[BlueSky: 5264] Re:5263 「環境保全」


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Thu, 31 Jul 2003 12:12:51 +0900

こんにちは、葛貫です。

須賀さん、お忙しい中、ていねいな返信、ありがとうございました。

葛貫:
> > 現実に、政治的決定をするとき
> > は、何らかの指標を決めて、数値化して、統計処理をして・・・
> > という過程を経ることが多く、指の間だから砂が洩れるように、
> > 大切なものが取り零されてしまいそうな気がします。
> > 現地だけではなく、そこに暮らしていない外の人からの思い入れのよ
> > うなものも入ってくるわけで。

須賀さんwrote:
> これは、たとえば国ごとのマクロな経済指標(ひとりあたり国民総生産
> とか政府の赤字とか?)をもとにして援助機関が開発援助の方針を
> きめたりする、といったことでしょうか?

そうですね、そういった問題もあるんですね。
私が、↑のようなことが気になったのは、先日、仕事で、観光拠点
を整備するための基本的な計画を作成するための調査研究に関する
報告書を読んだからでした。
何件かの調査事例が紹介されていたのですが、いずれも下記のフロ
ーチャートに従って進められていました。


 社会経済・自然環境条件調査     第一次産業の現況調査
     |                |
     └───────→│←──────┘
              │
 関連既往計画・構想の把握 │    地区住民の意向整理
     |        |       |
     └───────→│←──────┘
              ↓
         現状の問題点と課題の整理
              |
              ↓
           将来構想の作成
              │
              ↓
           基本計画の作成
              │
              ↓
            報告書作成


このマニュアル自体、文句がつけようがない、要点を押さえたもの
だとは思うのです。そして、須賀さんが書かれたように、
> いつでも現場で、その場所の
> 状況に即して考え、話しあって着地点をみつけていくしかないのでは
> ないかと思います。ほかの場所のことはヒントにはなっても、なかなか
> 一般的なこたえにはなりにくいように感じています。
にも十分対応できるものであるようにも思います。

でも、資料が蓄積されて、関連既往計画・構想の把握という点の重
みが増してくるようなことがあると、社会経済・自然環境条件調査、
第一次産業の現況調査で調べる評価の「指標」とするものもマニュ
アル化されてしまうのではないか。この企画を立てる中心となるグ
ループ(何故か、外から来た人達というイメージがあるんです)が、
まず、現地の風土全体を体感してみることが、省かれてしまうよう
になるのではないか、と、気になったのでした。

> こんなふうに感じるのは、遠くからながめることしかできない者の腰の
> ひけた態度なのかもしれませんが。

*******
自分がしてもらいたいことをしたまでですなどと人前で平然と口走
るような輩に出くわすたび、私はしばしば黙り込んでしまう。自分
がしてもらいたいことを他人にしてあげるという理屈は、考えよう
によっては謙虚で奥ゆかしくて、好意を感じさせるものだが、それ
はなかば自慰的な行いでもあるのだ。自分にしてほしくないことを
他人にしないというのも一種のエゴイズムなのだから。
********
という、「砂売りが通る」という堀江敏幸さんの小説の一節を思い
出しました。

そういう文脈で読むと、
> ひとの思考や行動は記憶のつみかさねによって決まる。・・・
> だから、記憶をつみかさねることを軽くみてはいけない。・・・
> 感覚への刺激は外からやってくるが、それに意味をあたえる
> のは自分自身である。・・・わかったことは行動にうつすことが
> できる。・・・ひとが生きていくうえでは、正解の決まっていない
> 問題に自分なりに答えをあたえていく能力が大切だ。そのため
> には、細かい記憶の能力以上に、大きな文脈のなかで流れ
> をよむ能力が重要になってくる。・・・
という紹介して下さった本のメッセージが、心にしみてきます。

コスタリカのお話、ありがとうございました。

> それで、どうだったか、ということになるわけですが、正直なところ、
> 手短にお話しするのはとてもむずかしいです。
というものを、わたくしめの不満を解消するために、強引に、
> 無謀を承知で、簡単に印象を書きます。
と書かせてしまい、須賀さんらしさを損なわせてしまったとしたら、
申し訳なく思います。

昨年の冬、あるフォーラムを見学に行き、新しく入ってきた沢山の
情報が、ある人の中で、それなりの形をとって行く過程のようなも
のを見学してきました。その時、質問をいっぱいして、形を引き出
すというのは、質問者の枠組みの中での答えしか得られないんだな、
と思ったのですけれどね(^^;。御本人の内側で、熟成され、言葉に
なってあふれてきたものを聞くことができたらラッキーというスタ
ンスでいるのが礼儀でした。ごめんなさい。

それでは。


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