[BlueSky:05907] Re: スギ花粉症予防イネ栽


[From] Minato Nakazawa [Date] Wed, 12 May 2004 11:58:00 +0900

中澤です。

> 食と農シンポではお世話になりました。横山です。
こちらこそ。

> この部分は中澤さんらしくないと思うのですが、何故そのコメが不味いと
> お考えなのでしょうか?これは著しく予断を持った心象であり、開発して
> いる方が聞いたらとても残念且つ悲しく思うと思います。このMLでの中澤
> さんの発言の影響力のことを考えると、私も大変残念に思いました。それ
> に「想像するだけでも嫌」と言うのは、思考停止の状態では無いのですか?
「想像するだけでも嫌」なのは情緒的な反応ですから,
思考停止というご指摘は,その通りかもしれません。
ただ,たぶん,ペプチド断片が入ったら味が変わるであろうとは
推論できますよね。まったく不溶化されてコメの中に固定されて
いたら抗原としての意味をなさないでしょうから,そういう状態
ではないはずですよね。しかも,抗原として機能させられるくらい
の量を発現させるわけです。偶然,美味くなる可能性もゼロでは
ないでしょうが,ぼくは今のコメの味が好きなので,そこから
ズレるということは,不味くなるんじゃないかという予想をもった
わけです。末端にアルギニンみたいな親油性のアミノ酸がある
ペプチドだったら,苦味がでそうですし。

杉花粉飴というものがあって(お召し上がり方,というところを
見ると,「杉花粉飴は,杉花粉シーズンの前から毎日なめて杉花粉
と体を仲良くさせる飴です。毎日なめることで,杉花粉の季節に
なっても楽しい毎日を過ごすことが出来ます。※一日に2個を目安
にお召し上がりください。※体に合わないと思われるときはすみやか
におやめください。」と書かれています),原材料が,水飴,杉花粉,
青紫蘇,杉葉,砂糖,クエン酸となっていますが,たぶん舐められる
味にするために,そうとう調整したのではないかと思います。それでも
今年3ヶ月くらい舐めていた主観的感想をいえば,あまりうまいもの
ではありません。

こういうものなら,合わなければやめればいいという選択肢がありますが,
仮に直接伝播の確率が低くても何らかのベクターが入る可能性まで
含めて考えたら,杉花粉抗原エピトープを他のイネに伝播させて
広まってしまったりしたら(それが遺伝子汚染ということですが),
コメが食べられなくなってしまうかもしれません(とまで言って
しまうと被害妄想かもしれませんが)。

なお,個人的なこの実験への反感の源は,花粉症の減感作療法をしたければ
治療として受ければいいのであって,原因をそのままにしておいて
知らないうちに対策されているという発想がそもそもおかしいと思う
から,ということです。アレルギーのしくみだって,そんなにクリアに
判っているわけではない現状で,そこまで踏み出していいのでしょうか?

その意味で,葛貫さん[5906]の
> この物質が本当に有効なら、野外で栽培する稲にこの遺伝子を
> 組み込んで食品として売り出すより、この遺伝子を組み込んだ
> 細菌をタンク培養してこの物質をとり医薬品または特定保健食品
> として売り出した方が抵抗が少ないのではないかな、と思いました。
には同感です。特定保健用食品とするよりも医薬品の方が適当と
思いますが。

> 気持ち悪いと思うのは各人の自由ですが、私なら不味いかどうかは食べて
> から判断したいと思います。以上、何時も理性的な中澤さんとしては変だ
> なと思いましたので敢えてお聞きしました。
遺伝子汚染があったら,「食べてから」では遅いと思います。

いつも理性的なわけではなく,今回の発言も感情的・主観的なものが
大分入っていますから,それはおかしいと思われたら,忌憚のないご批判を
お願いします。そもそも,このMLの目的も,さまざまな立場の人が
語り合う点にあるわけですし。

今後ともよろしくお願いします。
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Minato NAKAZAWA, Ph.D. <nminato@med.gunma-u.ac.jp>
Assoc. Prof., Gunma University Graduate School of Medicine
Socio-Environmental Health Sciences (Division of Public Health)
at 11:14:52 on 12 (Wed) May, 2004
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