[BlueSky: 5248] Re:5241 5244 土砂災害、行政以前


[From] "荻野 行雄" [Date] Mon, 28 Jul 2003 09:18:49 +0900

ちょっと以前の経験を思い出して書きますと。


 河というのは、そもそも自然に出来たものです。
ということはつまり、その区域、川幅に、明確な境界はありません。

 主要な河川については、一級河川とか二級河川とか指定をして、
国・自治体が管理することにし、その区域を明示した測量図である
河川台帳を整備することになっていますが、それすらなかなか速やかに
行われるというわけにはいきません。(測量って、結構大変な作業)

 そもそも田舎の土地というのは、国土調査(公的な、土地の測量調査)
が行われておらず、
明治時代に手書きされた字図(公図)という、かなりアバウトな図面が
あるだけだったりします。
しかも一筆(一区画)がばかでかく、図面と現地の対応関係が、
何がなんだかさっぱりわからないこともあります。
 しかも、河川の最上流部は図面上に描かれていなかったりします。

 以上のような状況で、どういうことが起きるかというと、
川縁の土地所有者が、素人判断で勝手に盛り土などの工事を
行っていたりするわけです。

 河、つまり河川区域について、勝手に個人が工事をするようなことは、
もちろんあってはならないことなのですが、
その区域がどこまでなのか定まっていない。
 現況河床でも、固定資産税を払っていたりするのです。
だったら、私有地なんだから、勝手にやらしてもらうよと・・・


 逆に、河川区域を明示するのも実は考えものです。
そこの地権者は安心して境界ぎりぎりに擁壁を打つなどし、
遊水地がなくなったりします。
 そもそも田んぼというのは、丸ごと遊水地のようなものなのだけど、
これがなくなると、雨水は速やかに川に集中し、
いっきに水位が上がることになります。


 かつては安全だったはずのところが、いつの間にか勝手に手を入れられて、
危険になってしまったりするわけです。
 山の木が杉ばかりになっちゃってるのもそうですよね。
それで伐採するときには、コストを抑えるため?
ものすごい勾配の作業道をぬいて、かなり大規模・集中的に
斜面を丸裸にしちゃったりする。
 そのせいか、斜面ごと落ちてるようなところも、結構あったりしますが、
目に見える被害がないとニュースにならないようで・・・


 かくして、せめて公共事業を入れて、何とかしないと危なくてしょうがない、
トホホな状況になってしまうわけです。

 ひどい現場を見てると、個人の土地所有というのが
そもそも間違いなのではないか。
 また,重機を個人レベルでほいほい使えるような産業社会というのが
まずいのではないかと思ってしまいます。

 縦割り行政を是正しても、規制を強化するくらいがせいぜいなのではないかなあ。
下手に規制を強化すると、良心的なところは経済的に苦しくなり、結局無茶して
トンズラこくような悪徳業者が暗躍することになるのではないかなあ。



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