[BlueSky: 4715] Re:4713 除草剤について


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Sat, 7 Dec 2002 06:31:15 +0900

葛貫さん、おはようございます。

> 今日、朝日新聞のサイトhttp://www.asahi.com/home.html#topに、
> 「ミジンコ、メダカへの毒性は? 農薬登録に新基準提言」
> http://www.asahi.com/science/news/K2002120502498.html

おしらせありがとうございます。マスコミのニュースは肝心なところが
抜けていることが多いので、一つ気になる点ですが、登録は確か
3年ごとに更新するのだったかと思いますが、新規農薬(原体)だけ
を審査対象にするか、または登録更新のすべてについてなのか、
という点がわかりませんでした。

これが部分的にでも実施されるならば、PRTR法が形だけで終わらずに
実際的に生きてくると思います。

藻類、ミジンコ、メダカは食物連鎖の3段階を代表させるわけで、
生態系に対する薬剤の影響について最小限度のチェックができる
と思います。既存の主な農薬(原体)について、生物の種にこだわら
なければ、すでに急性毒性などのデータはありますから、それらを
使っただけでも大まかなリスク評価は出来るはずです。

http://ace.ace.orst.edu/info/extoxnet/ghindex.html
このextoxnetというサイトで既存の情報を見ることができます。

農薬の水生生物に対する影響のデータに海産生物はほとんど
出てきませんが、海に入る前の陸水でチェックされているならば、
状況は大幅に改善されるでしょう。

農薬、特に昆虫を対象にした殺虫剤は甲殻類全般に対して
強い毒性を持っているので、ミジンコを殺さないような殺虫剤が
ありうるのか、というのも気になります。結局は薬剤が影響力の
ある濃度で外に漏れないようにすることが可能かどうか、それに
向けた努力目標が設定されるかどうかにかかっているでしょうか。

> 一旦、基準値が制定されると、その値が、ある権威を持って独り歩
> きを始めてしまう。どのような経緯があり、どのような手順を踏ん
> で制定された値なのか、確認しておく必要もあるんだろうな、と思
> いました。

多分、当面は生態的な影響を評価する監視方法がとても未熟なので
(使用者側の圧力もあるだろうし)先延ばしにされるのではないでしょうか。

表面からでは見えない影響、生長や繁殖力(fitness)の低下、そして
生態行動などに対する干渉(フェロモンやカイロモンなどの化学的な
生物個体間の情報交換の阻害など)、即効性(急性)でない影響を
どのように見るか、行政での意思決定の基礎となる生態学についての
認識レベルがためされることになります。

アトラジンの両生類に対する内分泌撹乱効果が現在ホットな話題になって
いますが、日本の場合はEPAの意思決定を待っている所でしょうか。


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