[BlueSky: 5758] 仲間との別れ


[From] "Tsuneo Nagai" [Date] Mon, 2 Feb 2004 21:46:33 +0900

梅仙人@紀州みなべ です。

昔から歳の暮れから1月〜二月は老人が気を付けなければならない時期と伺って
います。確かにこの時期の寒さや底冷えは少し体調の落ちている者にとっては堪
えるかも知れません。

ここの所、私の知人やお世話になった方々も去年の暮れから、何人かが西方浄土
の方へお里帰りをして行かれました。その中の一人なのですが、なかなか手が器
用な方で暇があれば竹細工や小間物を作っては仲間知人に差上げて居られまし
た。

私も幾つか頂いて大事にしています。その一つに五円金貨の真ん中に穴より大き
な太い木の芯が入れられているのがあります。これを何人かに「五円」と「御
縁」を兼ねる目出度いのだと配っていたのを覚えています。丁度お亡くなる半年
前の事でした。

小さい五円玉の穴に如何にして大きな木の棒を入れたか?〜〜〜〜大勢の中で自
慢げに話していた顔が浮かんできます。結局、柔らかい木の質を選んでお湯でフ
ヤカシテ柔らかくなった所で差し入れるのだとテレビで観た通りの種”を明かし
てくれました。

村に大学生一行がゼミなどで来られた時など自分の工場に案内してくれては、工
場の一角に作っている工房にお連れして、工作品などを惜しげもなく差上げて居
られ
ました。村の持つ内面的な美しさを思う存分外向けに表現してくれていたお方の
一人でした。

失ってみて初めてその人の持っていた人柄”とか力量”が思い知らされている次
第です。仕事の合間や床に付いて寝付けぬままの時など、今まで去りしお人を偲
び懐かしく時と、声”を掛ける時もしばしばであります。

宇宙尺度で考えれば人の寿命は線香花火”程にも及ばない命ですが、なかなか味
のある生き物かも知れません。人生をドラマと置き換えれば、どんな生き方をし
ても美しく光輝く物語かも知れません。

久方に寒さが逃げた我が家の土間を見計らって、珍しくパソコンの前に向かった
仙人でした。
梅仙人。


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