[BlueSky: 617] Re:574 遺伝子組み替えと農薬


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Fri, 27 Aug 1999 00:51:05 +0900

葛貫さん、みなさんこんにちは。小宮です。遅いレスで申し訳
ありません。

8月25日の毎日新聞に、キリンがフレーバーセーバートマト
の商品化を断念したとの記事が出ていました。なんでも、組み
換え食品の表示規定が決定した後、消費者から問い合わせが
殺到したそうです。日本でも遺伝子組み替え作物は、かなり
悪い印象を与えているようですね。今後もこれら遺伝子組み替
え作物の排除の動きが活発化するような気がします。

さて、

◯葛貫さん
>今、現在、飢餓に苦しんでいる人がいる。でも、組み替え技術
>によって、生産したものは、この人達の餓えを満たすことより
>も、大量の残飯をだしている先進国のために使われそうな気が
>します。

そうですね。確かに現在の組み替え技術は、先進国のために
使われているでしょう。おそらく、それは組み替え技術を持つ
企業にとっては当たり前のことだと思います。企業だって人
助けのために遺伝子組み替えをやっている訳ではありません。
利益を上げて、会社を存続させるためでしょう。ですから特許
も取るし、より利益が上がる方向の技術を模索する。発展
途上国に種を売り付けるし、その土地の農業を破壊することも
気にしない。電気会社やその他の国際企業でもやっていること
です。だから、それだけで遺伝子組み替え技術を批判するのは
間違い(というか、片手落ち、不公平)なのでしょうね。特許も
規制は難しいでしょう。本当に環境に深刻なダメージを与えな
い限りは、企業の営利活動として遺伝子組み替えをしたり、
特許をとったりすることは自由であるような気がします。

ちなみに僕は、このような企業の営利活動自体は批判するつ
もりはありません。僕ら日本の生活を支えているのはこのよ
うな企業の経済活動でしょうし、企業間で激しい国際競争が
行われている現在、生き残るためにはなんでもやらなければ
ならないため、企業自体には自分で倫理的に営利活動を規制
することはできないと思います

>中澤さんが【21】で、
>
>「次善の策としては,できるだけ地元で収穫されたものを食べるべきと思います。
>地域生態系の中で,そうするのが自然であるように適応してきている
>はずだからです。流通量が増えることはエネルギーの無駄ですし。
>
>一番まずいのは,日本で消費されるために,海外の農地で,そこの気候
>風土にあった作物でなく,輸出用に無理をしてプランテーションが
>作られたりすることだと思います。当該地域の生業の持続性が失われる
>危険が高くなりそうですし(後略失礼)」
>と、書いていらっしゃいましたが、
>物質循環を考えると、生産・消費の空間的なサイクルは、小規模であった方が、
>収支決算を合わせやすいように思われます。

これはまったく同感です。余計なエネルギーを使わず、しかも
その土地土地の生態系を維持して暮らしていくためには、その
土地の風土、気候にあった、その土地で生産される食物を
ベースに暮らすのが一番のような気がします。恐らく、大量
生産するわけではないので、食物の多様性も保持され(売れる
作物だけ集中的に大量栽培されるということがなくなる)、表土
流出等の環境破壊も少なくなるでしょうし、食物自体も新鮮で
栄養のあるものになると思います。

>どこで折り合いをつけるかというのが、とても難しい問題になると思いますが、
>「ヒト」の都合で自然のサイクルを変えて行くばかりではなく、その場が持つ
>環境収容力にあった分布なり暮し方をするという方向も考えてみることが
>大切なのでは、と思います。

これにも同感です。今後そのような「環境収容力にあった」
農業が増えれば、環境にも優しいのではないかと思います。

しかし、本当にこれから日本がこのような「環境収容力に
あった」社会になるかについては、僕はかなり悲観的です。
結局は大量生産型システムの方が経済的に有利ですから、
これからも、大量生産型の農業のシステムはますます加速
されるでしょうし、地方の小さな農家は潰れていくばかり
のような気がします。


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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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