みなさん
須賀です。ごぶさたしています。
文部科学省が、科学技術の振興についての意見を募集しています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2004/04090701.htm
・我が国の科学技術の目指すべき方向はどのようなものと考えますか。
・政府は科学技術の振興に関し、どのような点に力を入れるべきだと考えますか。
といった質問を念頭において意見をまとめ、郵送・FAX・電子メール
のいずれかの方法で意見を送ってほしいとのことです。募集の期間は
10月6日まで。意見は、第3期科学技術基本計画(2006〜2010年度)
を策定するための委員会の検討資料になるらしいです。
今後の環境のあり方とも関わってくるテーマではないかと思うので、
紹介させていただきました。
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上記の話と少し関係するのではないかと思いますので、最近よんでいる
本を紹介します。
伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』2003年 名古屋大学出版会
ISBN4-8158-0453-2
「科学哲学」(「科学」というものについて考える哲学の分野)でどういう
議論がなされてきているかを、「疑似科学」と「科学」はどうちがうのか
という話題を軸にしてわかりやすく紹介した本です。哲学についてしろうと
のわたしにもおもしろくよめます。目次は以下のとおり。
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序章
第1章 科学の正しいやり方とは? ―創造科学論争を通して
1 創造科学のしぶとさ
2 帰納と反証
3 創造科学と進化論の比較
第2章 科学は昔から科学だったのか? ―占星術と天文学
1 占星術と科学の微妙な関係
2 蓄積的進歩からパラダイム論へ
3 科学の変化と疑似科学
第3章 目に見えないものも存在するのか? ―超能力研究から
1 超心理学とは何か?
2 科学的実在論と反実在論
3 超能力なんかなくても超心理学はできるのか?
第4章 科学と疑似科学と社会 ―代替医療を題材に
1 代替医療と機械論的世界観
2 科学社会学と相対主義
3 合理主義からの相対主義批判と社会への影響
第5章 「程度」の問題 ―信じやすさの心理学から確率・統計的思考法へ
1 信じやすさの心理学
2 統計的に有意とは?
3 「程度」思考の有用性
終章
参考文献・ウェッブサイト表
あとがき
索引
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わたしがこれまでによんだ第3章まででは、天文学・物理学・生物学と
いったいわゆる「基礎科学」の分野と「疑似科学」との対比が中心に
なっています。「科学哲学」という領域そのものがそうした「基礎科学」
を考えることを中心に進んできたせいなのかもしれませんが、環境科学
・医学・農学のような「応用科学」の分野の場合、これらの科学哲学の
考え方ではどのようにあつかわれることになるのだろうという興味も
わいてきます。
科学と社会とのかかわりは、このメーリングリストでのときどき話題に
なってきたテーマですが、「哲学」という分野からこの問題がどのように
考えられているのか、またそれは上記のように科学政策のあり方を考える
場合にどのような意味をもってくるのか、といったことも、なかなか興味
深いテーマだな、と感じています。
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須賀 丈(SUKA Takeshi)
〒381-0075 長野市北郷2054-120
長野県環境保全研究所(飯綱庁舎)
自然環境チーム 動植物生態グループ
Tel: (026)239-1031 Fax: (026)239-2929
E-mail: suka-takeshi@pref.nagano.jp
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