[BlueSky: 5272] Re:5252 速水木材


[From] "gengorou" [Date] Fri, 1 Aug 2003 22:52:00 +0900

ゲンゴロウです。

弥富の佐藤仁志さん:
> 7月26日の朝日新聞土曜版のフロントランナーに速水林業の活動が
> 紹介されていました。一般向けに上手くまとめてあります

朝日新聞土曜日版「be」ですね。いつも読んでいるのですが、
今回は見逃してました。ご紹介、ありがとうございます。
記事は、葛貫さんが教えてくれていたように、
http://be.asahi.com/20030726/W11/0020.htmlですね。


 新聞紙面にでていた写真に懐かしさを覚えました。
シダが茂る針葉樹の森。以前、まったく同じ様な森の中を
散歩していたことがあります。まるで太古の森の様でした。

さて、読んだ感想をいくつか・・・

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【世代間の契約】

 林業は一世代で一本の木を育てる。つまり50年の木を
切り出すのですが、それは、世代間の契約というか、信頼
関係がなければならず、また、一本でも切り出したからに
は一生を捧げるという雇用契約にもなるのではないでしょ
うか。
そして、老いた者には、その森は次世代に見せる勲章にも
なり、きっと誇らしく山を歩けるのではないでしょうか。
都会の老人とは大違いの様です。

そして、このことから考えられるのは、世代間の契約の重
要性でしょうか。。林業が下火になっている理由には、も
ちろん、大企業の姿勢である「大きな利益がなければ参加
しない」という姿勢もあるでしょうが、この世代間の契約
という長いスパンの思想・哲学が成立しにくくなっている
ことがあげられるでしょうか。
さらに、速水木材は会社組織ではないそうですが、それは、
資本が山にあり、尚かつ、この世代間の契約があれば必要
ないことなのでしょう。


【人工針葉樹林はダメ】

 経営者である速水さんは、
「『人工林が自然を壊し、手を入れない広葉樹林の自然は
豊か』の俗説をただしたかった」と言ってますが、どう正
したかったかと考えてみると、それは、人工林でも自然は
豊か」ではなく、おそらく「人工林でも手を入れれば豊か
になる」ではないでしょうか。キーポイントは「手を入れ
る」ということでしょう。
それは、言い方を変えれば、「人工林は手を入れないとだ
めだ」ということであり、「手を入れない人工林はだめに
なる」ということでしょう。
 つまり、日本の「手を入れていない」「人工林はダメ」
だということですね。
速水さんも「人工の針葉樹林は、手を入れないと、土壌が
流出する」と言ってます。


【輸入材と国内産材】

 ”安い輸入材によって国産材価格が下落し、林業はじり
貧だ。”
なぜ、遠方の樹木が安くなるのかです。人件費は大きな要
素でしょうが、それ以上に、外国の平坦な土地にある樹木
は、切り出すとそこが道路になり、その場までトレーラー
が横付けでき、重機も持ち込め、機械で積み込みが出来、
港でもクレーン、船は数人の貨物船、そして、日本でも機
械。。なので、ほとんど人力がいらないので、安価になる
のかもしれません。
日本の林業は、もちろん山の奥深くにあるので、切った木
を山の中の道路まで運ぶのは、ワイヤーを駆使しての作業
なのではないでしょうか。製材所にまで運んでくるのが大
変な作業であると思います。
そして、もう一つの大きな理由が、勝手に育った自然林と
手間をかけないと育たない日本の人工林の違いでしょうか。


【手を入れるとは・・・】

 ”木を植え、下草を刈り、枝打ちし、伐採し、自ら開い
た林道で運び出す。”で思いつくのは、枝打ちすると節が
できず、高級材になるからでしょう。枝打ちは、すぐに枝
が出てくるので、森全体の木をまんべんなく回り、一本一
本に登り、出てきた枝をえぐるように取り去るのでしょう
か。。大変な作業ですね。


【思想・哲学】

 私が、この速水さんの記事で最も気に入ったのは二つあ
ります。
一つは、”経済効率性と環境への配慮は二律背反ではない”
と、もう一つは、”経営の前に思想を”です。

経済性と環境性は、たまたま商品が美しい環境によってこ
そ育つ木材だったからでしょうか。。そうかもしれません
が、日本という、または、世界という大きな目で見て、
どんなに美しい商品も、その背景で汚れた汚物を工場から
垂れ流したりしていたら、その商品の輝きは失せていると
いう目を人々が持つ日は、もう来ているような気がします。

また、「経営の前に思想」は、私の思うところでもありま
す。人は事によって動かされるのではなく、人はその思想
によって事を動かすことができるのだと思います。
 人は思いがなければ、生きた行動が出来なくなるという
ことを皆が理解する時代が来ているという気がして、なん
だか、うれしくなります。



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