[BlueSky: 4793] Re:4789 養蜂・送粉昆虫と農業 


[From] Akifumi Murase [Date] Wed, 29 Jan 2003 11:40:16 +0900

邑瀬@DGCbase事務局です。

山口さん:
> 休耕田をレンゲ畑にしたものではなく、水田の緑肥としてレンゲを栽培して
> いるのでしょうか。化学肥料に依存する農業になってから、緑肥を使わなく
> なったのだと思い込んでいましたが、これも地域によるのでしょうか。

もちろん現役の田んぼです。私が研究対象にしていた京野菜のハウス栽培農家
などでは、作付けの合間にギニアグラスというのを一旦生やした後、そのまま
すき込んでいました。おそらく、連作によって土壌微生物群集が単純化するの
を防いだり、土壌に残った(流亡しやすい)養分を一旦植物体(=ギニアグラ
ス)に吸収&蓄積させてからまた土壌に戻す効果があるのだろうと思います。

# 緑肥の実態については、もっと生産現場よりの方もMLに参加されていますの
# で、フォローを期待します。

> ついでに水田から肥料由来の硝酸性窒素がどのくらい外に流れて出て
> いるのか、情報の手がかりはどこかにありますか。

「地下水の硝酸汚染と農法転換」小川吉雄著、農文協
http://www.ruralnet.or.jp/books/sesi99216/sesi99216.htm

さらに、この本に載っている参考文献を調べれば水田に限らず、窒素動態に関
する大概のことは分かると思います。

一般に畑と違って、水田は湛水する(=水を張る)ので土の中は嫌気的、すな
わち還元的になります。したがって、窒素は(硝酸態に酸化されずに)アンモ
ニア態窒素→亜酸化窒素→窒素という脱窒反応によって、大気中に行きます。
つまり、上流の畑地から流出した硝酸態窒素を下流の田んぼに引き入れて水稲
に利用させ、余剰分は大気中に逃がすという水質浄化効果が期待できます。

但し、亜酸化窒素は温室効果ガスですので、「下流で水田が浄化してくれるか
ら上流の畑で窒素肥料をいくら使っても良い」というわけではありません。

# ちなみに、水質関係では硝酸性窒素、土壌関係では硝酸態窒素と言うのが慣
# 習です。どちらの用語を使うかでどちらの専門の人かが分かります(笑)。

それと、水稲(特にコシヒカリなど)は窒素をやりすぎると倒伏する(=伸び
すぎて倒れる)ので、必要最低限に近い量の窒素しか施用していないはずです。


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