[BlueSky: 5660] Re:5659 気候変動と生物の絶滅


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Sun, 11 Jan 2004 10:10:42 +0900

須賀さん、こんにちは、葛貫です。

須賀さん:
> それにしても驚きました。

驚かせてしまったことに、驚いています(^^;。

> わたし自身は、そんなこと考えもしませんでした。
> ただ、失われていくことになるかもしれない
> 自然の姿やそのなかでたちすくむひとの姿を
> 思い浮かべて、たいへんなことだな、
> と思っただけでした。

そうでしたか。
須賀さんが、イメージされたのは、
> 氷河期がおわって気候がしだいに暖かくなるとともにこのような標高の
> 高い場所にとりのこされ、独自の進化をとげてきたものが少なくないと
> 考えられます。わたしがイメージしているのは、高山植物、高山蝶、
> ライチョウなどです。
だったんですね。この部分を読み飛ばしていました。

普段、私が目にする絶滅危惧種に関する情報は、渓流等、もう少し
人が実生活のために利用している地域の絶滅危惧種に関係する研究
です。

主要な漁獲対象としてではないけれど、資源として利用してきた種
(種というか、もっと地域の環境特性に密着した遺伝型をもった個
体群)が絶滅に瀕していて、そこで暮らしている人達が、その種が
心地好く(?)暮らしていた時代の環境に復元することを考えてい
る場合、そのまま、自然水域に放って置いたら、生き残れないかも
しれないので、その生残に耐える環境になるまで研究施設に「とり
あえずとっておく」。

そして、失われつつあるものが、その「からだ」の特性を獲得して
きた経緯、何故、今、絶滅に瀕しているのか、絶滅を回避するには
どうしたらよいか、その来歴、生活史、生態等の研究をし、河川の
現状をモニタリングし続け、その地域の実情にあった、今とれそう
な具体的な対応策を検討する。

絶滅に追い込まれた遠因には、その個体の活動・生殖に不適な水温
・水量・流速等になってしまった、餌となる植物・動物がいなくな
ってしまった、あるいは捕食者や競合者、病原生物が増加してしま
った等々、温暖化の影響もあるかもしれない。
何を、どう改善したら、その種を自然水域に戻すことができるのか、
改善できないとしたら、育種選抜により、不都合になった環境に対
する耐性を持った系統をつくりだせないか、等々。

「もし100万種もの生物が絶滅の危機に立つとしたら、生活の糧
や薬の原料などを地球の自然に依存している世界の何十億という人
に、その影響が及ぶことになる」を回避するための研究なので、高
山植物、高山蝶、ライチョウ等、「物」として人に利用されること
が少ない須賀さんのイメージとのあいだにギャップが生じたのかも
しれません。

> わたしはまだ希望はあると思っています。

そうですね。

> > これは別に人為が影響しているとも思えないので、その絶滅に対し
> > て寝覚めの悪さを感じる必要がない分、気楽なのだと思うのですが、
> > 絶滅したマンモスを復活させられないかというようなことを考えて
> > いる人もいるようですが、仮にマンモスが生存・繁殖できる場があ
> > ったとしても、そこに野放しにしようとは思っていませんよね。
>
> これは、どういうつながりですか? (笑)

去年、日本産のトキは絶滅したけれど、中国から取り寄せた個体を
使って人工繁殖させた「トキ」の野生化を考えているようですね。

トキの繁殖・飼育条件を調査へ 新年度から−−県 /石川
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040106-00000003-mai-l17

狩猟法でトキの捕獲を禁じられたのは1910年、その後も激減し特別
天然記念物に指定されるたのが1952年。佐渡でも野生のトキが全く
見られなくなったのが何年なのか詳しく知らないのですが、50年程
度の不在だったら野生化させても、かつてトキが占めていたいたニ
ッチを埋めている種に、トキと比べて保護する価値があると人が強
く認める種もでてきていないだろうな、と思ったのでした。
(マンモスの場合は、不在の期間が長く問題になるでしょうね)

これはまた別の問題なのですが、トキが野生化することで生じる問
題があったとしても、それは野生のトキが飛び回る地域をつくりだ
すことに比べたら、我慢できる、あるいは、我慢すべきと考えられ
るのだろうな。ニホンカモシカって、今、持て余されているんじゃ
なかったっけ?等々、いろいろなことが、連想ゲームのように思い
浮かんだ、というお話でした。

あとこのスレッドでは、どうでもいい話なのかもしれませんが、
> > 細菌等になる
> > と、今、ここにどんな種がいるのか全部把握できていないし(最近、
> > 新しい属がみつかりましたよね)、誰にも気付かれないうちに消え
> > てしまうものもあるんだろうな、・・・

単離された細菌を分類していって新属が作られるのは、よくある話
なのですが、廃水処理の活性汚泥という、まぁ身近にあるものから
単離された細菌により、生命の黎明期に分岐したと考えられる新し
い門がつくられたという研究発表は、かつて関係していたことのあ
る分野でしたので「!!」と思いました。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2003/pr20031110/pr20031110.html

さて、今日はこれから地域で絶滅が危惧されていた年中行事、
「どんど焼き」に出かけます。夫が主催者側なので応援というか、
普段とは違う場での彼の活躍をみたいし、子供達にも見せておきた
いな、というのが主な動機です。
それでも、豪快に燃え上がる火を前にすると、絶滅が危惧される
「火祭り」の意味について、また、何をとっておきたい、次の世代
につなぎたいと望むのか、考えさせられます。


さがわさん、東京都古書籍商業協同組合 http://www.kosho.or.jp/
のご紹介、ありがとうございました。
市の図書館経由で大学の図書館等からも貸し出してもらえる場合も
あるのですが、手元に置いておきたい本もあるので、助かります。
「お気に入り」に追加しました(^^)v。

では。


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