非難轟々でしょうね(笑)

今現在、既に20歳を超えている人は最早手遅れですから、これ以上は何を言っ
ても時間の無駄ですが、これから思春期を迎えられる人々には、是非是非にも
心がみずみずしい内に、日本以外の国の現実を見ていただきたい。本当は
発展途上国と言いたいところですが、贅沢は言いません。先進国でも良い、
世界の普通の国はもっともっと緊張感を持って人が生きています。

資源と言えば、水と人くらいのこの国が、世界で最も緊張感の無い国になって
いる事の異常さを思い知るべきです。過去にも未来にも、誰も貴方の「本当」
なんて教えてくれません。自ら走って転んで、最終点に来たときに何となく、
そう言うもんだったのかなと、分かれば良いなと45歳の今思っています。

養老先生は又言いました。「それを昔から希望と呼んだのである。希望は自分
のなかにある。」と・・・その言葉に勇気付けられながら、また明日から
24時間戦う日々に突入です。

ところで、昔「パンドラの箱から最後に出てきたのが『希望』だった。だから
人間は苦しむのだと。」言う話を読んだことがあります。
苦しむのも生きている証拠なのでしょうから、ニヒルに成らず、学者バカにも
ならず、泥んこでかっこ悪い生き方をこれからも心がけたいです。ではまた


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