[BlueSky:06346] Re: リスクコミュニケーションに向けてのささやかな試み


[From] "Yamaguchi" [Date] Fri, 14 Jan 2005 15:13:48 +0900

> (追伸)
> 今日の九州大学の矢原さんのblog(http://d.hatena.ne.jp/yahara/20050114
> の話は大問題だと思いましたが,中で言及されている琉球大学のYさんは,
> 山口さんのことですか? もしそうなら,詳しい話をこのMLにも投げて
> いただけると嬉しいなあ,と思うのですが……。

別人ですが、誰かはだいたい見当がつきます。

沖縄での政府工事計画の中では大規模ですね。
軍事基地であることに対する反発と現在問題を
抱えている普天間基地撤去(移設とセット)の
矛盾のなかで地元でも揺れ動いている微妙な
問題です。民間空港建設とは次元が異なるもの
ですね。

現地の海岸は米軍基地であり、その中に一般人は
許可無く立ち入りができません。海辺には有刺鉄線の
フェンスがあり、監視塔のようなものがあります。

外から船で回り込んで基地の沖合いにでること
はできますが、海岸に上陸しようとすれば米兵が
飛んでくるでしょう。この基地とセットのような感じ
ですぐ沖合いに空港建設が決まっています。米軍基地
建設で日本側がアセスメントをするのでしたかね、
法規上どうなっているのか、私は知りません。

ジュゴンの存在が反対運動の道具に使われている
ことは、この問題が浮上する以前にはこれの保護に
行政も民間も誰も注意を払うことがなかった実績から
わかります。後だしジャンケンの自然保護ですね。
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/Monologue/Jyanken.htm

たまたま国の特別天然記念物が付近に出没して
いたが、全部で何頭くらい、どのように生活して
いるのかなど、過去にまったく情報が無かったので、
防衛施設庁やら環境省が調査を進めてきたはず
です。結果の発表を待っていますが、例によって
お得意のデータの出し控えをやっているようです。

多分、極めて少数の個体数という結果となり、その取扱い、
発表方法、タイミングに苦慮しているのではないでしょうか。
以前、サンゴ礁調査に関係したことがありますが、その
結果があまりにも悲惨だったので、県も環境庁(当時)も
公表を引き伸ばして、後でこそこそと目立たないように
出した実績があります。今回はその手は使えません。

実は、この建設予定地は私の重要な研究フィールド
である大浦湾の出口に当たります。沖縄では大変
珍しい、汚染の少ない河口干潟が奥にあって、多分
沖縄県ではここにしかいないだろうと思われる貝類や
その他の無脊椎動物がかなり多く生息しているようです。
生息環境としてユニークであり、生物相が独特です。
ここが潰れたら、沖縄本島の最後の砦を失いますので
あいそをつかして沖縄を見捨てるしかありません。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科





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