[BlueSky: 4975] Fw:[assist:00167]


[From] "Takashi Suzuki" [Date] Wed, 19 Mar 2003 21:11:41 +0900

すこしく長いメールなのですが、19才の大学生の見たイラクの現実。
2通、転送いたしますので、お読みいただければ・・・・。

May peace prevail on earth

鈴木 隆 
shienron with infinite love

----- Original Message -----
From: "
Sent: Wednesday, March 19, 2003 4:35 AM
Subject:[assist:00167]


以下転載転送大歓迎っす 
皆さんお世話になっています 僕は「ブ」のつく男のせいで寝不足です 
今日は下野新聞と東京新聞の取材に行きました。明日載せていただけるそうです。

やっとひとつ企画が固まりました 茶話会とゆうのが雅な感じです みやび、と読む
んやで知ってた? 是非来てください 宇大でも3月中に一度やるつもりで動いてま


茶話会
「僕が見てみてきたイラク ―2月16日〜3月3日―」

今、世界の人々が一番関心を持っている国イラクに2週間訪ねてきた青年に、見聞
きしてきたふつうの人々の生活の話を聞きます。短い滞在での話ですが、遠い国イラ
クをもっと近くに感じてほしいと願っての企画です。
『僕が見て、感じたイラクの人々のことを、僕の言葉で、伝えたい。ふつうの話で
すが、僕らの日常と同じ、イラクの人々の日常を「想像」する際のひとつのヒントに
していただければ嬉しいです。僕だけではなく、みんなでしゃべる会になればええな
あと思います。』
ホームページ:http://members.tripod.co.jp/pulausoichiro/top.html

日 時:3月22日(土)1:00〜2:30pm
場 所:とちぎ国際交流センター 2F研修室
(宇都宮市本町9−14 電話:028−6621−0777)
話す人:谷澤 壮一郎さん(宇都宮大学学生)
参加費:無料

問合せ:とちぎYMCA教育センター 電話:028−624−2542(大浦)

前の文章で書いたけども、淡々と書いて、書いて、伝えることしかないと思うから、
とにかく書きます。
よろしくお願いします

たにざわ

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バグダッドの街を歩く。僕は、ひたすら、歩く。ここでしか


感じられへん雰囲気を、体で感じてる。決して整備されているとは言いがたい歩道
の、ゴツゴツした感じを靴裏で感じながら。信号待ち、僕への「歓迎クラクション」
を鳴らしつつ手を振って「ハローミスター、ヤーバーニー(日本人)?」とゆうてく
れる、兄ちゃんの暖かいまなざしを感じながら。少しぐらいの埃っぽさも、常にどこ
かでプァンとかブーとかゆうてる際限ないクラクションの波も、排気ガスの匂いでさ
えも、なぜか不思議と心地よく感じられる。店頭で流れる、大音響、「アラブ圏ヒッ
トチャート」を聞き流す。アラブ圏、とはマジでスケールがでかい。ケバブの香ばし
い匂い、立ち食い食堂の中から、ひげの素敵な若者が手招きする。ええ笑顔や。朝夕
とは違う、ポカポカとした陽射しの中を、僕は歩き続ける。若い女学生、「ギャル」
が恥ずかしそうに「ハーイ」と声をかけてきたりもする。素直に嬉しい。美人なら、
余計に嬉しい。菓子売り露天のおじさんは、食え!と強引に手渡してくれる、その優
しさ。店を覗き、ヘー、とか、なんじゃこりゃ、と声を上げ、すれ違う人と、めくば
せをし、手を振り、「ハロー」といい、「サラーム(平和、の意。こんにちはチッ
ク)」といい、握手をし、肩の力が抜け、頬がゆるんでいく。ヘラヘラ、歩く。今自
分がどこにいるのか、そんなことはどうでもええ。次の角を曲がるか、まっすぐ行く
か、そんな楽しみもある。それぞれの道に、新たな出会いがある。感覚で散策。ここ
ろがやわらかくなっていく、幸せ。

平和ってもしかしてこうゆうこと?

青い空が、なんとなく赤みがかってくると、風も冷たくなる。ああ冬や、と感じる。
足もそろそろ疲れてきて、のども渇く。そう、この疲労感がたまらへんねんな。チャ
イが、無性に飲みたくなる。そんなときに限って、すぐそこにチャイ屋が現れる気が
した。あ、ええとこにおるねえ。おっちゃん、一杯ちょうだい。

「チャイ」。イラクでの正式名称は、不明。アラビア語でなんとゆうのかも、不明。
日本語では、紅茶。僕の勝手な解釈では、これは「チャイ」や、とゆうことにしてお
く。なお、正式にイラクのあの茶はこうこうこうゆう名前やねんぞわかったか若造!
てな方がおられたら、御一報お待ちしてます。

7センチぐらい(こんなどうでもいいとこに限って、しっかり測ってみたくなったり
する)のチャイグラスに、砂糖をティースプーン山盛り2杯。スプーンはグラスに入
れっぱなしにしておく。これを小皿の上にのせて、準備完了。5つか6つのグラスが、
待機中。客を待つ。一気に大勢来ても、すぐサービスできる。一杯、50ディナール。
4円ぐらい。

僕がおっちゃんに「ひとつ」とゆうと、ニカッと笑って彼はやかんに手を伸ばし、煮
詰まった紅茶をグラスに注ぎ込む。砂糖が、舞い上がる。きれいに、満杯ぎりぎりに
注ぐテクニック。このおっちゃんも、ただものではないな、そう感じつつ、スプーン
で砂糖を溶かす。シャカシャカ。

いつの間にか、陽が沈もうとしている。印象深いオレンジ色に染まるコンクリートの
壁が長く続く。陽があたらない部分との、コントラストが美しい。などと柄にもない
ことを思いつつ、チャイを一口。クッ、と。熱さがのどを突き抜け、からだの奥深く
にまで到達する。一口め。この、一口めの幸せ。ああ、ほんまに幸せや、なんか知ら
んけど、生きててよかった、と正直思う。そう感じたころに、やっと舌に残る甘さに
気付く。一口で、ニ度おいしい。一口で、ニ度幸せ。伝わらへんかもしれんけど、
今、僕は思い出しては、幸せのプレイバックを楽しんでる。個人的には、今自分の部
屋でめっちゃ満足してる。

平和ってこうゆうことかも。

チャイは、まだまだ残っている。豊かな気分になる。こんな気持ち、そうそう味わっ
たことあらへん。ええわー、ほんまにええわー、と、おっちゃんにゆうてみる。わ
かってはるわけないんやけど、おっちゃんは、相変わらず笑ってる。気持ちが通じ
た、と僕は思う。通じてた。

正直に白状する。僕は、イラクのチャイ屋で、支払いをした記憶がない。隣で飲んで
たオジサンたちが、必ず、例外なく、払ってくれた。僕が払おうとすると、
"already,already"とオジサンはゆう。済んでる、と。しかも、粋なことに、とゆう
のかどうかは知らんけど、僕にわかるようには払わへん。さりげなく、「こいつの分
も」、と払っていてくれたらしいのだ。「シュクラン、ありがとう」とゆうと、ノー
プロブレム、とか英語で答えたりするのであった。あの笑顔を、僕は絶対忘れへんと
思う。これを、優しさとゆわずに、なんと表現するのだろう。チャイ屋のおっちゃん
も、この成り行きを笑顔で見守るのだった。

笑顔に囲まれて、僕はチャイを飲み干し、お辞儀をして、また歩き出す。イラクに来
てよかった。素直にそう思う。

今日も、あの街角で、チャイ屋のおっちゃんは一日に何百回とゆう同じ動きを繰り返
す。常連さんも、通りがかりの客も、様々な人がそこに集まり、出会い、飲み干して
は散っていく。チャイでもおごるわ、そんな会話も聞こえてくる。平和な風景、と言
わずしてなんだろうか。

明日も、おっちゃんは、チャイ屋を開くだろう。同じような、情景が見られるだろ
う。けど、一瞬一瞬は、二度と訪れへん。その瞬間を、積み重ねていく。これを、日
常、とゆう。平和な、日常と、ゆう。

2003.3.18
タニザワソウイチロウ
pulausoichiro@h6.dion.ne.jp
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