[BlueSky: 5237] Re:5236 土砂災害の背景


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Thu, 24 Jul 2003 11:21:08 +0900

こんにちは、葛貫です。

山口さん wrote:
> 自然の営み、その絶大な力と折り合いをつける知
> 恵と工夫を忘れ去った
> 土建技術、公共事業で無理やり何とかしようとすることはばかげていると思えないの
> でしょうか。

国土交通省の河川審議会から平成8年6月に発表された答申に、
「21世紀の社会を展望した今後の河川整備の基本的方向について」
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai/shingi/to-index.html
というのがあり、その中に、
4.2 (1) 新たな治水の展開
 治水事業を計画的に推進するものとし、大河川については、100年
から200年に1度、 中小河川については、30年から100年に1度、土
砂災害対策については、100年に1 度発生する規模の降雨を対象と
した計画目標のもとに整備を推進する。当面の目標と して21世
紀初頭までに、大河川については、30年から40年に1度、中小河川
及び土 砂災害対策については、5年から10年に1度発生する規模
の降雨を対象とした計画目標のもとに重点的・効率的な整備を図り、
概成する。

という一節がありました。たとえ200年に一度にしか起こらない災
害だとしても、遭遇して、ひどい目にあってしまった人は、長期的
な視点に立った治水とか、自分自身が住む土地の地理条件を知って
リスクを心得ておくことより、「今すぐ、何とかしてくれようとし
ているところを、見せろ!」と、行政に向かって言いたくなるだろ
うな、と思います。「いい顔」を見せたいし、公共事業ということ
で、工事もできるし、ということで、動いてしまうんでしょうね。

治水の問題でも、ビョルン・ロンボルグみたいに関係文献の一覧を
つくって、何となく人脈、金脈がわかるような研究に具体的な難癖
を(?)つけて、論争の火をつける人が出てくると、面白いだろう
に、と思うのですが(^^;。

> まず、河川流域で人工林、とくにスギ林を大規模に作ったことが河川環境に負荷を与
> えているのかどうか、その
> 影響は調べられているのでしょうか。

今、ネットで検索して見られたのは、
「土壌流亡の緩和手法と河畔林の緩衝機能評価」なのですが、
http://www.agri.pref.hokkaido.jp/center/kenkyuseika/gaiyosho/h12gaiyo/2000602.htm
河畔環境の再生(現状を解析した上での)について、北海道で行政
の枠組みをこえた共同研究がなされています。私が目にするのは、
そのうちの水産部分だけで、総論がでたら、読みたいなと思ってい
るのですが、まだ、研究の途中のようです。

> 最近、九州各地の海岸をまわりながら、いたる
> ところで河川工事を見て
> そして、照葉樹林がすっかり消えていることに驚かされました。

河畔林ではないのですが、首都移転話があった頃、そこに住んでい
ない人達が、一儲けしようと候補地周辺を買ったものの、その後、
土地の利用の目処が立たず、地主に取り敢えず整地を勧めることで、
わずかながらでも地元に儲けをということで、スプロールな森林破
壊が進んでいる、小規模な私有地なので、法的に規制することは
できない、というような話を見かけました(朝日新聞だったと思い
ます)。そこの土地に根を降ろした生活をすることもない人達の
ちょっとした思い付きで、こういうことが起きる。不条理ですね。


琉球大学といえば、
「琉球大が海洋系学部設置へ 06年度までに開設目指す」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030723-00000154-kyodo-soci
という記事を見かけました。
実学の拠点ですね。頑張って下さい。



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