[BlueSky: 5293] Re:5289 その3 「針葉樹人工林」が悪いのではなくて、その「管理手入れ不適切」が問題


[From] "gengorou" [Date] Thu, 14 Aug 2003 01:20:48 +0900

その3@ゲンゴロウです。


ゲンゴロウ:
> > 私の前提は、「管理・世話されていない針葉樹林」を前提にし
> > ていて、「管理されない現状」をあきらめてしまい、そもそも針
> > 葉樹林自体が悪いのではないかと考え、針葉樹林とはどういうも
> > のなのだろうと考えていたようです。

> この考え方・あきらめが、当方の考えとのくいちがいの根源。もう取り返しのつかな
> いところもあれば、真だ間に合うところある、どうすれば良くなるのだろうか、と考
> えるのが普通ではないでしょうか。

まったくそうですね。この「あきらめる」「あきらめない」が、私
と教授の食い違いですね。「あきらめてしまい」は、教授を想定し
て「あきらめてはいかがですか?」と言う意味で言いましたが、
正確に言えば、「誰もが、それは知っていて、出来なかったのが現
在の山の崩壊なのですから、別の方法こそが有効なのではないです
か?」です。
私有地の針葉樹人工樹林の山、その管理がなぜされないか?それが
問題となります。教授の「あきらめるな!」という「根性」性は、
理解できるような気にもなります。しかし、それが、ずっと出来て
いないから、教授は今も「管理せよ!」とおっしゃっているのでは
ないでしょうか。

ひどい言い方で、申し訳ないのですが、私が、それに対して思うの
で正直に言うのですが、私の考え「無理でしょう」から考え、さら
に、「管理されなくては、まったくダメな針葉樹人工樹林」の現状
で、教授の「管理せよ!」は、今、もう言えないことのように感じ
ます。
教授が、もしも、「言うのが遅かったのですが、管理しなければも
っと大変なことになる」なら、まだ分かるのですが。。。

どこか、ずれと共に、まだ、これからも、ずっと言い続けることが
出来、言い続ける間は、人々に、肝心なことを忘れさせてしまって
いるような気がします。
肝心なこととは、「日本の林業が衰退するということを念頭に入れ
なかった。未来予測の失敗だった」ということではないですか。
「世界の流れを林業への指導、政策として加味してこなかった」
ということなのではないですか。
その肝心なことを言わないので、次の段階に大きく前進できないの
ではないでしょうか。・・・そして、山は放置し続けられる。。。
もっと言ってしまえば、教授が嘆いている「放置」、その「放置」
こそ、失敗の中から生まれてしまったことなのではないでしょうか。
そうであるなら、教授の言う、「適切な管理・手入れ」は、生物学
的には正しくとも、社会現象を考えた上での政策的な案としては、
再び、傷を大きくするだけのような気がします。

−−−
私が、考える策は、結果的に広葉樹林に植え替える方向に向く
ような気がします。
現在、針葉樹林を管理するとなると、私企業の手には負えない。
そう考えると、国・地方で管理することになる。しかし税金は
そうそう使えない。ならば、国家窮乏の折ですから、その育っ
た針葉樹を伐採し、それなりの木材にし、売却し、いかばかり
でも、その金で、植林をする。少しずつ。もちろん、植林する
木は広葉樹にする。なぜなら、広葉樹林の方が針葉樹林よりも
管理・手入れの手間がかからないと思うからです。
・・・というのはどうでしょうか。これは、私という、まった
く植物も政治も知らない者が言う、おおざっぱな案ですので、
固定観念であるとは言わないでくださいね。

で、問題は、なぜ?針葉樹でなく広葉樹かというと、教授の
おっしゃたことを参考にすれば、「針葉樹は管理・手入れし、
なおかつそれをやり続けないとダメだ」からです。
広葉樹ならば、ある程度、放置して置いても、競争により、
やがては自然林に近い状態になるような気がします。気がし
ますというのは、私が学術的なデータを持っていないためで、
私の実家の庭や、今の家の庭が、放置すると強い樹木が勝ち、
育つという経験からです。
そう簡単でもなさそうですが、、、もしも、ある程度、年月
がたって、自然林のようになれば、それのほうが、「責務者」
も不在で、よろしいのではないでしょうか。

これ↑、否定はされないと思います。教授は、前提条件とし
て、「広葉樹林を私は悪いとは言ってない」とおっしゃって
いるようですから。
そこで、私が知りたいのは、上でもお聞きしたように「ほとん
ど管理されないのならば、広葉樹人工樹林と針葉樹人工樹林と
どちらが管理・手入れの手間がかからないのか?」です。

−−−−−

ゲンゴロウ:
>>  簡単に言ってしまえば、金が転がり込めば、だれでも「管理
>> ・維持・手入れ」をするし、そうであれば、人工針葉樹林であ
>> ろうと・・・

只木教授:
> 林業でペイすれば問題なし。ペイしなくても森林の維持して
> 環境を守るのは所有者の責務。

所有者の責務。。。。そう簡単に所有者の責務とは言えないのでは
ないでしょうか。教授のような国に関係してきた人たちの責任こそ
大きいのではないでしょうか。それは、もう過去のことなのでしょ
うか。
私たちは税金を払い、国に託し、その国は税金で専門家を育て、そ
の専門家を雇い、林業の未来を任せた。任されていた専門家の人々
の責任はどこにあるのでしょうか。

また、今、放置された山が、よくなった暁には、その恩恵が、私た
ちも受けると考えれば、恩恵を受ける者たちの問題でもある。しか
し、放置された山と考えずに、失敗した山と考えれば、その責任者
をも探し出さなければならない。そして、その後に、次世代に託す
というのが、次世代への敬意ではないでしょうか。
教授の「管理せよ!」は、20年前に実行する話であり、それが、
実行されていない今も「管理せよ!」は、声だけということになら
ないでしょうか。

ゲンゴロウ:
>> 私は、現在の、金にならないと放置されやすい人工針葉樹林を
>> 考え、「管理しないと大変なことになる針葉樹林はまずいんじ
>> ゃないの」という意味で、「針葉樹がまずい」と考えてますが、
>> 教授は「管理すれば針葉樹でも大丈夫!」ということの様です。
>> 現在、管理されていないから土砂流出などの問題が起きている
>> 時に、管理すれば大丈夫とは、私にすると、「なんだ?!」と
>> なります。現在管理されていないから、「管理すればいい!」
>> などという悠長な意見が交わされているのではないでしょうか。

只木教授:
> 昭和30-40年代の大造林(拡大造林)時代、造林地は将来ずっと「適切に管理」される
> ことが前提でした。それが高度成長時代の流れで、山村労働力不足、国内林業低迷。
> 「管理されないまま」に置かれました。それを今からでも修復しようと言うのが、現
> 代の考え方です。先輩たちが生んだ森林を、現代人が育てるのです。

この先、日本の針葉樹が利用されるのでしょうか。高額の樹木は
利用されるのでしょうか。その当たりの見通しはどうなのでしょ
うか。「見通し(未来予測)が失敗の原因」だったのですから、
未来予測は重要です。その時に、前提条件のない「針葉樹林の管
理・手入れをすれば大丈夫」は、未来予測を言う者、あるいは、
すでに行動する者の手を止めかねないような気もします。
先輩が生んだ森林だからということで、責任を持つ、そして、育
てるという考えは心情的には理解したいことです。
しかし、「先輩達が生んだ森林」という考え方は、「管理すれば
大丈夫」から生まれている考えのように思えます。本当は、それ
以前に「失敗した山」を言うべきなのではないでしょうか。現在
の山の状況は、明らかに「失敗した治山」の結果ではないかと、
私は思います。それを言うことこそが、後継者である現代人に託
す第一歩なのではないでしょうか。

ゲンゴロウ:
>> 私としては、「なかなか管理されないような針葉樹植林は不適
>> 切」と言いたいです。つまり「そりゃー管理するならいいです
>> よ!」と、考えられなくもないです。しかし、それは並大抵の
>> ことではないのではないでしょうか。
>> 並大抵ではないということは、金がかかるということです。
>> 全国の山にある人工樹林はかなりの面積に登るようです。それ
>> をボランティアで手入れするなど無理だと思います。行く行く
>> は国税金で業者が雇われ、人工樹林が存在する限り、未来永劫、
>> 税金が投入される。税金とは何か!の問題にも発展しそうです。
>> もともと育った広葉樹の自然林に近い状態に戻せば、山はそれ
>> ほど手を加えなくても、”然るべくして自らある”ようになる
>> のではないでしょうか。

只木教授:
> では、どうすればいいのか。1000万ha の人工林を 広葉樹天然林にすぐ切り替えよと
> おっしゃるのか? それにはより多額の税金をつぎ込むことになり、これだけの面積を
> 一斉に切り替える訳にもいきません。また、未来永劫人工林なんてことは、誰も言っ
> た人はなく、現在批判の対象である「植え過ぎ」「モノカルチャーの弊害」を是正す
> るように動いています。森林のことですから、急激な変化は避けねばなりません。徐
> 々に時間をかけて広葉樹林化する計画は全国で進んでいます。なにも間伐や枝打ちだ
> けが「管理」ではないのです。森林管理とは「森林健全化の手段」すべてです。
> しかし、いずれにせよ、目下もっとも急いで必要なのは大多数の人工林の間伐による
> 健全化です。これは広葉樹林化するにも、まず必要なことです。広葉樹林に戻せば自
> 然になるとおっしゃいますが、それにはそれで手を加えることが必要です。

この部分に関しては、思いとしては、全部に納得します。あれもやり、
これもやるでいいと思います。しかし、いったい、誰が。ただ広葉樹
への変換の植林も、誰がやるの?にはなる。誰かがやるとして、どち
らが、先々、手が掛からないのか。それが大切であると想います。
で、私はそれを知りたいです。

ところで、逆に質問してしまいますが、なぜ、今、現在、広葉樹に植
え替えがなされているのでしょうか。その理由は、管理が比較的、針
葉樹よりも安価だからではないのないですか?
時間的な積算では、はるかに広葉樹のほうが安価なのではないですか?

只木教授:
>>>水源かん養能力に優れた森林とは、どんなものでしょうか。森林の
>>>水源かん養力は、要するに土壌の水浸透能力に基づきますから、
>>>簡単にいえば、団粒構造が発達した林、正常に落葉があり、その
>>>分解がスムーズな、したがって、植物現存量大きく、低木層も発達し、
>>>土壌動物・微生物も豊富な林ということになります。それじゃ落葉
>>>が分解しやすく団粒構造化も速い広葉樹林、と決めてしまうのが一般
>>>です。間違いではないのですが、その一方で、スギなどの針葉樹人工
>>>林の能力はゼロのごとくに短絡的に結論されがちなのは危険なことです。

ゲンゴロウ:
>>  ここで、突然、土壌の話が出てきますが、大切な保水能力
>> である、落ち葉はどうなっているのでしょうか。土壌の上に
>> 積み重なった落ち葉の保水能力の比較はどうなっているので
>> しょうか。。
>> 我が家の庭に、桜の落ち葉を多量に撒いたことがあります。
>> すると、かなり散水しても、その下の地面に水は通らず、
>> 木を枯らせた経験があります。その経験からですが、落ち
>> 葉の保水能力は大変なものがあると推測します。針葉樹の
>> 枯葉は保水力はないように思いますが・・・。
>> というより、浮いて流れてしまうように思います。この落
>> ち葉の差は、重要なことだと思います。

只木教授:
> 落ち葉は土に接した方から、徐々に腐って土に混ざり、隙間の多い、
> 水をよく浸透させる土壌を生成して行きます。落葉自体の保水量も
> 勿論あるでしょうが、土壌中の保水量の方が圧倒的に多いのが普通
> です。落ちてくる水のクッションになること、一時的に水を保留し
> て徐々に土にしみこませていくのは、落葉層の効果です。

上で、教授は”落葉自体の保水量も勿論あるでしょうが、
土壌中の保水量の方が圧倒的に多いのが普通です。”と
おっしゃってますが、それは、二つを比較することでは
なく、二つを加算して考えることではないのでしょうか。。
落ち葉の保水力もあり、土壌の保水力もある。その良さ
こそが広葉樹の森林が持っているのではないですか?

ゲンゴロウ:
>> 次に、人工樹林の土壌の保水能力です。それはゼロと短絡
>> 的に考えがちと言われますが、それをゼロとは、私は考え
>> ていないです。(ないことを例に出す手法は、論理的では
>> ないような・・・)針葉樹の生息する土壌にそれなりに保
>> 水力はあると思いますが、ゼロとは言わないですが、広葉
>> 樹林には劣るのではないでしょうか。そして、現在の人工
>> 樹林は、もともとは自然広葉樹林地域だったのではないで
>> しょうか。

只木教授:
> 世の中には人工林保水力を「ゼロのごとく」(本文通り)に短絡する人が沢山いるの
> で、困るのです。一般的には、広葉樹林>人工林です。 これは、そもそもが広葉樹林
> は好立地であることが大きな理由、土壌生成速度も速いことも理由に加えて良いでし
> ょう。ただし、十分年を経た人工林では、広葉樹天然林とそんなに見劣りはしませ
> ん。広葉樹天然林跡に造林した人工林は沢山あります。しかし、この場合、広葉樹林
> 皆伐--土壌流亡--造林、の経過をたどっているものが殆どです。

なるほどです。。伐採し植林する間の土壌流亡も厳しい。。
確かに、難しい。これも大問題ではあります。その方法を
教授が考えて下さい!


つづく
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        ゲンゴロウ
gengorou@m08.alpha-net.ne.jp
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