葛貫さん、おはようございます。
> 最近仕事で「海洋と生物 Vol.24 No.4 2002.8」に目を通しました。
昔ですが、この雑誌にはサンゴ礁生物について連載しました。
> 海のいきものへの陸起源の物質の影響を見るには、目に見える河川
> 水の他に、より大きなタイムラグを持つと思われる地下水、更に深
> 層を通って海底へ湧出する海底湧水・それを運ぶ潮の流れ等々も考
> え合わせなければならない、ということになるのでしょうか。
マクロにはそのとおりですが、現実には海と陸との接点である河口域、
沿岸域での問題がすでに顕在化しています。ハマグリはすでに多くの
海域で消滅したようです。そうそう、私のHPを紹介しておきましょう。
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/Meretrix/MeretrixData.htm
これを干潟の生態系に取り戻せないだろうかというのが出発点です。
多数の性質の異なる農薬などの化学物質が海辺に流れ出ています。
しかし、それらがどのような悪さをしているのかについては、注意が
ほとんど向けられていないようです。
過去を振り返って見ると、重大な事故や問題が発生しないかぎり
対応しないという歴史が、弱い所にしわ寄せしながら被害者を産み
つづけてきました。
海洋の希釈力、海水の緩衝能のおかげで、よほどのことが無い限り
すぐ目に見えるような大きな変化が起こらないため、ゆっくりと変化
していることが見えにくくなります。一過性の事件ではなく、慢性の
変化はとてもつかみにくいものです。また、海洋生物の個体群変動の
激しさも事態をわかりにくくします。
沖縄では渇水対策として地下ダムの建設が推進されてきました。
これを飲料水としている地域も多くありますが、主に農業用です。
沖縄で使われている農薬類の種類と量を調べていて気がつきました
が、環境基準などの水質検査項目にある化合物は極めて限られて
いて、調べられていないものは検出されないので、現実には多くの
化合物を流して野外で実験中としか思われないものが多用されて
いるようです。地下水汚染で一番気になるのは除草剤のDCMUです。
土壌に強く吸着するタイプのものは土壌流出(騒がれているいわゆる
赤土汚染)で大雨で海に一気に出ていると思います。水溶性のある
ものは(微生物や光によって分解されないまま)石灰岩地形が多い
ため雨がふるごとに地下に浸透しているはずです。畑からの流出の
問題がチェックされているかどうか、ネット上ではわかりません。
最近ではBT農薬が急速に普及して使用されているようですが、
有効成分やその分解物(それらの活性は?)が農地から外に
でているのかどうか、海においてはどのように変化してどのような
挙動があるだろうかというのが心配です。
テーマがそれましたが、前のメッセージに補足したつもりです。
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