[BlueSky:06287] Re: 外来種問題


[From] "Yamaguchi" [Date] Sun, 19 Dec 2004 18:49:19 +0900

> 「新たな局面を迎えた外来種対策」
> http://www.river.or.jp/kawa/mi0312/03-12_002-009.pdf
> に、遺伝子組み換えペット、光るメダカ等の話が取り上げられてい
> ました。

発光クラゲをペットにすることはまだだったのか、などという
冗談はさておいて、環境省の外来種問題対策の不自然さ、
ぎこちなさが、様々な特殊事情のあるこの国の矛盾をさらけ
出していますね。

現在私が調査中のハマグリ属のハマグリが絶滅危惧種の
お仲間になったのは外来種とは直接関係ありませんが、
最近ではシナハマグリという外来種の放流や移植が全国
に浸透してしまっていて、ワースト100に含まれています。
わずかに残っている(かもしれない)ハマグリ集団が維持
されるかどうかの問題ですが、実態調査はされていません
ので、私の研究室で2年前にスポンサーなしで開始しました。
あちこちに小集団が残っているらしいので、とりあえずは
まだ消滅を回避するチャンスが残っているようです。

ワースト100外来種の選定をやった根拠には「多様性」が
キーワードの一つだったのでしょうが、水産がらみの生物
ではややこしくなっているようです。シナハマグリの場合は
交雑の可能性が指摘されていますが、その証明はまだ
これからです。遺伝汚染の無い集団の特定が先決です。

資源保護の法令に従ったためにヨーロッパウナギ種苗が
意図的に放流され続けているようですが、この外来ウナギ
が日本の河川環境で成長ができるとしても、成熟してから
繁殖する時はどうなるんだろう、と余計な心配をします。
おまけに日本や中国でのウナギ養殖種苗供給のために
シラスウナギが海外各国で乱獲されているのであたらな
資源環境問題が発生しています。

在来種は徹底的に痛めつけられたあげく、その穴埋めに
外来種が持ち込まれ、資源破壊と環境破壊の輪が国際的
に広がる構造を放置し続けているのがわが国の水産行政で
あり、環境行政です。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科







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