[BlueSky: 52] Re: 精神的欲望の対象はさまざま  Re [29]


[From] Konno Yasuo [Date] Sun, 11 Jul 1999 08:29:52 +0900 (JST)

後藤さん

> 紺野さん【29】:
> > 中国人が日本人並の生活をしたら、地球環境はそうとう悪くなるはずです。個人
> > あたり資源利用量は日本人が中国人並になる必要があります。
> >
> > 人間は欲望の抑制ができるほど、崇高な存在だろうか?あまり自信がありません。
> > 人間というものは、そうとうやっかいな生物です。
> > しかし、それでも抑制の科学、のようなものを目指さなくてはならない。
> >
> > もっとも極端な抑制の科学は小型化遺伝子の人間への導入だ。
> > 遺伝子導入も人ごとではなく(「他種ごとではなく、」が正しい)
> > 人間自身の身長を小さくする遺伝子の導入なども考えなくてはならないという時
> > 代がくるかもしれないと言うことです。小型化すれば資源を使わないから。
> ⇒⇒⇒これって、冗談(Jと略称することあります)じゃなくて、真面目なんで
> すか?
冗談を言ってはいません。もちろん、このようなことをやってよいと言っている
わけでもありません。しかし、オカルト集団の教義になるかもしれません。この
ようなことを回避する方法を探りたいと言うことです。(後藤さんから反論ある
だろうな、と思っていました。)

> 「小型化すれば資源を使わない」というのは、事実認識としてまずい、と思いま
> す。アメリカ人のひとり当たりのエネルギー消費が日本人に比べて高いのは、ア
> メリカ人のサイズが大きいからではありません。産業・社会構造や生活スタイル
> の問題でしょう。
>
> 「欲望」のレベルで議論するならば、人体生理学的欲望と精神的欲望が区別され
> ます。人体生理学的欲望(渇水欲、性欲、食欲など)はとどまることを知った欲
> 望です。空腹感は、食事によって満腹感に変わって、抑制されるのです。60k
> gのひとで、一日、約2000キロカロリーで満足される筈です。小型化すれば、
> 確かに消費量は減りますが、、、先進国の食糧問題・エネルギー問題での問題は、
> この部分ではありません。
的確なご意見ありがとうございます。サイズの問題でないことがよく分かりまし
た。

> 食欲で言うとグルメ欲。あるいは、より一般的なことばでいうと、快楽追求に相
> 当する精神的欲望の問題でしょう。

> これを全般的に抑制するということは、人間弾圧です。廃人をつくるようなもの
> です。したがって、倫理的には絶対的に許されない行為でしょう。

> できることは、快楽追求の対象を変えることだ、と思います。科学者の研究活動
> も、芸術家の創作活動も、技術者のエンジニアリング活動も、、、、あるいは、
> 主婦の井戸端会議も、車を乗り回すのも、、、すべて快楽追求です。もちろん、
> グルメも快楽追求の一つです。

> 楽しいことを求めてやまないという人間性を否定することはできませんが、何を
> どのようにして楽しむか、ということを「選択」することは不可能ではない、と
> 思うわけです。人間の果てしない欲望こそ、人間(個人)の活力の源泉です。そ
> れは悪の源泉にもなりうるわけですし、環境問題の根底にあるには違いないので
> すが、また、それは、人間の「美しさ」の源泉にも違いないのです。
後藤さんの議論はその通りだと思います。しかし、
何をどのように楽しむかを「選択可能か」という問題は、そう簡単ではないと思
います。自然保護を考えている人間に取ってさえ、そう簡単に「選択可能」にな
らないのです。
 いまの日本に住んでいては、むずかしいのか、そもそも人間にはむずかしいの
かを見定めたいと思います。僕はいまのところ後者です。でも、希望は捨てて
いません。多くの人に議論をしてもらいたい点です。
 欲望も時代の所産であるので、欲望の対象の転換はまったく不可能ではないか
もしれません。ある物がもったいないと思うことはつい最近まで普通でした。い
まは時間がもったいないの時代です。
 資源を使い尽くして、自然保護の対象さえなくなる前に、後藤さんのいうこと
が可能か、そしてそれがどのようにして可能なのか考えたいと思います。それは、
横山さんの懸念されている問題につながるはずです。

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紺野康夫  
帯広畜産大学 生態系保護学講座 〒080-8555 帯広市稲田町西2線
konno@obihiro.ac.jp
TEL 0155-49-5497 FAX 0155-49-5499
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