[BlueSky: 527] Re:526 美味い水の条件


[From] Minato Nakazawa [Date] Fri, 20 Aug 1999 16:28:26 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

(件名:[BlueSky: 526] Re:516 美味い水の条件に於て)
Fri, 20 Aug 1999 14:50:06 +0900頃,Katsumi Tamaokuさん:
> 過マンガン酸カリウム消費量 3mg/l以下という基準値は飲用可
> でしょうが、名水と言われる水は 1mg/l以下でないと信用できま
> せんね。この指標は水の味に関係するよりも、有機物による汚染を
> 示していますから。例えば生活排水の地下水への浸透とか。
水質基準としては,10 mg/L以下ですよね。東京の水道水でも平均して
2 mg/L程度ですから(典拠:平成6年度版「水質年報」東京都水道局),
3 mg/L以下というのは,確かにあんまり意味がないような気はしますが,
「東京の水道水よりも有機物が多くてもおいしい水」というのが実在
するのでしょう,きっと。
ちなみに,集中豪雨などによる河川増水時にも増加することが知られている
そうです。
(出典:日本環境管理学会 編「新水道水質基準ガイドブック」丸善,2500円)

船石さん:
>輸入品のミネラルウォーターは結構硬度が高かったりしますから、比較対照には
>なるでしょうね。
総硬度1500を超えるコントレックス(カルシウム486 mg/L,マグネシウム
84 mg/L)とか,総硬度733.6のサンペレグリノ(カルシウム201.6 mg/L,
マグネシウム57.4 mg/L)ですね。エヴィアンでも数百ありますし。
もちろん輸入品でもボルヴィックみたいに硬度が比較的低い水もありますが。

玉奥さん:
> 残留塩素試験キットも販売されていますが、黄色に着色
> して判定しやすいキットには、人体に有害な化学物質の、
> オルト-トリジンが主成分で、ほかに強酸性液も含むので
> 子供の実験にはおすすめできません。
柴田科学の残留塩素測定器O−T法(10600円)のことを指していらっしゃる
と思いますが,たしかにあれは子どもの実験には向いていないと思います。
しかし例えば,共立理化学のパックテストなら試薬に直接触れることなく
測定できます。パックテストは精度が低すぎるような気もするので,学生
実習ではセントラル科学のテストキットを使っていますが,これはDPD酸化
比色法で,カラーディスクで測定するので,かなり正確かつ高精度です。
#いずれにせよ,廃液や廃試薬の事後処理は大きな問題です。
#パックテストの場合,測定後まとめて「焼却」すべし,と
#共立理化学の取説に書いてありますが,水が入っていて
#低温燃焼するに違いないプラスティックチューブを燃やす
#ことの環境影響は気になるところです。

玉奥さん:
> 水の成分は、水の履歴書です。水の硬度はその水が
> 生まれてから湧き出すまでの地質を示しています。
> 川の水の硬度だけでも、本流と支流、支流が入る前の
> 本流の3点の硬度を調べるだけで水の流れてくる山奥を
> 想像することはできます。
> 子供の好奇心、探求心を呼び起こす事が出来るかも
> しれません。
そうですね。

本郷にある東京都水道局水質センターのアドヴァイスに
よると,電気伝導度を測ると,水源(水系)ごとの特徴
がわりとはっきり出てくるかもしれないとのことでした。

>  「おいしい水の探求」  小島貞夫
>    NHKブックス    日本放送出版協会  ¥830
この本は,確かに面白かったです。去年の秋に読みましたが,
http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/cgi-bin/bookres/0903145038.html
に書評を書いてありますので,ご覧頂ければ幸いです。

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Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo


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