[BlueSky: 478] 教育と平和に関する雑感


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Tue, 17 Aug 1999 15:43:59 +0900

青空MLの皆さん

ネット坊主の和尚@農環研です。

10日あまりの西国行脚から帰ってみると,メールボックスには
300通を越えるメールの山でした。皆さんお盛んですね・・・

#ところで,星野さんの投稿#351の発信日の年が2008年になって
#ませんか?y2kの演習?それとも私のパソコンの誤作動?

今回は思い切ってパソコンを持たずに出かけました。
帰ってきて緊急の用件が入っていたら,「これが私の限界です。
ゴメンナサイ」と謝ろうと覚悟を決めての旅でした。素直な感想と
して,メールのない生活もまたしみじみと趣深い「心豊」でした。

さて,いろいろと議論が起こっている様で,一々フォロー出来ません
(私の限界)ので環境に絡んだ雑感と言うことで以下の2点・・・

と思ったら・・・
雑感のつもりが大長文になりました。興味の無い方は捨てて下さい。
何か私ってまたまたMLの雑音に成ってる気がしてきました。
時々にしますし,運営方針には触れませんから強制退会させない
でね・・・・

子供の教育の問題,

うちには息子3人(12,8,4歳),娘1人(10歳)の計4人の子供が
います。理由は,夫婦共に子供が3人以上欲しかったので,2人で
密かにコウノトリさんにお願いしました。

お陰で「心豊かな」生活も得ましたし,子育てする自由も頂きました。
コウノトリさんを始め支援してくれているみんなに感謝しています。

しかし,親として将来等のことで殊更彼らには何も期待しておりません。
従って社会の一員としての基本的ルールは責任上厳しく躾けており
ますが,それ以外のガイダンス等は一切行っていません。いわんや
学校をやです。数学の面白さなんて教えて伝わるモンじゃないでしょう?
現に分数のわり算の意味を正確に伝えられる教師はごく少数だと言うでは
あ〜りませんか?
ましてや生活信条にも関わる道徳教育なんて家庭の役割で,失礼です
が大きなお世話です。

最近は個性重視という個性のない自己矛盾に満ちた教育が求められて
いるようですが,現場の先生の心痛いかばかりかとお察し申し上げます。

父兄懇談会でも,常々先生に,
「私は学校に何も期待していません。子供にも,学校は自分が行きたい
から通っているので,親がお願いして行ってもらっている訳ではありません,
と申しております」と言っています。先生は一様に嫌な顔をされますね。

真意は,「先生,そんなに緊張しないで,ご自身の信念に従ってのび
のびやって下さい」ということです。
出来れば,テレビの料理番組みたいに,こうやれば,はい,こういう美味
しい料理が出来ることに成っております・・・・おしまい。
ではなくて,子供一人一人のペースで何かをやり遂げる経験をさせて
あげて欲しいと,外野からは希望しますが・・・・

ですから,例の自発的環境学習の試みも素晴らしいと考えます。

一方,上さんには,「平均的子供なんてあり得ないのだから,それを想定
して書かれているような育児書等は絶対読むな,我が子を真っ正面にした
時の止むに止まれぬ肉親の情に従って行動すれば良い」との私の意
見を伝えてあります。

(彼女はとんでもないのを引いてもうたと焦ってるかも知れませんが,笑)

ただ,何人かの方が引用されていたように,私も例の仏師の心に深く
共鳴しています。子供は自ら育つ力を持っています。子供の前にしゃ
しゃり出るのではなく,後ろで見守り,環境にも注意を払う広い視野を
持った大人に成ってくれと祈りたいと思います。もし私が親として出来
ることが有るとしたら,最も身近な大人の一人として私なりに素敵に生
き切る姿を見せてあげることだけだと信じています。

それ以外いったい何が出来るでしょうか?

平和の問題について,

私の認識では,現在も過去も日本が平和だったことは一度も無いと
考えています。先の大戦(一説では京都ではこれは応仁の乱?)以来,
武器で殺されることは有りませんでしたが,国家間の戦いはずっと
続いており,それによる犠牲(燃え尽き自殺なんかも・・・)は形を変えて
続いてきております。

ましてや,日本がこれだけの膨大な貿易黒字をため込むに至るからに
は結果として少なからず国際紛争や実際の戦争に関与して来たことを
否定することは不可能です。

過去も,現在も戦争が最もビッグで美味しい(消耗するばかりですから),
ビジネスの場であることは疑う余地はありませんから。

このML開設当初,私が「現在の豊かさは世界のどこかの無知と貧困に
裏打ちされている・・」等の意味の発言をしたことがありますが,日本が憲法
第9条を掲げる世界に類のない平和国家であると言うのもまた,戦後教育が
我々に植え付けてきた一種の純朴な幻想に過ぎません。

過去の戦争が資源等の物的価値を目指したのに対して,これからの
戦争は経済システム(市場)等の非物理的価値を巡って起こるでしょう。
内政の失敗を他国による経済侵略に転嫁するなどもこれの一つです。

こう言うと皆さんは北朝鮮や,アフリカの貧困国をお考えに成るでしょうが,
我が国日本にも全く同様の構図が考え得るのです。日本全体の持つ種々
の債務が最低700兆円と言われいることをご存じでしょう。これは,あくまで
最低ラインで,他国への借款や現地資産の価値変動によっては,日本の
抱える負の財産はどこまで膨らむか予想も付かないのです。さっきの貿易
黒字も実際に有ったとしても利益は企業のものですから,増税等企業活動
に不都合になれば企業は拠点を海外に移しますから基本的には当てに出
来ません。

要するに,私たちは非常に際どい崖っぷちに立っているのです。何にも
知らない人は無邪気に踊っていますが,私には空恐ろしくさえ見えます。
個人資産が1200兆円?これも巧みにカバーされた見せ金ですね。
蓋を開けたら(郵貯や農林系金融資産の現状等)吃驚する様な話はこ
れからいくらでも出てくるでしょう。

加えて,上の状況は日本に限った話では無いことに注意して下さい。
先進諸国の殆どが(勿論米国も)大同小異です。どこかが破綻したら
全体が崩壊する様な際どい崖っぷちに皆立っています(これを経済の
グローバル化と呼ぶ向きもありますが)。

どうすればいいのでしょうか?

国家間の悪しき慣習としてはインフレ政策しかないでしょう。それも大規
模な。そんなインフレを起こせる要因としては戦争しかないのですよ。

残念なことですが,その様な事はもう10年も前(バブルの頃)から,議論
されています。

現に「そろそろ世界大戦が起きてくれませんかねぇ・・・」という大手企業の
社長が思わず漏らした一言を(なんとラジオで)聞いたことが有ります。

ただ,実行するとなると誰も世界戦争自体が愉快では有りません。それ
と冷戦構造では核兵器が大きな心理的歯止めとして働いたこともあり,
損な役回りを先進国クラブ以外の国,いわゆる貧困国に部分的に押し
つけて,根本の解決(限界以上に膨張した経済活動の是正)を先送りし
て来た結果が現在の全地球的に広まった歪んだ,そしてその歪みが拡
大し続ける世界です。冷戦構造という枠が外れた今,危機は一層切迫
しているというのが軍事筋の常識です。
見方を変えると,湾岸戦争やコソボが我々に教えた事は,アメリカを中心
とした少数の国々の絶対的軍事的優勢です。あれは,現在のパワーバラ
ンスに不満を持つ者への一種の恫喝だったのです(正確に誤爆された国
もありましたっけ)。主として第三世界,特に中国,パキスタン,そして最近
急激に中国に接近している我が国の動きもその対象になっているようです
ね。

いろいろ考えると,日本が近い将来かなり直接に近い形(一種の踏み絵の
様に)で戦争の当事者に立たされることは避けようもないと言うのが私の超悲観
的分析です(勿論個人的には反対を願っています)。ただ,それが平時の徴兵
制に直結するとは考えられません。平時では対効果コストとして引き合わないか
らです。

知人の外国の軍事筋からの伝聞ですが,現時点の日本の兵員構成は,圧倒
的に指揮官層過多だそうです。これが意味することは,兵器のハイテク化により
長くて高度な訓練を要するプロの戦闘員と,有事に超法規的に徴用される労
働力としての兵員とを分けて考えられ,そうデザインされているからだそうです。

こう言う現実に私たちは生きてしまっているのです。世界の恒久平和を目指
して活動を続けることには賛成ですが,為政者の立場を想像すればその活動
の第一が一方的軍事力の放棄に成らないことが悩ましい現実です。何たって
皆が泥水すすっている中で,結構儲けているゲームの参加者が一抜けたは
許されないでしょう(めちゃくちゃな理屈ですが)・・・・・
それに,軍事力は他国軍だけに向いている訳ではありませんから。もしかしたら
治安出動等自国民に向けられることの方が数的には多いのかも知れません。

今までことあるごとに気の滅入る話ばかりしてきましたが,現実がそんなに
バラ色ではないとの認識からであることを分かっていただけるでしょうか。

こう考えてくると私が生業とする科学技術のどうしようもない真の無力さ(極限
に至れば人間は決して自然・社会科学的地平線である論理や倫理では行
動しないという意味で)を感じざるを得ません。

まぁそう言う極限に至らないように何とかしようとしているわけですが・・・・

そんな訳で私は「個人」として,何が起こっても狼狽えない覚悟と,どうなっても
生きて行くゴキブリ並のしぶとさを身につけようと日夜足掻いています。

そして,超法規的措置を気軽に実行できない体制を願って選挙の日には必ず
投票に行くようにしています。

なお,
ここまで,忍耐強く読んでくれた方全員に漏れなく愚僧の熱いネット抱擁を
お送りします。
では,xxxooo(冗談です)

Kazunari Yokoyama, Ph.D.
Soil Microbial Ecology Lab.
National Institute of Agro-Environmental Sciences, Japan
Phone:+81-298-38-8300
Fax:+81-298-38-8199


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。