[BlueSky: 4772] Re:4762, 4760 はじめまして


[From] "suka" [Date] Sun, 26 Jan 2003 12:58:05 +0900

橋本さん みなさん

    須賀です。


僕も二十歳前後のころ、自分の進路をめぐってずいぶん悩みました。

井本さん:
> 「念ずれば花開く」

> です。変化を起こす人、変化に気づく人、変化したことを気づかない
> 人がいるとするなら変化を起こす人になるべく、大きな夢を描き、夢
> を実現させるべく頑張ってくださいね。

この井本さんのご意見につけくわえられることは僕にはほとんど
ありません。それに気恥ずかしいのでこのメールは私信でお出し
しようかとも思いました。けれども、こういうオープンな場でのうのう
と恥をかくのも自分にとっては勉強になると思いなおし、僕自身の
経験をお話してみようときめました。

僕は今、長野県自然保護研究所というところで、昆虫生態の分野
の研究員としてはたらいています。ひとことで「環境」の分野といって
も、橋本さんがご関心をおもちの分野とはずいぶん距離があります。
それでも、橋本さんのご相談の内容には共感をおぼえました。

僕も二十歳前後のころ、「環境」に関係する仕事をしたいと思いました。
今から十数年まえです。そのころは、そういう職場があるという感じは
ほとんどしませんでした。当時考えついたのは、生態学の研究者になる
か環境庁の職員になることでした。僕は農学部の昆虫学研究室の
学生でしたし、生物の進化や生態にも興味がありましたから、もうちょい
勉強して、一応こういう専門があります、というところまでやってから
就職のことは考えようときめました。けれでも一方で、文化人類学や
国際開発援助などの分野にも興味がありました(今でもあります)から、
ほんとにこれでいいのか、という迷いはずっとつきまといました。研究者
になるなら、自分の専門分野に集中した方がいいのですが、興味の
幅がひろいことが自分の長所だと思っていましたし、それが「環境」の
仕事にも役立つはずだ、と考えていたからです。

大学院で勉強をつづけているうちに、リオデジャネイロの地球サミットが
あり(1992年)、世のなかの空気がかわってきたのを感じました。
大学に「環境」と名のつく講座がふえ、環境学の教員募集なども目に
するようになってきました。

そこで、僕の勉強していた分野でみんながめざす進路と考えられていた
生物学や昆虫学などの分野だけでなく、環境学の教員募集などにも
かたっぱしから応募することにしました。かたっぱしからおちました。
そして、新しくつくられることになった長野県自然保護研究所の採用
試験に合格しました。それで、そこに就職したというわけです。しかし、
どんな仕事をすることになるのかは、仕事をはじめてみるまでわかり
ませんでした。

いま痛感しているのは、自然保護の分野では、科学者と実践的な分野
との橋わたしをする仕事が大切で、そういう分野を担うひとたちが活躍
できる場がまだまだ足りない、ということです。

池内了さんの『科学を読む愉しみ』(洋泉社 新書y)をよんでいたら、
こういうことばがありました。
「・・・環境問題では、科学者と市民、地域住民の間の区別は、どんどん
少なくなっている。市民の教育水準が高く、科学的知識が普及している
日本の私たちこそ、身近な問題から地球規模の問題まで、具体的に
考え行動することができるということをしっかり自覚しよう、と。」
     (宇井純『日本の水はよみがえるか』NHK出版 への書評より)

僕もこんな考え方に希望をもちたいと思ってます。

それと同時に、こういう分野で仕事をしたい、という橋本さんのような方
のご希望がいろいろなかたちでみたされていくことを願っています。

幸運をいのります。

   須賀 丈








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