[BlueSky: 5844] 自然人  Re:5842 全国総田舎化計画


[From] "suka" [Date] Mon, 1 Mar 2004 13:19:58 +0900

葛貫さん 澤口さん みなさん

       須賀です。

こまかいことを言い出して恐縮ですが、このやりとりで「自然人」という
ことばの意味がちょっとずれているように感じられます。いかがでしょうか。
わたしの勘違いならいいのですが。

澤口さん:
> > 矛盾というのは本質的には言葉の論理に係るもので、意図的に組み合
> > わされた同時性を前提としますから、本来は自然人には無いはずのも
> > のです。自然人は時間から逃れられませんから、同時に二つの意見を
> > 持つことはできません。必ず時間差があります。

葛貫さん:
> 初めのうちは、よく整理された革新者の「言葉の論理」が新鮮に感
> じられて人が寄ってくるかもしれないけれど、革新者自身が、自然
> 人のありようを理解し、受け入れないと、お尻を叩かれ通しの方は、
> 相手が内包している矛盾、胡散臭さを嗅ぎ取り、嫌気がさしてしま
> うかもしれませんね(^^;。

澤口さん:
> > 田舎では自然が人間を評価するんで、人間が自然を評価してはいか
> > んのよ。

葛貫さん:
> その評価に耐えないものは残れない、ということになるのかしらん。
> 自然人からすると「矛盾を内包して自分で提示する」、「いやぁ〜、
> ご苦労さん、そんなことして、居場所をつくらにゃならんのかい?」
> という感じになるんでしょうか(^^;。

(A)自然人ということばを、澤口さんは、世間体や社会的評価などから
自由な生身の存在といった、ある種の抽象的なニュアンスでつかって
いらっしゃるのに対して、葛貫さんは、田舎で自然とふかく関わって
実際に生活しているひとたち、という意味でつかっていらっしゃる
ように感じられます。

(B)そのせいでしょうか、澤口さんのことばをよむと、「自然人」という
ことばがある程度自分にもあてはまるものとして共感をもって
感じられるのに対し、葛貫さんのことばでは、「自然人」という
具体的な地域のひとたちから「ご苦労さん」といわれてしまっている
(でも、このことでそんなに苦労しているつもりはないのにな、とも
心のなかで思ってしまっている)ときのような感じがします。

もっと生身のわたしが感じた順序にちかづけていいなおすと、
まず最初に(B)のような違和感があって、その理由を考えてみて、
(A)のようなことに思い至ったということになります。
ただ、(A)のようなわたしの推測が正しいのか、と反省してみたら、
葛貫さんの「自然人」を澤口さんの「自然人」と同じような意味で
よむこともできることに気がつきました。
ですので、ある意味、どちらでもいいのかも知れませんが、
ちょっと気になったのでおたずねしてみました。

ここからはさらに脱線です。

「矛盾」についての澤口さんのお考えには賛成ですが、時間に
ついての感じ方には別の側面もあります。

それは、書くより考えることの方がずっと速い、ということです。

ですので、ある種の「自然状態」(?)で考えているときには
一度にふたつのことは考えられないので、矛盾は生じない、
けれども、その内容を文章や話しことばにして外に出そうと
すると、その作業はずっと考えるのよりずっと遅いですし
考えを理解してもらいやすくするため順序をならべかえたり
しますので、考えるときの速さを「同時性」として意識し、
書いたり話したりするときの遅さを「時間に拘束された順序」
として意識する、というような転倒がおこります。少なくとも
わたしにとってはそうです。以前、[BlueSky: 5764] で次のように
書いたときには、わたしのなかでそういうことが起こっていた
のだな、と思います。

須賀:
> なるほど。わたしの頭のなかは、このテーマに関してまだ「シンフォニー状態」で、
> 同時にいろいろな想念が去来してしまうため、それをひとつの立場なり段取りなり
> としてお話するのには準備不足のようです。というより、そのこともふくめて、この
> 場でみなさんのお知恵をどんどん出してもらうのがいい、というご助言なのかな。

話の流れからずれた話題でごめんなさい。考えることと書くこと
(あるいは話すこと)とのずれは、個人的にいつも気になって
いることですので、ついこだわってしまいました。ずれないように、
と思ってやっているつもりでも、なかなかうまくいかない、という
のが「不自由人」(?)たるわたしのなやみです。

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 須賀 丈(すかたけし)
 長野県自然保護研究所
 電話: (026)239-1031
 Fax: (026)239-2929










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