[BlueSky: 5298] Re:5296 シアトルの酋長の演説  ver.1


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Thu, 14 Aug 2003 10:35:38 +0900

こんにちは、葛貫です。

driadさん、拙い訳を読んで下さって、ありがとうございます。

driadさんwrote:
> > 寮美千子さんや、高木善之さんの訳と読み比べて、私は、この
> > スピーチの背景にあるものについてよく知らないから、こんな訳に
> > なってしまうのだろうな、と思った次第です。
>
> こんなってどんな?

読んだ途端、涙がぽろぽろ零れてしまうほど寮美千子さんの訳は、
きれいだった。
「いい人」というのは、自分にとって、都合のいい人、調子のいい
人、どうでもいい人、なのだそうです。すっときれいだと感じるも
のも、きっと、生々しい現実に深くコミットしなくてすむからこそ
「きれい」と感じられるのかもしれないと思いました。
現実に直面する前に、そういう「きれいさ」を感じる心を育むこと
も大切なのかもしれないけれど。

高木善之さんの訳は、私には侵略者に対する呪いの言葉のようにも
感じられました。
風土に根ざした文化を守るための旗印として、この演説を使おうと
すると、このようになってしまうのかな。私には、原文は、怒や恨
みより、どうしようもないかなしさが基調になっているように感じ
られました。


どちらにしろ、「北米インディアンは滅ぼされ、その種族の記憶は
が白人たちの神話にされてしまった」ということなのでしょう。

環境保護・保全運動の生々しい現場に接したことがない私には、
訥々と経過を語っている原文が、一番心に馴染みました。


【5123】でもご紹介したのですが、 ゲーリー・スナイダー氏の
「野生の実践」(山と渓谷社)という本の中に、
**********
地域とは、「半ば同時発生的な空間の中で相互浸透している集団
の集まり」である。生物相、分水嶺、地形、そして海抜などは、
地域を定義する要素のほんの一握りにすぎない。同様に、文化領
域にも、方言、宗教、さまざまな矢の射ち方、道具の型、神話の
主題、音階、芸術的スタイルなどの小さな集まりがある。地域の
輪郭は植物が教えてくれる。
(p.75-76 バイオリージョンからの展望より)
***********
という一節があります。

私は、北米インディアンが、どのような神話や文化を持っていたの
か知りません。原文を読むと、仏教の無常に近い感覚を持っていた
のかなとも思います。
ナナオサカキさんなら、この原文を、どう訳されるかな。


そうそう、エコツアーについて、こんな記事をみかけました。

「開発から森を守ったシベリア先住民 ウデゲ人に会いに行く」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20030812/ftu_____sci_____001.shtml
「新しいリゾートの予感」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20030812/ftu_____sci_____005.shtml

[BlueSky: 4417]
> 宇宙規模の話というのがあなたの人生の話と等価なので
> 手足を出すか出さないかは人生をどう感じているかによりますし
> ミジンコでもせっせと手足を出しています…

「自分がしてもらいたいことをしたまでです」、「自分にしてほし
くないことを他人にはしないことにしているんです」、世界の宗教、
道徳の黄金律は、この2種類に大別されるそうです。
ミジンコのようにせっせと手足を出し、間違っていたらフィードバ
ックがあるさと試行錯誤する。それでいいのですよね。



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