[BlueSky: 526] Re:516 美味い水の条件


[From] "Katsumi Tamaoku" [Date] Fri, 20 Aug 1999 14:50:06 +0900




後藤さん、船石さん、青空MLの皆さん、

       玉奥です。

後藤さんwrote:
>まぁ、確かに「美味しさ」を検分する「試験紙」など、まだ、実在しな
>いでしょう。
>
中略
>
>もちろん、山林から流れ出たさまざまな成分が「水の美味しさ」を構成
>していると思います。純水(全く不純物なしの水)は、大阪の水よりは
>美味いですが、普通の水に比べれば、まずいです。
>
>玉奥さん、水の美味さについて何かご存知ありませんか?

呼び出されてしまいました。
船石さん、ありがとうございます。

船石さんwrote:
>昭和59年の厚生省「おいしい水研究会」では、おいしい水の要件を以下にまと
>めています。(参考:上水試験方法)
>
>蒸発残留物  30〜200mg/l
>硬度     10〜100mg/l
>遊離炭酸    3〜30mg/l
>過マンガン酸カリウム消費量 3mg/l以下
>臭気度     3以下
>残留塩素    0.4mg/l以下
>水温    最高20度以下
>
>日本国内の名水は、だいたいこの範囲にはいるとか。
>いや、結構特徴のある名水もありますけどね。

過マンガン酸カリウム消費量 3mg/l以下という基準値は飲用可
でしょうが、名水と言われる水は 1mg/l以下でないと信用できま
せんね。この指標は水の味に関係するよりも、有機物による汚染を
示していますから。例えば生活排水の地下水への浸透とか。
北海道の地下水で泥炭地の地下水はフミン質を含むでしょうから、
この値は高くなるでしょうね。

後藤さんwrote:
>> 残留塩素が多いほど不味く感じると思いますが、少ないことは美味さの
>> 必要条件ではあっても十分条件ではないですね。
船石さんwrote:
>この報告の中の解説には、「残留塩素が高いとカルキ臭が強く、まずく感じるよ
>うになり、有機物質と結合して特に不快なニオイを付けることがある」けれども、
>日本の水道水は出口で0.1mg/l以上あることが義務づけられていますよね。
>> 硬度(同仁化学で測定キットが売られている)が高いほど美味い、とい
>> うことはあるのでしょうか?成分間のバランスが美味さに効いている可
>> 能性があるから、だめなのかなぁ?
船石さんwrote:
>「硬度の低い水は癖がないが、高くなると人によってはおいしいと感じる人とそ
>うでない人がいる」らしいですね。硬度の中でも「カルシウムに比べてマグネシ
>ウムの多い水は苦みを増す」とも。

私も熊本県内の名水と言われている水をいくつか現地で飲んで
みましたが、冷たい水はおいしい、マグネシウムが多い水は苦い
(持ちかえって分析しました)。しかし現地の人にとっては、この
苦味の薄い水は美味くないらしいのです。
水の硬度については、ヨーロッパでは200〜400mg/l くらい
あるそうで、慣れない日本人は下痢をするそうです。
また、純水は不味いだけでなく人体には有害ですから下痢を
します(人体や腸内細菌に必要なミネラルを取ってしまうから)。

同仁化学の硬度測定キットとは、ポナールキット-WH、のことで、
錠剤と粉末と測定瓶からできているキットの事です。危険性や
有害性のある化学物質は含んでいないので、小学生でも実験
できます。ただし、カルシウムとマグネシウムの区別はできません。

船石さんwrote:
>このほか水温は、「体温に比較して20〜25度低いとき、生理的に最もおいし
>く感じるといわれる」らしいですから、ぬるい名水と冷やした(美味しくないと
>評判のところの)水道水では水道水をおいしいとも感じるでしょうね。

ビールのおいしい温度、10〜15℃くらいですね。

>
>ちなみに、WHOの飲料水水質ガイドラインなどでは味の感知濃度限界から設定
>された無機物濃度の基準値もあるようです。
>
>輸入品のミネラルウォーターは結構硬度が高かったりしますから、比較対照には
>なるでしょうね。
>
>そういえば以前、薄い塩酸や硫酸などの化学物質で味覚の試験をしたことがあり
>ます。苦いとか、渋いとか。100人に一人位味を感じない物質もあるとかで、
>なかなか面白かったのですが、味わった当時はいい気分じゃなかったです。

この他、水のおいしさには爽やかさを与える炭酸ガスのほか、
酸素も関係します。酸素のない水は還元作用を受けるので、
いやな臭いや味の物質が出来てしまいます。腐った水です。
少量の塩素イオン(例えば食塩のことで、残留塩素ではあり
ません)があると味もよくなるそうです。隠し味?

後藤さんwrote:
>美味しい水でも「有害な物質」が混入している危険性は、おっしゃる通
>り、確かにありますね。このこと、【406】のときは全く想定してい
>ませんでした。横須賀、京都、大阪、名古屋、帯広の「普通の水」を想
>定していましたので。
>
>ただ、美味さの識別には、個人差は余りないと思います。
>例えば、大阪の水と名古屋の水とで、逆転した評価をする子供は出ない
>のではなかろうか、というのが僕の予想です。しかし、「試験紙」に結
>び付けられないのは残念ですね。
>
>でも、残留塩素試験紙(または液)みたいなものはあるんでしょう?
>例えば、↓。
>
>中澤さん【403】:
>> 実は学生実習で水道水の測定をやっているのですが(テキストは下記URL),
>> http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/labometh.htm
>> 残留塩素は,簡易キットでも結構ちゃんと測れます。
>残留塩素が多いほど不味く感じると思いますが、少ないことは美味さの
>必要条件ではあっても十分条件ではないですね。
>

残留塩素試験キットも販売されていますが、黄色に着色
して判定しやすいキットには、人体に有害な化学物質の、
オルト-トリジンが主成分で、ほかに強酸性液も含むので
子供の実験にはおすすめできません。

>
>喜多さん【407】:
>> 疑えばメーカーで種々に売られている「自然水」なるものも,どの辺りまでテス
トさ
>> れているものやら。やはり「先生」と「生徒」がそれこそ,全国各地の「水」を
少な
>> それに輸送途中で腐敗する事もあると思うのですが。
>これは、凍結するか、冷蔵にして、クール宅急便で。

市販の「自然水」の販売規格(厚生省)は厳しく、涌き水を
そのまま販売することはできません。ですから、市販の
「自然水」は湧き出したままの水ではありません。少なくとも
ガス成分は変化しております。

後藤さんwrote:
>いずれにせよ、水の美味さの「成分的要因」が未知であるとすると、と
>ても難しい課題ではありますね。ただ、これは、「美味さ試験紙」に展
>開するから「難しい」わけで、【406】にもヒントとして述べたよう
>に、他の展開も十分にありうる、と思います。
>
>また、もちろん、「水の美味さ」に拘っているわけではないですが、
>「水質検査」という有害成分を検出する「暗いイメージ」のプロセスを、
>「美味さ」という「明るいイメージ」のプロセスを背景にして授業展開
>できたらなという、まぁ、僕の小学生教育の理念の「空想的」具体化で
>あったわけです。

水の成分は、水の履歴書です。水の硬度はその水が
生まれてから湧き出すまでの地質を示しています。
川の水の硬度だけでも、本流と支流、支流が入る前の
本流の3点の硬度を調べるだけで水の流れてくる山奥を
想像することはできます。
子供の好奇心、探求心を呼び起こす事が出来るかも
しれません。

「水の美味さ」を検査するには、動物(人間も含めて)による
官能検査(におい、味)が一番です。怪しいと感じた水は
やはり怪しいのです。測定器で検出されなくても。
水の美味しさ、については以下の本が参考になります。

 「おいしい水の探求」  小島貞夫
   NHKブックス    日本放送出版協会  ¥830

では、また。
         玉奥克巳



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