[BlueSky: 5299] エコツアーとリゾート  Re:5298 シアトルの酋長の演説  ver.1


[From] "suka" [Date] Thu, 14 Aug 2003 11:32:38 +0900

葛貫さん みなさん

   須賀です

葛貫さんの訳、わたしもよませていただきました。
いそがしかったせいもあって、ほかの方の訳はまだ
拝読していませんが、driadさんのご投稿があった
おかげで、葛貫さんの訳をよみたい!という気持ちに
なりました。ありがとうございます。

> そうそう、エコツアーについて、こんな記事をみかけました。
>
> 「開発から森を守ったシベリア先住民 ウデゲ人に会いに行く」
> http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20030812/ftu_____sci_____001.shtml
> 「新しいリゾートの予感」
> http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20030812/ftu_____sci_____005.shtml

このエコツアーがうまくいくといいですね。

もっとも、ふたつめのコラムには、ちょっとひっかかって
しまいました。注意ぶかくよめば、まちがったことを
おっしゃっているわけではないんだろうと思いますし、
短い文なので、この記者の方も十分に意の尽くせる
表現ができなかったのだろうと思います。けれども
ちょっと単純化されたイメージにむすびつきすぎる
ような気がして、気になります。

「エコツアーがさかんなボルネオ島や中米のコスタリカでも、
リゾートというのは外部資本のもので、先住民は観光資源の
一部にすぎないようだ。」

という文があります。わたし自身、それほどいろいろな場所を
おとずれたわけではありませんので、本当のところどうなのか
はわかりませんが、この記者の方がおっしゃりたいことは
わかるような気がします。ただ、本当にそれだけだろうか?
とも思います。

ボルネオ島やコスタリカでおこなわれている、あるいは模索
されているエコツアーは外部資本による「リゾート」だけなの
でしょうか?

ちがうよ、こんなのがあるよ、とまでは経験のとぼしいわたし
にはいいきれませんが、そうじゃない試みも、もしかしたら
あるのではないでしょうか?

確かに、観光客としてこれらの場所をおとずれるとなると、
そうした「リゾート」に足をむけやすくなるでしょうし、そこで
うけた印象を一般化したくなる、というのも、気持ちのはたらき
としてわからないではありません。

でも、それだけがその国、あるいはその島の現実のすべて
ではないはずです。

もうひとつの違和感は、このコラムの図式では、「外部資本」
と「先住民」だけが対比されていて、それ以外の方々のこと
にふれられていないことです。

コスタリカでもボルネオでも、いわゆる「先住民」でない住民
の方々がたくさんいらっしゃいます。

これらの方々とエコツアーとのかかわりを考えることもとても
大事なことではないでしょうか。

わたしがおとずれたコスタリカ北西部のグアナカステ保全エリア
は、住民参加型の公園の運営をとりいれています。けれども
エコツアーはそれほど目につきません。このような場所がエコツアー
にちからを入れるようになるとしたら、やはり、外部資本だけに
たよった「リゾート」といったものとはかなり趣のちがったものに
なるのではないでしょうか。

もちろん、これはわたしの印象にすぎません。実際のところ
どうなるかはわかりません。けれども、そういう視点からも
みてみる、ということをわすれないようにしたいと、わたし自身
は思っています。

ボルネオでは今、JICAもかかわって、生物多様性と生態系の
保全に関するプロジェクトがおこなわれています。くわしくは、
こちらのホームページで紹介されています。このような試みが
どんな成果につながっていくのかについても、時間をかけて
見守っていきたいと思います。
http://www.bbec.sabah.gov.my/japanese/

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須賀 丈(すかたけし)
長野県自然保護研究所
電話026-239-1031
Fax026-239-2929




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