[BlueSky: 5238] Re:5235  河童忌


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Thu, 24 Jul 2003 12:43:01 +0900

葛貫です。

今日の朝日新聞の天声人語に載っていたのですが、今日は芥川
龍之介の命日の「河童忌」なんですね。
http://www.asahi.com/paper/column.html

ゲンゴロウさん wrote:
> 思うに、私も含めて、多くの人は、他者の世界を知ることが出
> 来ないほどに、自己の世界で成り上がってしまっているように
> 感じます。謙虚さがまるでないように感じます。
>
> その意味で、私は、芥川龍之介が気になるのかもしれません。

私が、芥川龍之介が気になったのは、昨年の秋、地学からゲノム解
析へと、扱うものの大きさも、時間の単位も全く違う分野に研究の
対象を変えてこられた新進気鋭の研究者さんが、雑談をしていると
きに、ふと口にされた、芥川のぼんやりとした不安、蓮の花、冷た
い宇宙、という言葉が、妙に心に残ったからでした。

偶然なのですが、最近、【5231】でご紹介した、『「私」はなぜ存
在するか(哲学書房)』という、日常感覚から離れてしまった生物
学を「個体」という日常、実感できるものを土台として語ってみよ
う、という本を読みました。

中村桂子さんが「生命誌(ゲノムができてきたプロセス、働くプロ
セス)」、多田富雄さんが「免疫(外界と応答しつつ、変容してい
く自己充足系)」、養老孟司さんが「脳化社会におけるものの実感」
という切り口で対談している、この本、とても面白かったです。

この両者が、自分の中でつながり、まとめてみたくなったので、
「蜘蛛の糸」スレッドを投稿してみました。


> 私にすると、恐いのは、「神」を堂々と信仰する人より、「神」
> を持たず、「神がかり」的な信念を持っている人です。

芥川は、キリストをジャーナリストとしてとらえた「続 西方の人」
という作品を前日に書き上げてから自殺している。
これは書いておきたい!!という、こだわりがあったんでしょうね。

> さらに言ってしまうと、その様な人は、その人の世界の中で、、
> どんな、すばらし業績を残しても、他の世界、あるいは人を、
> なんらかの形で侵しているのではないでしょうか。。

で、ゲンゴロウさんは、どう対応しようと、思われます?

どことなく期待しているご利益や、何となく恐れている祟りのよう
なものがなかったら、「ふ〜ん、へぇ〜、そうなんですか。」と
信念の部分は、承るだけ承っておいて、自分に取り入れず、業績の
役に立つ部分だけもらえないかな、と思ってしまうんですけれど(^^;。

> (また、捉え方が違っていたら、すみません。。)

お気遣い、ありがとうございます。
何となくの違和感から、違うところスキャンを始めると、破壊的な
方向に向きそうなので、やめておきます(^^;。
言葉というものは、異種タンパク質のように、心の免疫系に作用す
るようです(笑)。

「人と話すとき、相手の言葉の意味を理解していると思っているが、
本当は自分の記憶や理解を当てはめようとしているだけで、脳の内
部の意味や価値が想起されるにすぎない」そうです。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/news/2003/jul/index.html#gen_01

私の駄文が、ゲンゴロウさんが、何か考えたり、まとめたりすると
きのお役に立てたとしたら、幸いです。

では。


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